特集 2020年8月9日

お湯のすばらしさを見直す(デジタルリマスター版)

水筒たくさん持ってるだけで人のガードを下げられます

好きなミュージシャンが神宮(球場)に行くときは、魔法瓶に湯豆腐を入れて持っていき、それをつまみにして外野席で酒を飲むと語っていた。

楽しそうだ。真夏でもない限り、ナイターは意外に冷える。そこに湯豆腐。すばらしい。

4年ほど前に河原でカップラーメンを食べたときも楽しかった。あのときはアウトドアコンロでお湯を沸かしたが、あれも魔法瓶でお湯を持っていけばよかったのだ。

お湯があるだけで世界は楽しくなるのではないか。お湯のすばらしさを再認識したい。

2008年6月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

前の記事:名言がまん大会

> 個人サイト webやぎの目

一生分の水筒を買う

お湯をコンパクトに持ち歩くには魔法瓶の水筒だ。

商店街の金物屋で勢いづいて3本も買ってしまった。1本1800円。家に帰って調べたらアマゾンより安かった。すごいぞ商店街。

記事のためではなく、本気で欲しくて買ったものなのでニフティあての領収書はもらってない。これは私物だ。僕が一生使うのだ。

01_001.jpg
0.8リットル入り。合計で2.4リットルのお湯を持ち運びできます

ビジネスシーンにおけるお湯

まずは仕事に持っていく。今日はニフティが運営しているイベントスペース、カルチャーカルチャーでの打ち合わせだ。ステージ上の機材セッティングが淡々と進んでいる。淡々としているというか、クールすぎかもしれない。

01_002.jpg
しかし、機材トラブルで不穏な空気が流れる

この冷たい状況を変えてもらうためにお湯を飲んでもらおう。お湯を飲むとどんな状況でもほっとしてしまうのだ。

01_003.jpg
一気に気が抜ける現場
01_004.jpg
問題は解決してないがまあいいかという気に

なんだこのネスカフェのCMのような表情は。別に頼んで表情を作ってもらったのではなく、お湯を飲んでもらっただけだ。なんの味もついていないお湯。白湯だ。

急いで飲めないのでそこで一呼吸あいてしまうのだ。それで気が抜ける。やがて胃がじんわりあたたかくなる。トラブルが未解決でも現場がおだやかに。

あなたの職場がギスギスしてたらお湯を飲むといい(ギスギスしすぎてるときはお湯掛け合ったりするかもしれないので注意)。お湯のすばらしさ再認識である。

アウトドアにおけるお湯

そして今回の主題、屋外でのお湯の効用である。お湯があればなんとかなる。それを実証したい。

01_010.jpg
お湯があるだけで公園がパラダイスに

まずアウトドアでのお湯の使い道。お湯割りだ。

先日、家でお湯割りを飲んでいたとき、いたずらに焼酎を入れずにお湯だけ飲んでみたらうまかったのだ。焼酎が好きだと思っていたのだが、もしかしたら僕が好きだったのはお湯のほうかもしれない。意外だ。

しかし今回試すのはお湯割りである。説明とやってることが違うじゃん。うん、いま僕もそう思ったところだ。でもどっちも好きだということでご了解願いたい。

01_006.jpg
霧島のお湯割り
01_007.jpg
一見、ピクニックのようだがまさかお湯わりとは思うまい。

魔法瓶のお湯はまだ熱湯だった。ほんとうに魔法っぽい。いつまでもお湯が熱いだけで魔法だなんて不当表示で怒られるんじゃないかと思っていたが、これは魔法と呼んでいいレベルだ。

 

お湯割りでもいいし、お湯のままでもいい

外で飲むお湯割りはうまい。気持ちいいし、ビールのように悪酔いもしない。端から見ればピクニックだし、こりゃいいわいと思っていたのだが、お湯割りを飲んでいるときは酒を飲んでる顔(とコップの持ち方)になるので注意が必要だ。

