特集 2025年11月20日

三重県出身者が台湾の三重を歩く

頭前庄駅で下車

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わかりやすく表示されている路線図

しかし、私と息子は「幸福(シンフー)駅」では下車せず、頭前庄(トウチェンジュアン)駅というところで降りてバスに乗った。
この駅前にも特段目新しいものはなく、鉄道から離れるにつれて鉄分を失った息子の元気がなくなっていく。

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頭前庄駅前の写真

息子を励ましながら「801」のバスに乗った。
バスの行き先表示が消えかけていて不安になるのは台湾ではいつものことだし、バスが運転手さんの好みに合わせてぬいぐるみでデコられているのも、台湾あるあるである。

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「このバス、〇〇に行きますか?」って気軽に聞けたらいいのだが、中国語の壁が立ちはだかるので、不安を抱えたまま乗車する。
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バスのぬいぐるみは、普通の光景。台湾に住み始めると気にならなくなる。

無事に目的地のバス停についたが、本当に何もなかった。

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「五谷王廟(ウーグーワンミャオ)」というバス停で降りたが、ここ、絶対に日本人観光客とかいなさそうだ。
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高層ビル群の手前に寺院の屋根が見えた

気を取り直して、バス停から10分ほど歩くと、・・・見えた!!
前方に大きな寺院が現れた。が、息子は暑くてうんざりしていた。

寺院の屋根が見えたからといって、小学生男子のテンションは1ミリも上がらないことがわかった。

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「先嗇宮(シエンソーゴン)」に着いた

この寺院「先嗇宮(シエンソーゴン)」は、最初に書いたようにマジョリカタイルが使われている。タイル好きには有名な寺院である。あいにく一部改修中だったが、私はタイル好きなのでテンションが2メートルくらいは上がった。人もほとんどいなかったのでタイルの凹凸を思う存分愛でることができた。

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ミントブルーの部分がタイルです
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タイルのひび割れも歴史を感じさせる。

くどいようだが、この寺院も三重にある。

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台湾の住所表示

一概にはいえないが、ここも含めて台湾で訪れた寺院には、日本の寺社仏閣に比べて軽快で賑やかな印象があった。三重の先嗇宮(シエンソーゴン)にいた神様もかわいすぎて三度見した。農業の神様、神農大帝だそうだ。

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息子はこの神様の横でピースサインを作ってポーズをとってくれた。そういうことをしてもバチが当たったりしなさそうな雰囲気が良い。
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三重県の寺社仏閣といえばどこだろうか

日本の三重県で有名な寺社仏閣といえばやはり伊勢神宮だろうが、今回は「椿大神社(つばきおおかみやしろ)」を紹介したい。

なぜかというと、近鉄名古屋線ユーザーだった私は、この神社の看板をずっと見てきたからである。

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伊勢若松駅と塩浜駅の間にぽつんとある看板。

この看板はたぶん20年以上前からあるが、何もないところにぽつんと立っているのですごく印象に残っている。そのせいで椿大神社というのはこの看板の近くにあるのだと思い込んでいたが、帰国後に訪れてみたらそういうわけでもなかった。

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椿大神社は四日市駅からバスで行ける。

あたりまえだが、日本のバスにはぬいぐるみは乗っていない。
四日市駅からはバスで片道1時間、往復2時間。なかなかの距離である。

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立派な神社である。
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ここから、さらに片道2時間(徒歩)かかるという奥宮には行かなかったが。

厳かな神社なので台湾のような可愛い神様の像はないだろうと思われたが、七五三の時期だったので可愛いパネルが設置されていた。

あいにくこのときは私ひとりだったので、写真には入らず撮影スポットだけを撮影した。人が入らない撮影スポットの写真は、少しさみしい。

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さるたひこさまとうずめさま

台湾の信仰と日本の信仰は異なる点はたくさんあるものの、自然や祖先を敬うという点では共通するところも多く、多様な神様が存在するのも共通している。

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台湾の三重を歩いた日の締めくくり

さて、話は、あの台湾の暑い3月の日に戻る。

お昼頃だったが、気温は29.1度だった。

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工事現場の表示が気温を示していた

もう少し散策したい気もしたが、途中にあったコンビニで息子とアイスを食べたら何かをやり遂げたような気になってしまい、早々に帰途につくことにした。
熊野古道には行ったことがない私であるが、先嗇宮に行くことができて良かったと思った。

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歩道が店の一部になっているので戸惑うが、直進していって問題ない。台湾あるある。
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帰途についたときは昼時で、飲食店に活気があった

駅までの道のりには台湾らしい飲食店がたくさんあったが、息子の希望で、昼食はマクドナルドになった。マクドナルドのハッピーセットに付くおもちゃがマインクラフトのグッズで、日本では手に入らないのだそうだ。

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箱の写真しか撮っていないが、台湾のマクドナルドにもハッピーセットはあり、おまけもつく。でも、日本のラインナップとは微妙に違うことが多かった

台湾の三重にも、日本の三重にもマクドナルドはある。知らない街を歩いた後のマクドナルドはどちらの街でもおいしいと思う。

故郷の三重と、名前だけ同じ台湾の三重。
どちらにも複数の路線が走り、滑り台のある公園があり、寺院があった。特別な観光地ではないけれど、なんとなく落ち着く景色だった。
名前の偶然から始まった度だったけど、これからは「三重」という地名を見るたびに、ふたつの町を思い出す気がする。・・・たぶん、もうどっちの三重の話をしているのか、自分でもわからない。

この記事は読者投稿でお送りいただいた記事です。

編集部より寸評

日本の三重と台湾の三重、旅行記と並行して二つの地域の比較も楽しめるという充実した記事でした。
それぞれの地域って当然ながら別の場所なので、必ずしもきれいに並べて比較できるわけではないんですよね。でも無理やりにでも関連付けて並べてしまえばちゃんと比較に見えます。そのへん上手く処理されていて読みごたえにつながっているので、良いなと思いました。
個人的には、同じローカル話が書いてあっても日本の話だとローカルトークに、海外の話だと旅情になるんだなという発見がありました。(編集部・石川)

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