ビッくらポンでコマが当たりました
くら寿司では、食べた皿5枚でガチャガチャができるビッくらポンというゲームができる。回転寿司屋さんってたくさんあるけど、今回はこれがやりたくてくら寿司に来ました。
「好きな〇〇は?」と聞かれた時、状況によっては人目を気にした余所行きの答えを言ったりする。大事な処世術ではあるが、そんなことを繰り返していると本当に好きなものを見失うんじゃないだろうか。
納豆巻きがおいしくてそんなことを考えたりしたのだ。
例えば、「好きな〇〇は?」ではなく「死ぬ前に食べたいのは?」「無人島に持っていきたいのは?」と聞くと答えが変わってくるのかもしれない。
そんなアンケートを作って自分の好きなものとは何か、皆で考えた。
ラジオのパーソナリティーが「好きな寿司ネタは納豆巻きだ」と言っていた。
納豆巻きである。えんがわでも中トロでもウニでもイクラでもなく納豆巻き。
その斜め下からの発想にラジオブースは大変盛り上がっていたが、その盛り上がりの裏には飾らない意見をストレートに言う痛快さと納豆巻きのおいしさへの共感があったように思う。
「好きな寿司ネタは」という枕詞のあとには魚や貝や魚卵がくるものだろう。納豆巻きなんて僕は候補にすらなかった。でもそう、僕も好きだ、納豆巻き。いや、かなり好きかもしれない。おいしいから。
納豆巻きが好きだ。でも僕は「好きな寿司ネタは」という話になったら「サーモン」と答える。
整理するとこういう感じだ。
いつどこで食べてもおいしいもの/お寿司を食べる時どこかで必ず食べるもの → サーモン
家で一人でばくばく食べたいもの/たまに強烈に欲するもの → 納豆巻き
聞き方によって好きな寿司ネタが違う。場合によっては自覚していなかった好きなものがあぶり出されたりする。
なんだこれは。好きってなんだ。好きという気持ちとはなんだ。
「言っていなかったけど好き」「自分でも気づいていなかったけど好き」こういうものをあぶり出すためにアンケートを作った。
「山頂で名前を叫びたい」「夢に出てきたことがある」など、そんな寿司ネタない、という質問もあるけど強いて言うならこれ、というものを答える。ちょっと無理をするところに知らない自分への入口があるのだ。筋トレと同じである。
「サーモンが好き」と人には言っていたが実は納豆巻きも好きなことが分かる。あといなりずしもかなり好きだ。寿司ネタって言っていいのか迷ったが、そこを押し切って書くくらい好き。食べるたびにおいしくてびっくりしている気がする。
「これのコスプレをしたい」のところの甘エビは、そういう柄のタイツを履けば甘エビのコスプレってできそうだな、と思って書きました。
注文もそこそこにまずこれを埋めてもらう。
皆さん「そういうことかー」と言いながら真剣に考えて埋めてくれた。
「強いて言うならでいいですよ」と言ったが、いくら強いたって寿司ネタに恩を感じたことなんてないかもしれない、とあとで気がついた。ゼロに何を掛けたってゼロだ。
一人ずつ見ていこう。
まず、ブリが好きな藤原さん。
北向:ブリが「席替えで隣だったら嬉しい」にしか入ってない。
藤原:この質問だけ運の要素が入ってる。席替えって運じゃないですか。ブリが来たら大当たりみたいな、そういう感じです。
ほり:貴重だから自分からは選べない存在なんですね。
北向:「一週間毎日でもいい」のはイカですね。
藤原:イカもけっこう好きです。
北向:ブリよりイカが好きなんじゃないですか?
藤原:イカは好きで当然、っていうところがあるかもしれないですね。殿堂入りしちゃった感じです。
トルー(筆者):ブリとイカがどっちも崖から落ちそうになってるんです。片手だけつかまって。どっちから先に助けますか?
