特集 2019年11月13日

生活臭が詰まった台湾中古ショップ巡り

台湾中にあるこのチェーン店を巡った。

台湾にはハードオフがある。またハードオフやトレジャーファクトリーのような「跳蚤本舗」という中古のチェーン店もある。

そこには生活臭があって、巡ったらとても楽しかった!

観光地の博物館は、見つけるとふらっと入ってしまうけれど、古かったり立派で学術的すぎる展示品は時々どうも頭に入らないことがある。

一方ジャンク屋というのは、食品をのぞけば、あらゆるジャンルの商品が時代を超えてぎっしり詰まっている。少し前の人々が使ったもの、理解できそうな「ちょっと前」のものが売られているというのがたまらなくワクワクする。跳蚤本舗はその期待に120%応えてくれた。

台湾全土に無数の「跳蚤本舗」があるが、そのうちの何軒か回ったので、その魅力を紹介したい。

変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

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中古文化のある台湾

台湾は世界中の国の中で、特に日本に似ている。

跳蚤本舗の場所は、だいたい駅から離れた商業地の一角にある。そう説明されるともやっとするが、「ブックオフやハードオフがありそうなところ」と言われれば、あーなるほどね、と思うだろう。ちょっと気軽に電車から降りて歩くには大変なのだ。

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台湾といえど、今の季節は結構涼しい。

いくら台湾が日本に似ているとはいえ、見知らぬ海外である。そこで今回は台湾ジャンク道のマニアに案内人をおねがいすることになった。台湾に留学している日本人の辻浦さん(@nokonokotaiwan)だ。

辻浦さんは大都会の台北や高雄ではなく、台湾中部の彰化(彰化県彰化市)というところにいる。台湾中部の人々が使ったローカル中のローカルな製品を求めて、辻浦さんとジャンク屋「跳蚤本舗」巡りをした。

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台湾中古屋巡りにはまった辻浦さん。まだ行く先々の中古屋で未知のものがあり、楽しんでいるという。
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生活用品が詰まる、まさに台湾生活博物館といえないだろうか!?

「ここから行きましょう。刺激が強すぎないけど面白いところで」そういってバイクで少し走り、店に到着した。跳蚤本舗チェーンは緑色の看板が目印だ。中には結構客がいて、男性女性年令問わず、掘り出し物を物色している。中古文化は台湾で根付いていた。

中に入ると棚によって仕切られた通路があり、棚の中には服とか小物とかデジタル製品など、ジャンル別にわけられた商品。日本の中古ショップに通っていれば違和感のない店構えだ。

本当になんでもある感じがする。例えば家電もいろいろあるけれど、そこは台湾。日本で見たことのないものばかりが売っている。家電好きにはたまらないのではないだろうか。と思っている横で辻浦さんが見たことのないスマートフォンを物色していた。

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虹のキャラクターは台湾セブンイレブンのキャラクター。「よくみますよ」とは辻浦さん。
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台湾の家庭では超定番という大同ブランドの電気釜。
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こんなものまで売っている。まさに出物だ。お土産で喜ぶ人はいるかもしれない。
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色あせた完成品のジグゾーパズルもある。ニーズはあるのか?いや、ニーズがあるから売るのだろう。
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キーが一部ない運べるタイプライター。好きな人にはたまらないだろう。
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スマートフォンや携帯電話は、日本でみたことないものばかりなうえに、日本円でだいたい2000円以内で売っている。
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際限がない

これだけにとどまらない。

なにせ家電や本やDVDはもちろんのこと、コップや哺乳瓶やおまるなどまで売っているのだ。肌が触れるような物の中古には抵抗がある人もいるだろうが、まさか哺乳瓶やおまるなど消耗品まで中古品が売っているとは、と驚かされる。

変な日本語の商品もいろいろあった。今でこそ、台湾の商品はデパートから商店まで無難なものが売られているが、ここなら難あり商品もたくさん見つかる。

日本で売られている商品が台湾で中古で売られることも。日本で買ったけど飽きて処分したのかもしれない。

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映画や音楽や教育系やゲームなど、様々な光ディスクの棚で辻浦さんは何かを発見。
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小説だった。「空降未婚妻」だの「人妻的反撃」だの「猛男男朋友」だのがある。甘美な響きだ。
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ボーリング場の広告がかかれた古びたコップだ。
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おまるや哺乳瓶も売っている。しかもたくさん。
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今はあまり見ることのない変な日本語のパッケージもよく出会った。
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「自然だ心地いよ」
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「チソ!レて」
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「ゲザインを示あます」
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さらなるディープ店舗へ

「次の店は衝撃ですよ?」と辻浦さんが教えてくれた跳蚤本舗は強烈だった。

1店目とは変わって、こう言っては申し訳ないが、入口からゴミ屋敷のよう。店内の匂いも1店舗目に比べて強烈だ。チェーン店ではあるけれど、各店舗で個性があり、入ってみないとわからない。

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入口から無造作にいろんなものが投げられてる感じがカオスだ。
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せまい通路でお客さんが物色している。
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大学のスポーツ大会のトロフィー。これを買ってどうしろというのだろうか。
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選挙戦で配られる立候補者のうちわも売っていた。
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誤植だらけの日本ヒットソング集も。本当はとまり木であろう「とまりホ」がたまらない。

変な日本語の商品やら、微妙なデザインの商品やら、昔の家電やらが売られている。誰が買うんだろうという物の中にも、人によっては宝物が混ざってる。

こんな場所でもやはり掘り出し物を捜すお客さんは多い。レジをみると、ときどき誰かが買っている。

台湾の中古市場は実に奥深かった。


買ってしまった

海外でチェーン店のような形でこれほどの中古市場があるのは、台湾以外で見たことがない。中古販売自体は他の国もあるけれど、路上で単発で売ってたり、或いは値札がついてないもので要交渉だったり、店としては利用しづらい。でも台湾は入りやすく買いやすい。

また、中古市場がない国の一部は、人が他人を騙すことが当たり前と思っている背景があり、他人を信用できないから中古市場がないという。

台湾は赤の他人同士が信頼しあっている。そんな社会情勢を中古屋から感じたのだった。

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いろいろ買いすぎた
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