実は今回、短期間であの「なで仏」の輝きを再現したいと思っている。浅草の「なで仏」は26年かかってあの輝きになったわけだが、これは要するに新品の仏像を120万回なでた結果と同じではないのか。
そう考えると今すぐにでもなで始めたくなるだろう、その気持ちわかる。だが、あいにく僕には仏像がない。
まずはなでる仏像探しからはじめなくてはならない。
浅草の土産物屋と現在開催中の「国宝阿修羅展」も見て回ったのだが、でかいものは高いし、木やプラスチックでできているものが多かった。なによりほとんどの仏像は元からピカピカなのだ。あと、こんな目的で購入していいのか、という良心もじゃまをする。
こんなに仏像探しに手間取るとは思ってもみなかったのだが、翌日訪れた鎌倉でちょうどいいのを見つけた。
こうして見るとでかい仏像に見えるだろう、大仏だけに。
でも実際はこのくらいだ。
こちら、もとが仏像型の文鎮なので金属製でしっかりと重いのだ。あの浅草の「なで仏」は黄色かったのでおそらく銅が含まれているのだと思うが、僕が買ったのは黒いのでたぶん鉄が主だろう。そういう意味で到達点は異なるわけだが、それでも金属なので磨けばやはりピカピカになるはずだ。それを証明すべく、これから実際になでまわしていきたいと思う。
実際になで始めてみると、なで方には数種類しかバリエーションがないということに気付く。みなさんも手元にこのくらいの物があったらなでてみてもらいたい。たぶんなで方は下のいずれかに帰着するはずだ。
なでた数を把握しておくため、100回なでる毎に正の字に線を足していく。正の字100個で5万だ。
ここからの進展があまりにもないので飛ばすことにするが、F1中継が始まって終わってそのあとのスポーツ番組が全部終わった頃だ。なで始めて4時間強、正の数で13000回ほどなでた時点で仏像に変化が現れた。
なんと鼻の頭と前髪がむけたのだ。