今回の平成を振り返る企画で、「チリ料理を食べながら(チリ人妻の)アニータのことを思い出す」という案も出してたが、編集部から「タイ米でお願いします」と連絡がきた。ダメだったか、アニータ。お陰でじっくりタイ米やナタデココだったあの頃を振り返ることができた。これで安心して平成を終われる。
平成米騒動の思い出
平成5年の夏は涼しかった。夏休み、屋外の部活がめちゃめちゃ楽だった記憶がある。
記録的冷夏による米の不作。米の輸入を禁止していた日本では米が足りなくなり、輸入は自由化される。
そして今まで見たことも聞いたこともなかった米が続々と登場した。 カリフォルニア米、タイ米、ブレンド米、ヤミ米……
タイ米は細長い形が特徴で、顔の形が細長い同級生のあだ名が「タイ米」になったりもした。
最近、久々に会った同級生たちと飲みに行ったときにも「あのタイ米って呼ばれてた人」という話題になったりしたので、みんなの心に刻まれているっぽい。
ほかには当時、弁当を隠して食べてる生徒が居れば「あいつんち、ブレンド米なんじゃないか」「タイ米なんじゃないか」みたいな話になったりもしていた。
米が採れる地方出身なので、農家へのツテがあり国産米をずっと入手できてた家も多かったが(うちもそう。なので当時は食べることなかった)
米騒動は確実に中学生の生活にまで浸透していたのだ。
タイ米でパエリアを作りたい
外国の米は美味しくないと評判で、タイ米の評判は特に悪かった。(そもそもの調理方法が違うと認識されてなかった、というのが一因にある)
テレビでは「外国米を美味しく炊く方法」みたいな特集がいっぱいやっていたりもしたけれど、それより脳内にこびりついてるCMの歌がある。
このCMにより「タイ米でパエリアを作れば美味しいらしい」とインプットされたのだが、作る機会がないまま四半世紀が経った。
これは令和に持ち越さず、平成のうちに作っておこう。
まずはタイ米を購入。まさか取り寄せる日がくるとは……あのタイ米を。
初めてのタイ米調理だが、どうやらタイ米って研がなくてもいいらしい。えっ、そうだったのか! ささっと洗い、フライパンに入れる。
そして待っていたら、あっさり完成!! こんなに簡単なのかパエリア。素を使ったからなのか。
食べてみると……、あ! 普通においしい。普段食べ慣れてる米特有のふっくら感やしっとり感もなく、サラッとしてる。
作ったのは初めてだったが、意外と食べ慣れてる感もあった。
あの米騒動の頃は、みんな異国の食材を今ほど食べ慣れてなかった(と思う)が、この四半世紀で食のバリエーションも増えまくり、いつの間にか触れる機会も多くなってたのだ。
今もしタイ米しか食べられない状況になったとしても、みんなもっと色んな料理を楽しんでするんだろうなぁ。