ポークが、でかい
今では沖縄の味としてすっかり定着したポークだが、そもそもは太平洋戦争後のアメリカ統治時代に沖縄に広く普及したと考えられている。
もともと豚食文化のあった沖縄なので、豚肉の代用として使われるようになり一般家庭に浸透していったようだ。
スーパーなどで安価で手に入り長期保存が可能とあって、沖縄では常にストックしているという家庭も少なくない。
沖縄の食堂メニューでおなじみの「ポークたまご」をはじめ、チャンプルー料理や味噌汁の具、ジューシー(沖縄風炊き込みご飯)にと幅広く活用できる便利食材なのだ。
ポークたまごについては以前の記事「沖縄の食堂でポークたまご定食を食べ比べてみた」もご覧いただけると嬉しい。
そんなポークなのだが、先日業務スーパーを訪れた際にまさに業務用の巨大なポーク缶が店頭セールで並んでいた。
重さ1810gとある。1.81kg。2kg近い。スーパーなどで売られている一般的なサイズが300〜400g程度なので約6倍だ。
はじめは食堂を経営している人とかが買うのかな、などと冷やかし目線で眺めていたが、ふと思い出したのだ。石川さんの名作「5リットル入り、すげえでかいアイスが家にやってきた」を。
すげえでかい。それだけでなんだか日常が非日常になって愉快じゃないか。なによりこのすげえでかい缶を、この手で開封してみたい。
幸いポークはアイスと同じく食べきれなかった分は冷凍保存もできる。よし、買うか。
開封する、その前に
缶を開ける前に、このポーク缶の重さを活かしてやってみたいことがあった。
冷蔵庫の野菜室から取り出したしなびかけたきゅうりに塩をまぶし、ラップをかぶせて上からポーク缶をどすん。
そう、ポーク缶を漬物石がわりにした浅漬けだ。まさかポーク缶もこんな用途にされるとは思ってもみなかっただろう。
冷蔵庫に入れて半日ほど寝かせると、ほどよく水分が抜けて美味しいきゅうりの浅漬けができていた。
いよいよ開封の儀に移る
最近の缶詰はプルトップが主流となり、この鍵状のものをクルクル回して巻き取って開けるタイプの缶詰は最近めっきり見かけなくなった。
巻き取り型の代表格だった「ノザキのコンビーフ」も、2020年にこの巻き取り型缶詰の生産終了を発表。新素材のパッケージに移行し大きな話題となった。
久々のクルクル体験に心が躍る。慎重に、慎重に。
息を殺してクルクルすること数分。軌道をそれることなく最後まできれいに巻き取りきることができた。
もしうまく抜けなかったら缶からほじくり出さないといけないのだろうかと案じていたが、油分が多いせいか存外に滑りが良く最後まできれいに抜けてくれた。
ポークタワー現る
でかいポークをしばし鑑賞するとしよう。
缶の形状そのままの完璧な角丸四角柱。ポークタワーだ。ターンテーブルにのせて回したくなるほどの美しさだ。
もし筆者に仏像を彫る趣味があったならば、即座に彫刻刀を取り出していたことだろう。
そそり立つポークタワーの上部を薄くスライスし、フライパンでこんがり焼いていく。
わっはっは、うまいうまい。
焼いたことで表面がカリッとなり、ジャンクな旨味の詰まった油がじわっと溶け出してくる。これはとんだ飯泥棒じゃないか。
食品保存用袋に入れて次の出番まで冷蔵庫で寝かしておく。
隣に並ぶ調味料たちに温かく迎え入れられて心なしかポークも嬉しそうだ。
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