机上の勉強だけでボウリングがうまくなりたい
今回挑戦するスポーツは、ボウリングだ。以前、別の記事で54点という得点をたたき出しているが、これが実力だと思っていただいて差し支えない。みんなでボウリングに行くと、一人だけ下手なのでなんとなく場を盛り下げてしまう。そのくらいの低得点だ。
実験をするにあたって、現時点での実力を正確に把握しておきたい。ひとまず素の状態でボウリング場に向かった。
そそくさと1ゲーム投げ終えると、結果は81点。下手糞ながらにスペアが1回、ストライクが1回出た。
予想外の高得点にうれしい反面、それだけ実験成功が難しくなったともいえる。とはいえ、ハードルは高いほうが燃える。さっそく帰ってボウリングの勉強だ。ボウリングについて調べつくして、文化系の意地を見せてやろうじゃないか。
勉強スタート
今回の実験にはルールがある。あくまで「勉強」なので、体はいっさい動かしてはいけない。ボウリングをやるのはもちろん、球を投げるマネをするのも禁止だ。体を動かすのは「勉強」ではなく、「練習」だから。
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ボウリングマガジン ×2
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ボウリング入門
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ボーリング用泥水
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地域資源ボーリングマニュアル
まずは図書館と古本屋を回り、ボウリングの資料をそろえた
これらを熟読するところからスタートだ。
1週間にわたる調査の結果、ボウリングのポイントをまとめたものがこれだ。
基本は4歩助走
- 右足を踏み出す
- 左足
- 右足
- ボールを振り下ろした勢いで、後ろに大きく振り上げる
- 左足
- そのままボールを振り下ろしてリリース
- このとき床の上を滑るように
- ボールを手放すまで指の形を維持し、ボールに回転を与える
- 十分に腰を落とす(ボールを投げ落とさない)
- 目線はスパット(レーン上の三角形の目印)を見る
1投目の投げ方
- 投げる目印は、スパット(レーン上に並んでいる三角の目印)の右から2番目 →右利きのボールは左にカーブするため。
- 当てる目標は1番と3番のピンの間。
2投目の投げ方
- 常に一番手前のピンを狙う
- 端のピンを狙うとき、反対側に移動してレーンに対して斜めに投げる (正面に移動してまっすぐ狙うのではなく)
本やインターネットなどの資料から、特に初心者向けと思われるポイントをまとめたのが、上のメモだ。
素人調査なので間違っているところもあるかもしれないが、それはそれ。自分なりにポイントとなる知識はおさえられた。
動画でフォーム分析
つづいて、研究した内容を元に、動画で自分のフォームを分析してみた。動画は前のページで81点を出したときに撮影したものだ。
スローモーションの動画(音は出ません)
腰が高い
決定的な問題点を発見した。腰が高いのだ。腰を落とすのではなく、背中を曲げてボールを投げている。
これがまずい理由は2つある。
ひとつめに、腰が高いと、ボールを十分に低い位置まで持っていくことができない。そのため、ボールをレーンに投げ落としてしまっている。しかも、ボールを少しでも下げようとして右肩を下げてしまっている。これではまっすぐなリリースができない。
腰が高いとまずいもうひとつの理由は、腰を落とさないと重心が高くなり、体が安定しないことだ。体が安定していない証拠に、投げたあと、バランスがとれずフラフラになってしまっている。
ほかにも、目線が下向き気味、投げるとき指が開いてしまっている、などなど、悪いところはいくつか見て取れる。素人なりの分析だが、自分のフォームの問題点がよくわかった。この癖を直すことができれば、かなり安定した球が投げられるのではないか。本番に向けての期待が高まる
実践に備えて
せっかく勉強した成果を、実践で忘れてしまっては意味がない。最後に小細工をしておこう。
1号(マウスオンでカンニング)
2号(マウスオンでカンニング)
カンニングペーパーだ。これで本番では高得点間違いなし。
さあ、いよいよ明日は本番だ。高鳴る胸をおさえつつ、来るべき本番に備えて床についた。
果たしてうまくなったのか
決戦のときは来た。敵は、先週の自分だ。座学だけで己に打ち勝って、文化系の意地を見せてやるのだ!
夢破れて
だ、だめだぁ。
結果は75点。前回の81点に比べて6点のダウンだ。敗因は1回ずつあったスペア、ストライクをまったく生かせなかったことと、それに動揺して後半でガーターを出しまくったことだ。
勉強前の自分に勝てなかった。悔しい。けっこう自信あったのに!
テンションはすっかり下がってしまったが、せっかくなので勉強の前と勉強の後、フォームを比較してみよう。
勉強前後のフォームを動画で比較(音は出ません)
フォームだけ見れば、勉強前に比べて勉強後はだいぶきれいになったように思う。腰も下がっているし、体全体が安定している。目線もしっかり前。これなら高得点も狙えそうなのに、なぜ…。
問題は、このフォームがコンスタントに繰り出せないことにあった。知識はあってもいかんせん練習不足のため、体が自分が思い描くように動いてくれない。うまく体が動けば上の動画になるのだが、うまく動かないときは歩幅が合わなかったり、ヨロヨロとバランスを崩しながら投げることになる。これでは点数が出ないわけだ。
やっぱり練習ですよ
もう1回やってみたのだが、見てのとおり結果は散々。とちゅうでガーターを連発しているのは、手首が痛くなってぜんぜん投げられなくなってしまったからだ。これもたぶん手首の使い方が悪いからなのだろう。
けっきょくのところ、本で勉強しても、実際に体を動かしてみるまではものにはならない。理屈はわかっても、やっぱり身体感覚でつかまないとスポーツはうまくならないのだ。
しかし、本で勉強すること自体は、とても役に立ったように思う。このままなんとなくボウリングをやっていたら、たぶん一生「80点!やったー!」のままだっただろう。しかし正しい知識を身につけたいま、何度かやれば確実にもっと上達しそうな気がするのだ。
「勉強だけではスポーツはうまくならない。でも、勉強して練習もすればたぶんうまくなる。」
考えてみればあたりまえのことだが、これが今回の結論だ。このことを教訓に、今後はまじめに練習を…と言いたいところだが、別にそこまでスポーツ好きなわけじゃないし、別にうまくならなくていいです!体動かすぐらいなら家でマンガ読むもーん!ちぇっ。