藤原:…ブリですね。ブリは、そのブリしかいないんです。イカは代わりがいっぱいいるので。
トルー:イカにドライ!
ブリをすごく大事にしていることとイカをすごく信頼していること、そして藤原さんの世界にはイカがたくさんいることが分かってきた。どちらが一番か、なんてことを決める必要は全然ない。
ほり:「無人島に持っていきたい」のはエビなんですね。
藤原:このエビは、エサです。
ほり:あー!タイを釣るんだ。
トルー:良いタイが釣れそうな感じする。
分かってきた分かってきた。やっぱり好きにも色々ある。あと山頂で叫びたいのはほっき貝だ。名前が好きなのはほっき貝。
藤原さんの好きな寿司ネタ
北向:好きなのはタイなんですけど、多分彼女みたいに考えていて。両親に紹介したい感じなんですよ、上品で。
トルー:印象がいいですよね。
北向:一方友達みたいに考えてるのはえんがわで。「なんか落ち着く」とか「友達になりたい」とか。
トルー:「一週間毎日でもいい」と「定価の倍でも欲しい」がいかオクラですけど、これは?
北向:これはおいしいなって。恋人とか友達とかじゃなくて。そういうんじゃないんで。
トルー:寿司だ!
ほり:死ぬ前に食べたいのは大トロなんですね。
北向:なんか、ここを避けては通れない感じが。
藤原:死ぬ理由が老衰でも大トロ食べたいですか?
北向:あ、確かに…!きついかもしれない。老衰だったら…、いかオクラかな…。
トルー:いかオクラが大好きなんですよ。
聞きたかったことが聞けた。擬人化もせずストレートに「おいしい」と言えるいかオクラ。北向さんはいかオクラが大好きでした。
北向さんの好きな寿司ネタ
北向:ネギトロ、弱くないですか?
トルー:本当だ、コスプレしたいにしか入ってない。
ほり:自分でも意外だったんですけど、ネギトロがなかなか入らなくて。
トルー:全体を見るとトロというか、マグロが好きなんですよね。
北向:両親に紹介したいのがタイだ。一緒ですね。
ほり:上品でいいですよね。
北向:メガバンクに勤めてるんですよ。27歳ぐらいで。
ほり:分かります分かります。
トルー:…中トロでいいですか?
ほり:好きな寿司ネタですか?
トルー:はい、中トロなんじゃないですか?
トルー:ネギトロと比べてどうですか?
ほり:…圧倒的に中トロですね。「好きな寿司ネタ、中トロ」ってベタすぎて避けてたのかもしれません。これから好きな寿司ネタ、中トロって言います。
藤原:カウンセリングですね。
あまりに何かが見えてきそうなアンケート結果だったのでグイグイやり過ぎてしまった。すみません。好きな寿司ネタ、もちろんネギトロでもいいです。好きなものを好きなように発表しよう。
ほりさんの好きな寿司ネタ
家で妻にもやってもらった。
そう、かなり分かりやすいだろう。えんがわと言っているがいかオクラも大好きだ。こんなにいかオクラが好きなんて知らなかった。無人島に持っていく時は納豆をトッピングする周到さ。
藤原さんの時と同様「えんがわといかオクラが崖から落ちそうになってたらどっちから助ける?」と聞いたら「助け…」ぐらいのタイミングで「いかオクラ!」と答えた。早押しクイズじゃないんだぞ。
理由を聞いたら「いかオクラは私が助けないとなくなってしまいそうだから。えんがわは私が助けなくてもきっと大丈夫」ということだ。でも北向さんもいかオクラ好きだった。潜在的ないかオクラファンが意外と多いことが分かった。
全く同じ質問で動物、お菓子、将棋の駒でもやってみた。印象的だったところを紹介します。
筆者の好きな動物
藤原:これ見て、この人の好きな動物なんでしょうって聞かれたら、犬ですよね。
トルー:犬、でしたね…。
ほり:犬とカメですね。
トルー:両親に紹介したいのがトラなのは、ここで犬は連れてこないぞ、そんなに簡単にはいかないぞ、みたいな世間に対する見栄があるのかもしれません。
北向:心理テストみたいだ。
そう言えば皆寿司ネタの時、「両親に紹介したい」の欄は印象の良さを基準に選んでいた気がする。心理テストではないので分からないけど、ちょっと相関が見えておもしろかった。
藤原さんの好きな動物
ほり:無人島に持っていきたいの、トラなんですか?
