デジタルリマスター 2022年4月11日

声を固める(デジタルリマスター)

毎回、ここに日頃の疑問を提示し、そこから企画の意図へと話を広げていくわけだが、今回はそんなものはない。

単に「面白そうだからやってみたい」、ただそれだけだ。

2005年5月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

前の記事:いろいろなハムでハムカツを(デジタルリマスター)

> 個人サイト 妄想工作所

始まりは乙

そもそものきっかけは、前回の「あの模式図を作りたい」企画で購入した、 発泡スチロールカッター。あれの使い心地にすっかり参ってしまった。スチロールにめり込んでいく電熱線、じりじり切断されていくスチロールの白い肌……。

あまったスチロール片で、明朝体の「乙」を切り抜いてみた。うまくいったのでお見せしたい。

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お店の憧れのPOPも自由自在!

これをどうにか生かせないかと思ったのだ。これ、というかこのスチロールカッターを、もっと使う機会が欲しい!そのための企画と言っても過言ではない。

やはり切り甲斐があるのは、文字だろうか。でもただ看板作り、というのもあれだな、どうするかと考え、あれを作ってみようと思った。そう、あれ。フキダシ文字。

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いつものように材料オールスター写真。

ドラえもんで「コエカタマリン」という秘密道具が出てくるのをご存知だろうか。「ワッ!」と大声を出すと、「ワッ」という字の通りに声が固まって落ちてくるというもの。その字をどう使うかは忘れたが、あれを実際に表現するとしたらどうなるだろうか。

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塩ビ板に型紙をしいて線をひいていく。
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切るのはハサミでいいらしい。

まずは黄色い塩ビ板に「キャー」と書いて切り抜く。

そう、「黄色い声」だ。まさに黄色い声。アイドルを見てあげる歓声。その声は一体どんな姿をしているのか。材質はガラスっぽいだろう。が、ガラスは危ないので塩ビで代用。字体も、とがった感じにして高音域を表現だ。

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切りくずも鋭利。割れて砕けた声のかけら。

切り口がとがって危ないので、自分でもやってみようという方はお気をつけ下さい。

どんなイメージになったかは最後のページで。

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ウメズ体

次は怖い目にあったとき、驚いたとき発する声。例えば楳図かずお氏の漫画でよく出てくるのが「ギャッ」「ヒッ」などの、短い驚愕フキダシ。「ギャーッ」「ヒーッ」など長音を入れないことでリアリティが増し、余計に読む者に恐怖を感じさせる。

あれを表現するには、そうだな・・・。やはり金属板がいいのではないだろうか。と聞かれても困るか。

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アルミ板に「ギャッ」。

このアルミ板を、ギザギザの切り口にしてみたいので、手芸用のピンキングバサミを使おう。刃こぼれするかもしれないが仕方がない。

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ガオー。

あー、これは危ない。危なすぎるので、軍手か何かをしたほうがいい。今回は素手でやっちまったが、次からは軍手くらい用意しよう。

たまたま最近指が荒れていて、帰省したときにその指を見た母が「いつも変なもの作ってるからじゃない?」と心配してくれた。いや、そんな人体に影響あるようなもの扱ってないから。

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奇跡的に指を切らなかった。
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濁点や「ツ」の離れているパーツは、セロテープ作戦で留める。

「ギャッ」いっちょうあがりー。持つ手が痛い。

エッジはギザギザだが、なんだかいまいち怖い感じが出てないのはなぜだ。どうもアップリケのようなほのぼのとしたアウトラインになってしまったような気がする。

うっとり!スチロールカッター

全国1000万人のスチロールカッターファンの皆さん、お待たせしました。ここからは発泡スチロールで大声系を作ってみたいと思います。カッターを持ってない方は、メリメリめり込むさまを想像して、もだえてください。

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何の言葉かは、今は教えない。
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ジャーン!ジャンジャンジャンジャーン!(遠山の金さん風劇伴で)
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いやっほう。

ちょっとダミ声っぽくするため、ひび割れ感を出していく。われながら芸が細かいねどうも。

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いとも簡単に切れるスチロールカッター、お宅も是非1台。
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「招かれざる声」、ということで灰色に塗る。

スチロールでは2種類作ってみた。大声を、こんな内容で放てばさぞ気持ちいいだろうという声だ。どんなものかは次のページで。さっそく、作ったフキダシ文字をたずさえて街に出てみましょう。

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爪楊枝で濁点を留めていく。

おや、背景の場所が変わったぞ。ここはどこだ。

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音声のユビキタスな視覚化の提案

「街へ出る」と言っておきながらいきなり家から始まる。黄色い声は外ではわかりにくかったのだ。

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出すとしたらこんな感じ。糸で吊ってあるが。

夜は居酒屋へと繰り出す。個室をとったのは、背景がまっさらな方がいいかと思ってのこと。決して恥ずかしいからではない。

結局、ロケ地はほとんど居酒屋になってしまった。

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ギャッ!「熱燗、あっためすぎ!」

左上に人の手が写っているのは何だろう。

さて、この居酒屋もどんどんお客が入りだして騒がしくなってきた。オーダーを店員に伝えるのにも一苦労。大声でないと無理だ。

「えーっと、あと焼き鳥盛り合わせっ!」
「タレ、塩どちらになさいますかぁ!」

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「タレで」

「タレで」

普段の生活で、こんな単語を大声で発声することはめったにない。騒々しい居酒屋、という特殊な状況が生んだ、「タレで」の叫び声。「タレで」と発せられた言葉自体、さぞ恥ずかしかろうと思いやる。

こういううっかりした状況が日常には潜んでいるのを、我々は意外と気づかず通り過ぎていく。

余談だが、谷岡ヤスジ氏の漫画を思い出す。「アサー!」。

そして、最後はカラオケ。これをぜひともやってみたかったのです。

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耳に残るはジャイアンの歌声「ホゲ~」。フキダシ文字の代表。

コンピュータへの入力方法として、音声認識ソフトなどが普及している。まさに、「声を発するとそれが視認性を持つものに変わる」というダイナミズム。

それをこんなふうに実現できたら、と思うとちょっと面白いのではないでしょうか。

次々できたフキダシ文字を掃除するのが大変だけどな!フキダシ公害。

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発声後の後片付けをする。
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