01_008.jpg
お湯割りを飲んでるとき
01_0099.jpg
白湯を飲んでるとき

注意が必要だ、ってそれは僕の個人的な癖かもしれない。

しかしお湯はおもしろい。アウトドアのお湯割りもいいし、河原でのお湯ストレートも新鮮だ。

さて、飲むだけではなく、お湯で料理をしてしまおう。

いったん広告です


命名:お湯ベキュー

結論から言ってしまうとお湯だけでかなりの食事が作れてしまう。

バーベキューのように火をおこす手間もないし、後かたづけも簡単。飲むだけではなくて調理もできてしまうお湯はすごい。

そんなお湯べキュー(お湯+バーベキューの意の造語)料理を紹介しよう。

02_001.jpg
じゃがりこにお湯を入れてマッシュポテト
02_002.jpg
湯豆腐(手前が取り皿、右はお湯割り)


じゃがりこにお湯を入れるとマッシュポテトになるのは有名だが、別に家でやる必要もないと思っていた。しかしお湯べキューには最適だ。ほどよくあたたかいポテトサラダがお湯割りのアテにちょうどいい。

そして冒頭でも紹介した湯豆腐。魔法瓶のコップ(フタ兼用です)に豆腐を入れて温める。

02_003.jpg
たーのしー♪
02_004.jpg
豆腐パックを分けるときに豆腐汁をこぼす

外で湯豆腐。これまでの記事で5本の指に入る楽しさだ。豆腐の汁を思わずこぼしてしまったが(まずい感じの場所に)そんな誤解をまねく写真も平気で載せるしさだ。

豆腐がもともと冷えていたせいもあり、表面はなまぬるく、なかは冷や奴というふたつの味が楽しめる状態になっていた。

うまいこと言った。


レトルトも温まる

レトルトの調理もできるかもしれない。あんまり暖まらなくてもおなか壊すこともないだろうし…、とさほど期待せずに魔法瓶に突っ込んでみたのだが!

02_005.jpg
レトルトのミネストローネを入れ、お湯を足します
hokahoka.jpg
ほっかほかに!(写真だと伝わらないので書き足しました)


レトルト食品も温められることが分かったのでカレーも可能だろう。ごはんがないのでレトルトのカレーだけを飲むことになるがこの開放感ならばさほど苦にはならないはずだ!(想像で書いてます)。

 

しゃぶしゃぶもできた

生肉にお湯をかければしゃぶしゃぶだ。僕のしゃぶしゃぶ初体験は人より遅く22歳だった。それから15年、河原でポットのお湯で肉を茹でる僕はかなりのアドバンテージを得たのではないだろうか。

注) 念のため生食してもいい肉を使いましょう

02_006.jpg
お湯は出すとすぐにさめるので、肉にかけました
02_007.jpg
肉の色が変わった!

やや(ほぼ)レア気味ではあるがしゃぶしゃぶだ。レア好みのかたにはぴったりのしゃぶしゃぶである。

注) お湯ベキューしゃぶしゃぶを行うかたは豚ではなく牛肉をお使いください。豚だと危険です。お湯ベキューは豪華に。

ちなみに180グラムのしゃぶしゃぶ用の肉を食べるのに800gのお湯が必要だった。200人にひとりぐらいはこの知識が役に立つ日が来るかもしれないので憶えておいてください。

02_008.jpg
お湯ベキューを堪能していると
02_009.jpg
目の前にハトが並んで僕を見てた。
「あいつ河原でしゃぶしゃぶ食べてる!」
「風流!風流!」(←ハトのセリフです)

人類の大発明、お湯

飲んでよし、調理に使ってよしのお湯はすばらしい。僕がにらんだ通りである。今年の下半期のヒット商品番付に入るのではないか。

というのはもちろん冗談で書いているのだけれど、紀元以降に登場したものすべてを対象にしたヒットアイテムランキングがあったらお湯の上位入選は間違いないと思う。ほかは「鉄」とかかもしれない。

02_010.jpg
締めはやっぱり赤いきつね。
▽デイリーポータルZトップへ
20240626banner.jpg
傑作選!シャツ!袋状の便利な布(取っ手付き)買って応援してよう

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