特集 2020年9月27日

本だけでスポーツがうまくなるか(デジタルリマスター版)

運動神経が悪い人の投球

僕は運動神経が悪い。そのへんにいる自称運動オンチたちが、「まさかそこまで…」と眉をしかめるくらい悪い。走っても跳んでも投げても、オールマイティにダメだ。どうだ、まいったか。

そんな文化系の僕だが、文化系は文化系なりに得意なことがある。僕は本やインターネットで調べごとをするのが得意だ。スポーツのことを調べて勉強すれば、それなりにうまくできるようにならないだろうか。上手に、とは言わない。せめて、人よりちょっと下手、くらいのレベルにこぎつけられるのでは。

2007年8月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。

インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。(動画インタビュー)

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> 個人サイト nomoonwalk

机上の勉強だけでボウリングがうまくなりたい

今回挑戦するスポーツは、ボウリングだ。以前、別の記事で54点という得点をたたき出しているが、これが実力だと思っていただいて差し支えない。みんなでボウリングに行くと、一人だけ下手なのでなんとなく場を盛り下げてしまう。そのくらいの低得点だ。

実験をするにあたって、現時点での実力を正確に把握しておきたい。ひとまず素の状態でボウリング場に向かった。

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いきます
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とおっ
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ガーター!
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輝く「G」マーク
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気を取り直して
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やっ
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腕の角度が妙
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結果。81点

そそくさと1ゲーム投げ終えると、結果は81点。下手糞ながらにスペアが1回、ストライクが1回出た。

予想外の高得点にうれしい反面、それだけ実験成功が難しくなったともいえる。とはいえ、ハードルは高いほうが燃える。さっそく帰ってボウリングの勉強だ。ボウリングについて調べつくして、文化系の意地を見せてやろうじゃないか。

 

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勉強スタート

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調達した本の数々

今回の実験にはルールがある。あくまで「勉強」なので、体はいっさい動かしてはいけない。ボウリングをやるのはもちろん、球を投げるマネをするのも禁止だ。体を動かすのは「勉強」ではなく、「練習」だから。

  • ボウリングマガジン ×2

  • ボウリング入門

  • ボーリング用泥水

  • 地域資源ボーリングマニュアル

まずは図書館と古本屋を回り、ボウリングの資料をそろえた

これらを熟読するところからスタートだ。

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自宅で
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電車の中で
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会社デスクで
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すでにボウリング1色と化したデスク
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エスカレーターの上で
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夜は自販機の明かりを利用して
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時にはスピード感にあふれ
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時にはサイケデリックに

1週間にわたる調査の結果、ボウリングのポイントをまとめたものがこれだ。

基本は4歩助走

  1. 右足を踏み出す
    • ボールを前に突き出す
       
  2. 左足
    • 右手でボールを振り下ろして
  3. 右足
    • ボールを振り下ろした勢いで、後ろに大きく振り上げる
  4. 左足
    • そのままボールを振り下ろしてリリース
    • このとき床の上を滑るように
    • ボールを手放すまで指の形を維持し、ボールに回転を与える
    • 十分に腰を落とす(ボールを投げ落とさない)
    • 目線はスパット(レーン上の三角形の目印)を見る

1投目の投げ方

  • 投げる目印は、スパット(レーン上に並んでいる三角の目印)の右から2番目 →右利きのボールは左にカーブするため。
  • 当てる目標は1番と3番のピンの間。

2投目の投げ方

  • 常に一番手前のピンを狙う
  • 端のピンを狙うとき、反対側に移動してレーンに対して斜めに投げる (正面に移動してまっすぐ狙うのではなく)

 

本やインターネットなどの資料から、特に初心者向けと思われるポイントをまとめたのが、上のメモだ。

素人調査なので間違っているところもあるかもしれないが、それはそれ。自分なりにポイントとなる知識はおさえられた。

 

動画でフォーム分析

つづいて、研究した内容を元に、動画で自分のフォームを分析してみた。動画は前のページで81点を出したときに撮影したものだ。

スローモーションの動画(音は出ません)

