眠れない
暑い。
窓を少し開けていて、時々冷たい風が入ってくるものの、快適とは言い難い。
マットレス(空気少なめ)を敷いてはいるものの、寝返りが打てないのは辛い。
それに大型トラックのエンジンの音がずっと響いている。ちょっとした地獄だ。眠りにつくことは不可能に感じた。
あれ? なんで車中泊したいなんて言ったんだっけ?
妹の脳裏に浮かぶのは、オシャレ民族のオシャレな車内。ランタンの灯り、ネイティブ柄の布、ガーランド、ドリームキャッチャー、挽きたてのコーヒー豆の香り。星空。
その1つさえもここにはない。なんだこれは。私は一体何が欲しかったんだろう。
眠ることを諦め我々は車から出た。
外は車内よりだいぶ涼しい。
トイレに行き、客の一人もいない売店をぶらぶらした。冷房が心地よかった。
「アイス買おう」とセブンイレブンへ向かうと、オリジナルTシャツを売っているのを見つけた。
姉「さっきもこれ見て気になってた。買おうかな」
妹「えっ、まじで? 買うの?」
姉「お揃いで着よか」
妹「うーん、どうしよう⋯」
寝てないし、深夜のサービスエリアのコンビニという非日常から正気を失いかけている姉妹。
セブンイレブンのTシャツがやけに眩しく素敵に見えた。
しかし、「これ着てファミマとか入りづらい」
「セブンイレブンに入っても店員と間違えられてややこしいことになるかも」
と、いろいろ面倒なことになりそうだと気づきアイスだけを買った。
アイスを食べているとだんだん空は明るくなってきて、もう夜明けが迫っていた。
ホテル(車)に戻っても眠れないだろうし、もう出発しようということになった。
再びセブンイレブンで朝食用のサンドイッチとコーヒーを買い、我々はモテナス草津を後にした。
滋賀県で愛されているキャラクターとび太くんに見送られ、次の目的地へと向かった。
老若男女、人は誰でも車窓から海が見えると「海だ!海、海」と、はしゃぐ。(と、思う)
びわ湖もほぼ海のようなものなので、見えてくるとやっぱり「びわ湖だ!」とついはしゃいでしまう。
湖畔ではキャンプをしたり、我々のように車中泊を楽しむ人々がちらほらいた。結局我々は車中泊というか、仮眠さえもできなかったのだが⋯⋯。
雲の隙間から光が差し込んだ。日の出だ。キレイだ。あり得ないほど光り輝いている。
朝日は毎日毎日昇るというのに、こうやって目にすることってあんまりない。
だからものすごくめずらしいものを見た、ラッキー! ありがたい! という気持ちになる。
朝日からしてみれば「いや、毎日昇ってるって」と言いたくなるかもしれない。
びわ湖の湖東と湖西を結ぶ橋、琵琶湖大橋を颯爽と渡り、道の駅に到着した。
渡ってきたばかりの琵琶湖大橋を眺めながら、朝食をいただくことにした。
日の出直後、びわ湖のほとりで琵琶湖大橋を眺めながら飲む目覚めのコーヒー、最高だ。寝てないけど。
びわ湖は好きだ。うちらが幼い頃、何度か家族で来た。夏は海水浴ではなく、湖水浴が主流だった。
朝5時。いつもならまだ寝ている時間。
涼しいし、静か。波の音と鳥の声だけが聞こえる。ボートで釣りを楽しむ人もちらほら。犬を連れて湖岸を散歩する人もいる。なんていうか、最高のひとときだ。
次の目的地へ
道の駅のトイレで顔を洗い服を着替え、植物園へ向かった。
朝7時開園と同時に入場できた。寝てないとどんなに朝早くても遅刻する心配がない。
2時間ほど遊んでも、まだ午前9時だ。寝てないってすごい。
「昨日寝てないんだよね〜」とか謎の徹夜自慢をする人は昔からいた。一体何が自慢なんだ? と不思議だったが今ならわかる。
「あたしら、寝てないんですけどー!」
と言いふらしたくなる。
寝ないと一日が長い。すごく得した気分になれるから、みんなやってみたらいいと思う。
午前10時、琵琶湖博物館へ移動。実物大の象の骨などを見学。
昼12時、道の駅でかき氷を食べた。キャッキャッ
午後1時、佐川美術館に移動。キャッキャッ
キャッキャ⋯
キャ⋯
⋯⋯疲れた。
そりゃそうだ。寝てないし。もううちらはキャッキャッとはしゃぐことはなかった。


