住んでしまえば気にならない
僕はかつて京急の追浜(おっぱま)という駅の近くに住んでいた。今考えるとなかなかきてる名前だと思うのだが、住んでいた頃は何の気なしにオッパマオッパマ言っていた。そんなもんだろう。そこに住む人にとっては駅名なんてたいした問題ではないのだ、きっと。
京浜急行電鉄(京急)の駅名にはなかなかインパクトのあるものが多い。
今回は中でも目をひく「青物横丁」と「鶴見市場」について、現場がどうなっているのか調べてきました。
※2010年10月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
京浜急行は東京とヨコスカとを超高速で結ぶ路線だ。かつて沿線に住んでいた僕にとってはもっぱらそういう認識である(もちろん他にも横浜とかいろんなところに止まる普通の電車です)。
そんな京急には魅力的な名前の駅が多い。たとえばこれなんてどうだ。
「青物横丁(あおものよこちょう)」。wikipediaで調べると「横丁」と付くのは日本でもここだけらしい。そりゃそうだろう、八百屋か、と思う。
いっこ前の新馬場(しんばんば)とかいっこ先の鮫洲(さめず)なんかも響き的にはグッとくるものがあるが、わかりやすく目立つという点では青物横丁の敵ではない。
今回はこの八百屋みたいな名前の駅にいったい何があるのか、降りてみることにした。
青物横丁は以前京急で通勤していた頃、寝過ごして慌てて降りたことが何度かあったが、駅から出たことはなかった。
名前からすると駅前に八百屋ばかりが軒を連ねているイメージだが、実際はどうなんだろう。
さすが青物横丁、青い色であふれていた。
カンのいい読者はお気づきかもしれないが、そんなことはもちろんない。ただ青い看板を積極的に撮ってきただけだ。
そのくらい青物横丁は普通の駅だった。特に八百屋が並んでいるわけでもない。
あ、でも
商店街の蕎麦屋さんで話を聞いてみたところ、かつてはこのあたりに果物と魚とを物々交換するような青果市場があったのだとか。
市場はもうないが、その名前だけが今も残っているのだ。
青物横丁は八百屋ばかりが集まった駅ではなかった。なんとなくわかってはいたが、実際に降りてみると納得の度合いが違う。
今回はもう一カ所用意しているよ。
次はこちら、「鶴見市場(つるみいちば)」。
駅名からして「市場」だ。どんな活気なのか。降りたら冷凍マグロのしっぽの部分が並んでいたりするのかもしれないぞ。いざ。
鶴見市場駅は京急川崎というでかい駅から2駅。前後には八丁畷(はっちょうなわて)とか生麦(なまむぎ)とかこれまた魅力的な名前の駅が控えている。
さて、鶴見市場の市場はどこか。
半分以上予想はしていたが、特に近くに市場などなかった。交番で聞いたから確かだ。市場はどこですか、って聞いたら「ここ」って言われたんだから。
それでもしばらく歩いていたらいろいろなものを見つけた。
電化製品が落ちている町、鶴見市場。サンタクロースでも住んでいるのだろうか。
あと気になったのがこちら
「ゴム通り」だ。はんぱない。
ゴム通りにはかつてゴム工場でもあったのだろう。今では住宅街になっているが、いたるところに「ゴム通り」の表示があることから、住民の間ではこの呼び名で受け入れられているようだ。
そんなゴム通りでひときわ目立つ像を発見した。
青物横丁には大仏が、鶴見市場には自由の女神がいた。なんだ、この地下でねじれてつながっているような感覚は。
やはり鶴見市場にも市場はなかった。かつて市場があった形跡すらない(帰ってから調べたら16世紀ごろ市場があったという話だ)。
京急には他にも梅屋敷(うめやしき)とかYRP野比(わいあーるぴーのび)とか、何があるのかワクワクできる駅がいくつもある。最高だ。
僕はかつて京急の追浜(おっぱま)という駅の近くに住んでいた。今考えるとなかなかきてる名前だと思うのだが、住んでいた頃は何の気なしにオッパマオッパマ言っていた。そんなもんだろう。そこに住む人にとっては駅名なんてたいした問題ではないのだ、きっと。
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