 

腰が高い

決定的な問題点を発見した。腰が高いのだ。腰を落とすのではなく、背中を曲げてボールを投げている。

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腰高のフォーム

 

これがまずい理由は2つある。

ひとつめに、腰が高いと、ボールを十分に低い位置まで持っていくことができない。そのため、ボールをレーンに投げ落としてしまっている。しかも、ボールを少しでも下げようとして右肩を下げてしまっている。これではまっすぐなリリースができない。

腰が高いとまずいもうひとつの理由は、腰を落とさないと重心が高くなり、体が安定しないことだ。体が安定していない証拠に、投げたあと、バランスがとれずフラフラになってしまっている。

ほかにも、目線が下向き気味、投げるとき指が開いてしまっている、などなど、悪いところはいくつか見て取れる。素人なりの分析だが、自分のフォームの問題点がよくわかった。この癖を直すことができれば、かなり安定した球が投げられるのではないか。本番に向けての期待が高まる

 

実践に備えて

せっかく勉強した成果を、実践で忘れてしまっては意味がない。最後に小細工をしておこう。

 

1号(マウスオンでカンニング)

2号(マウスオンでカンニング)

 

カンニングペーパーだ。これで本番では高得点間違いなし。

さあ、いよいよ明日は本番だ。高鳴る胸をおさえつつ、来るべき本番に備えて床についた。

 

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果たしてうまくなったのか

決戦のときは来た。敵は、先週の自分だ。座学だけで己に打ち勝って、文化系の意地を見せてやるのだ!

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いざ
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はっ
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途中経過
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やっ
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どうだ!?
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ババーン!75点!


夢破れて

だ、だめだぁ。

結果は75点。前回の81点に比べて6点のダウンだ。敗因は1回ずつあったスペア、ストライクをまったく生かせなかったことと、それに動揺して後半でガーターを出しまくったことだ。

勉強前の自分に勝てなかった。悔しい。けっこう自信あったのに!

テンションはすっかり下がってしまったが、せっかくなので勉強の前と勉強の後、フォームを比較してみよう。

勉強前後のフォームを動画で比較(音は出ません)

 

フォームだけ見れば、勉強前に比べて勉強後はだいぶきれいになったように思う。腰も下がっているし、体全体が安定している。目線もしっかり前。これなら高得点も狙えそうなのに、なぜ…。

問題は、このフォームがコンスタントに繰り出せないことにあった。知識はあってもいかんせん練習不足のため、体が自分が思い描くように動いてくれない。うまく体が動けば上の動画になるのだが、うまく動かないときは歩幅が合わなかったり、ヨロヨロとバランスを崩しながら投げることになる。これでは点数が出ないわけだ。


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悔しくてもう1回やった結果

やっぱり練習ですよ

もう1回やってみたのだが、見てのとおり結果は散々。とちゅうでガーターを連発しているのは、手首が痛くなってぜんぜん投げられなくなってしまったからだ。これもたぶん手首の使い方が悪いからなのだろう。

けっきょくのところ、本で勉強しても、実際に体を動かしてみるまではものにはならない。理屈はわかっても、やっぱり身体感覚でつかまないとスポーツはうまくならないのだ。

しかし、本で勉強すること自体は、とても役に立ったように思う。このままなんとなくボウリングをやっていたら、たぶん一生「80点!やったー!」のままだっただろう。しかし正しい知識を身につけたいま、何度かやれば確実にもっと上達しそうな気がするのだ。

「勉強だけではスポーツはうまくならない。でも、勉強して練習もすればたぶんうまくなる。」

考えてみればあたりまえのことだが、これが今回の結論だ。このことを教訓に、今後はまじめに練習を…と言いたいところだが、別にそこまでスポーツ好きなわけじゃないし、別にうまくならなくていいです!体動かすぐらいなら家でマンガ読むもーん!ちぇっ。

 

 

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