特集 2022年6月20日

炭酸の泡ぜんぶ抜く

炭酸飲料が大好きだ。愛しているといってもいい。あの口の中に広がるシュワっとした爽やかな刺激は幼少期の頃から私を虜にし続けてきた。

しかし、ふと気になってしまった。雨がいつかは止むように、炭酸もほうっておくといつかは抜けていく。炭酸飲料はあのシュワシュワがなくなった時、一体どんな味で私をむかえてくれるのだろうか。

炭酸、抜いてみよう。

1993年群馬生まれ、神奈川在住。会社員です。辛いものが好きですが、おなかが弱いので食べた後大抵ぐったりします。好きな調味料は花椒。

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おれは炭酸飲料に反旗を翻す

今年もこれから夏が来る。しかも今年は猛暑らしい。

あの炭酸飲料が手放せぬ季節が来る前に、このふと湧いて出た疑問にどうしても答えを得たくなってしまったのだ。

IMG_4634 (1).JPG
ということで近場で買える炭酸飲料をかたっぱしから買ってきた

おまえたちは今日から清涼飲料水だ

実は炭酸飲料から炭酸を抜くことに関しては先行研究がある。鈴木さくらさんの「炭酸飲料の炭酸を抜いてから飲む」だ。鈴木さくらさんは研究の中で、「炭酸が苦手だけど炭酸が飲みたい人は、3日目の炭酸がベストである」(鈴木さくら 2020、最終文)と結論づけている。

炭酸飲料は日々様々な角度で研究がなされている

今回はほどよい炭酸も残さない。全て抜く。全て抜いた上で清涼飲料水となった君たちと向き合いたい。 

こんなにおいしそうな炭酸飲料たちから、炭酸を全て抜く......

 一本一本、キャップを開けて炭酸を抜いていく。

開けるぞ、開けるぞ...
「シューッ」ああーっ、炭酸の抜ける音だ!
今まさに炭酸が抜けています

この写真は歴史的に貴重な一枚である。なぜなら炭酸飲料のキャップを開けっぱなしにしてほうっておく人間など存在しないためだ。

そしてほぼ閉めずにそのまま冷蔵庫に突っ込んだ。神をも恐れぬ所業である

しかしこれでは炭酸を抜くには十分ではなかった。翌日確認したところまだまだ炭酸が抜けきっていなかったため、さらなる強硬手段に出ることにした。

強硬手段とは
こういうことだ
シュワアアア......

振る。キャップを開けて炭酸を抜く。閉める。振る。当たり前だが、キャップを開ける際は中身が吹き出さないように気をつけなければならない。今回はいくら振っても中身が吹き出さなくなるまでこの工程を繰り返した。

ビンがおしゃれな炭酸水のペリエもこうだ。だいたい6~8回でどの炭酸飲料も大人しくなった
「開栓時の噴き出しにご注意ください」。安心してくれ、今噴き出さないようにしたから

そして再び冷蔵庫にしまい込んで数日放置した。キャップを開けてはしまわれ、取り出されたと思ったら振られてはしまわれ、この炭酸たちは何を思っているのだろう。

そんな目で見ないでくれ、私は真剣なんだ

コーラ味とは何なのか

なんとか炭酸を抜き切ったところで、まずは炭酸界の帝王、コカ・コーラの炭酸抜きを飲んでみる。

ほう、炭酸抜きコーラですか...
どれどれ
僕の青春が消えました

コカ・コーラ、どっかいった。

すごく甘ったるい液体になるのかなと勝手に思っていたのだが、そこまで甘くはない。かと言って甘みが全くないわけではない。なんとなく甘い。なんとなく甘い液体だ。そう思っている内に口の中からいなくなってしまう。なんだこれは。

泡がないとその黒々とした色味が目立つ

いわゆるガムなどの「コーラ味」になるというわけでもない。信じられないくらいのっぺりとした飲み物だ。

ひょっとして、炭酸飲料って炭酸がないといまいちなのか......?

コカ・コーラとコカ・コーラ ゼロは違う飲み物

コカ・コーラがこの有様だとすると、気になるのはコカ・コーラ ゼロの存在である。

私は炭酸好きとして常々コカ・コーラとコカ・コーラ ゼロは明確に味が違うと主張してきた(そしてコカ・コーラの方が好きだと主張してきた)。炭酸を抜いたとき、その違いはどうなるのか。同じようにのっぺりとした飲み物になってしまうのか。

全ての光を吸収しそうな色のコカ・コーラ ゼロ
ぐびり
…違う!

コカ・コーラ ゼロ特有の後味がスッと消える感覚が残されている。これは炭酸抜きのコカ・コーラにはなかった風味だ。

甘みもコカ・コーラより薄くこざっぱりしており、よりコーラ風味の水といった趣が増している。しかし、炭酸抜きコカ・コーラの「なんだかよく分からない微妙に甘い液体」より潔い味わいなので、炭酸抜きの場合はコカ・コーラ ゼロの方が好きかもしれない。

意外な発見だ。コカ・コーラ ゼロは炭酸を抜いてもいただけます。

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カルピスとカルピスソーダも違う飲み物

続いてはカルピスソーダ。カルピスソーダは名前の通り「カルピス+ソーダ」であり、炭酸を抜いてもカルピスとしておいしく味わえるのではないだろうか。期待したい。

左がカルピス、右も炭酸抜きカルピスソーダなので実質カルピス
まず炭酸抜きカルピスソーダは...
おいしいです!

