来たぞ、群馬県高崎市
みなさんは群馬県のことをどれほどご存知だろうか。温泉があるとか、だるまが有名だとか、そんなところだろうか。あるいはインターネット上であれこれ揶揄されていたり、上毛かるたというローカルかるたが有名といったところだろうか。
私りばすとも幼少期を過ごしたとはいえ小学校の前半には高崎を離れてしまったため、知識レベルは同程度のものである。違いがあるとしたら数年前に上毛かるたを暗記し直したくらい。そのためこれを機に高崎とより仲良くなれたらいいなといった所存だ。
高崎学検定は毎年秋に行われており、今年で第十一回目になる。毎回百名前後の方々が参加しており、特に成績上位者は博士の称号が与えられるという。
高崎学博士。この響きに抗える人間はそう多くはないだろう。
検定を受けるにあたっては事前に「市内の」各書店にて売られている検定ガイドブックを買うとよいとのことだったので、検定三週間前に高崎に赴くこととした。
当日の検定会場は高崎市総合保健センターなので、都合二度高崎に赴くことになる。心理学では接する回数が多いほど対象物に親しみを持ちやすいという。高崎市の策略はすでに始まっているのだ。
検定ガイドブックといっても観光協会のパンフレットとかそのくらいを想像していたのだが、ちゃんとした本の厚さである。情報がいっぱい書いてありそうでうれしいが、ひょっとしてこれを全部覚えたりとかしなきゃいけないのか。
高崎学検定、むずかしいかもしれない
腹もふくれたところで先ほど買った検定ガイドブックを開いてみる。
全く聞いていないことである。ただ私は私の生まれ故郷について調べていたところ、この検定の存在を知っただけの物見遊山の民なのだ。なんなら検定と言っても仲良しこよしで朗らかに高崎について教えてくれる会だと思っていたのだ。
続いて本の内容も軽く確認しておく。
本には縄文時代から近代、そして現代にかけての歴史や文化について事細かに書かれているようだ。どのページをめくっても上記くらいの密度で情報が書き込まれている。ぐんまちゃんが楽しく解説してくれたり、高崎市のみどころや名物をまとめた観光マップのようなページなどは一切ない。
どうやらこれを頭に叩き込んで当日に望まないといけないらしい。
なんだ、その、一旦持ち帰って検討します。
そして観光は実地調査となった
せっかく高崎に来たのだから観光がてらうろうろしてみよう。そう思っていたのだが、これはもはや観光どころではない。実地調査だ。今からおれは実地調査をするのだ。
多湖碑(たごひ)だ!伝わらないかもしれないが、上毛かるたの「む」の「昔を語る 多湖の古碑」の多湖碑である。小さい頃に訳も分からず覚えた文字列を、実物として初めて目の当たりにしている。ちょっと感動。
多湖碑は六世紀頃、現在の群馬県があった場所に多胡群という土地の区分けを行った際の記念碑である。山上碑、金井沢碑とともに上野三碑と呼称されており、ユネスコ「世界の記憶」にも登録されている歴史的にも貴重な石碑である。(本当に)テストに出るので覚えておいてください。
新しいと懐かしいが混在する街 高崎
でかいバスターミナル、でかい商業施設。そしておだやかな街並み。落ち着く。東京から2時間弱。考えてみれば小旅行である。
事前の調査により市の図書館にて検定の過去問が手に入ると聞いていたので、街並みを観察しながら向かってみる。
こうして歩いてみると、高崎という街は昔ながらの街並みと新しい建物が混在している街のようだ。通りごとに雰囲気がころころ変わって面白い。
成績上位者が博士として認定される高崎学検定だが、実は表彰システムにはおまけがある。なんと博士認定された人はこの手の施設に名前入りプレートが飾られるらしいのだ。こんなピカピカな空間に。うらやましすぎる。
検定ガイドブック、そして過去問。必要なものは全て揃った。
あとは励むだけだ。思ったよりも真剣に。