藤原:トラと漂流する映画があって、それを思い出して書きました。
北向:ありましたね。
トルー:映画を再現したい、みたいなモチベーションですね。
北向:「恩を感じている」が鶴なのは、鶴の恩返しですか?
藤原:そうですね。鶴が、恩を感じてるんです。
トルー:なぞなぞみたいですね。
藤原:あんまり動物に思い入れがないのかもしれません。
トルー:でも「死ぬ前に会いたい」のが犬だったらけっこう犬好きなんじゃないですか?
藤原:これは、フランダースの犬です。
トルー:コスプレだ。
特に思い入れがないと、コスプレの小道具みたいに好きなものを考えるようになる。でもカバだけは本当に好き。
あと、北向さんは本当にキリンが好きです。
ほりさんの好きなお菓子
お菓子と将棋の駒は時間がなくて、皆さん家で書いたものを送ってもらった。一緒にもらったコメントです。
何らかの賞を獲るべき:たけのこの里。きのこの山に勝ち続けているので賞が与えられる。
これのTシャツが欲しい:たけのこの里。たけのこの里のキャラクターTシャツが欲しい。
俺のことを意識してそう:きのこの山。僕はたけのこの里派であり、きのこに圧勝しているが、きのこサイドが勝手に意識してきそう。釣り合わないのに。
本当にたけのこの里が好きだ。きのこの山への敵対心すら見え隠れする。どっちもおいしいので仲良くしてほしい。
「最後まで」ではなく「最期まで」。果たして死を目前にしてそんな悠長なことを言ってられるだろうか。
北向さんの好きなお菓子
分かる。僕も「両親に紹介したい」の欄に「ポテトチップスにチョコがコーティングされたやつ」と書いた。
あと「好きなお菓子はポッキーです」と言うのをためらう気持ちもなんか分かる。当たり前すぎるのだ。「海は広い」と言っているのと同じ。
藤原さんの好きな将棋の駒
そんな発想なかった。将棋の駒っていつでも戦場を動いているイメージだったけど、大家族の一幕、みたいな考え方もあるのだ。
最後のコメント、将棋ができる人、という感じがした。
「あなたが本当に好きなものは〇〇です」と言われると圧迫感があるけど、書いて、話しているうちに「本当は〇〇が好きかもしれないな…」と言い出す瞬間に立ち会えるのは恋バナみたいで楽しかった。
周りの人間も「ほらほら〜、やっぱり好きなんだよう」と肘でグイグイやったりするのだ。そういうのが楽しくってほりさんに無理に中トロをすすめてしまったことを反省しています。やりすぎは良くない。
せっかく書いてもらったアンケートなので触れられなかったものも含めて、次のページにまとめて掲載します。一番最後に白紙も載せますので、やってみたくなったら是非どうぞ!
藤原さん
北向さん
ほりさん
筆者
藤原さん
北向さん
ほりさん
ちなみにこれ、コアラが1回も出てこないのはどういうことか考えてもらったら、コアラというか中日ドラゴンズのマスコット、ドアラが好きだったのだという結論に落ち着きました。
筆者
藤原さん
北向さん
ほりさん
筆者
実はほりさんと対立していたが、僕の方はそこまできのこの山に思い入れはない。
藤原さん
北向さん
ほりさん
筆者
くら寿司では、食べた皿5枚でガチャガチャができるビッくらポンというゲームができる。回転寿司屋さんってたくさんあるけど、今回はこれがやりたくてくら寿司に来ました。
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