カルピスだ!思い描いていたままのカルピスがここに爆誕した。

あの乳酸菌の甘みがそのまま残されており、このままカルピスとして販売しても遜色のない味である。先のコカ・コーラ兄弟で迷子になっていた私を「おかえり!」と迎えてくれる飲み物だ。ただいま、飲料水の街角に今帰ったよ。

比較のためカルピスも飲む
おいしいです!

これもカルピスの味だ。そりゃそうだ。この乳酸菌の甘み、甘みが......

いや、先ほどの炭酸抜きカルピスソーダと少し味が違う気がするぞ?

どちらもカルピス味であることには違いないのだが、本物のカルピスの方がより丸みのある舌触りだ。本当にわずかな違いなのだが、カルピスソーダの方は少し尖りがある気がする。どちらが良いとかではなく好みの範疇なのだが、なんだこれ?

どっちもカルピスだと思ったが......
あっ、何か入ってる

よくよく成分を見てみると、カルピスソーダには炭酸に加え、甘味料が追加されていた。この違いが味の違いに直結しているのかは分からないが、ともかくカルピスソーダはカルピスに単に炭酸を足した飲み物ではなかったのだ。

ただどっちもおいしかった。今はそれで十分である。

炭酸水は炭酸が抜けるとそういう味の水

それでは今度は炭酸水の炭酸抜きだ。カルピスソーダ同様炭酸水も「水+炭酸」の計算式が成り立つ気がするが、どうだろう。

ペリエである。高級なイメージがあるので、炭酸を抜く時からもったいないなと思ってました
これは......水っぽい?

水っぽいが、なんだろう。甘いとか、苦いとかではないが、なんだか変わった飲み心地の水である。

考えてみれば水にだって色々ある。硬水もあれば軟水もあり、それぞれで舌触りや味わいが微妙に異なる。コンビニで売られているミネラルウォーターだって種類ごとに味が微妙に違うだろう。

きっとこれも同様で、水は水なのだが「ペリエの元になっている水」になったのだ。そしてそれは飲んだことのない水の味であった。

うーん......。
おいしくなくはないが、炭酸入りの方がおすすめかもしれない。でも水だ。水にはなった。

元の味が見えている飲み物は炭酸が抜けてもおいしい

カルピスソーダは炭酸が抜けてもほぼカルピスとして楽しむことができた。炭酸水も少し変わった味だったがまあ水だった。

元の飲み物がなんとなく透けて見えるものは比較的素直にいただけるのかもしれない。他のものも試してみよう。

例えばC.C.レモンとキリンレモン。レモネード的なおいしさを期待したい
C.C.レモンはすっぱい!でも甘くておいしい!

C.C.レモンはすっぱくありつつもベースは甘めのレモンジュースとして残り続けていた。君、ひょっとしてレモネードとして昔販売されてた?というくらい自然なジュースっぷりである。

要するにおいしい。汗をかいた日にコンビニでこういう飲み物を買いたい時、あります。

キリンレモンは......レモン風味の水だ

一方キリンレモンはすっぱさや甘みといった味わいがなりをひそめ、さっぱりとしたレモン風味の水に着地した。

山の向こうから「デトックス」という言葉が聞こえてくる。スーパー銭湯の休憩室とかにあるとなんとなく嬉しくて、ついつい飲みすぎてしまうタイプの飲み物である。

さらにジンジャーエール。甘めの生姜水とかにならないかな
とてもおいしい!

甘さと生姜の辛さがちょうどいい。風邪を引いたときに生姜湯を飲んだりするが、それに砂糖を加えて冷やした飲み物である。炭酸抜きのキリンレモンに続き、意図せず健康飲料二連発になってしまった。

生姜湯よりも飲みやすいので、生姜湯が少し苦手だよという人はこれを飲むといいと思う。万病に効きます(うそです)。

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初めて飲む炭酸飲料は炭酸がなくてもおいしい

最後に思い切って今まで飲んだことのない炭酸飲料を炭酸抜きで飲んでみた。

知らない外国の炭酸飲料と北海道限定飲料「ガラナ」
ガラナもコカ・コーラのように黒く、ぱっと見ワインでも飲んでいるみたいだ

結論を言えばどちらもおいしかった。どちらもやや癖のある味であったが、そういうジュースだなと思えば素直に楽しめる味なのだ。

きっとこれに炭酸が入ったらよりすっきりしたおいしさになるんだろうな。いいな。これの炭酸入りを飲みたいな。

なんだか炭酸が恋しくなってきた。今日はこの辺にしておこう。

今回飲んだ炭酸抜き炭酸飲料をぼんやりした図にまとめておきました。ご活用ください

ウィルキンソンに残された謎

今回さまざまな炭酸飲料の炭酸を抜いて飲んでみたが、一つだけ挫折したものがある。炭酸水のウィルキンソンだ。

ウィルキンソンは最後まで炭酸を抜き切ることができなかったのだ。他の炭酸同様それなりに振ることで炭酸を抜き、それなりに放置し日数を経たのだが、飲んでみると口の中にぷちぷちとした炭酸の刺激が残ってしまったのだ。

写真だと分かりづらいが、ずっと細かい泡がシュワシュワしていた

なぜウィルキンソンの炭酸は抜け切らないのか。

もしご存じの方がいれば教えてください。何卒よろしくお願いいたします。

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