ぼくのゆめ
僕がみる悪夢は細かいストーリーとかシチュエーションとかは設定されておらず、ただ「ベルトに鍵がついていて外せない」という夢だ。
雰囲気は、家ではなく外で、周りに人はいなかったように思う。はじめは街っぽいところだけど、鍵を開けるのに集中するといつのまにかどこでもない場所に移動している。
何が原因でそんな夢を見ることになったのかよくわからない。フロイト的な夢判断には明るくないが、僕の無意識がすごい警告を発している気がする。
現実に「ベルトに鍵がついてて外せない」なんていうのは誰かに寝ているうちにいたずらされる場合考えられない(それかもっと深い事情があるか)。明らかに夢っぽいシチュエーション。
こんな夢からは可及的速やかに解放されるに限る。ベルトに付いた鍵を外すこと自体はやろうと思えば物理的に不可能ではないから、現実的にやってみて、鍵から解放される感覚をつかんでおこう、というのが今回の趣旨だ。
早速夢っぽい場所を探して、とある公園にやってきた。
普通公園なのだが道や芝が別れているわけでもなく、謎の植木鉢があったりする。ベンチのレイアウトもよく分からない。さらに、この日は曇っていて木陰などにもはっきりとした影はなく…とにかく判然としない公園でかなり夢っぽいと思った。
使うベルトとダイヤル式の鍵は家にあったものを使った。
ベルトと鍵の組み合わせによっては、鍵を開けなくても「知恵の輪」の要領で外れてしまうことがあるようだが、この組み合わせなら外れないことが事前にわかっている。
当然ながら鍵は番号を知らないものを使用した。家の者に開いた状態にしてもらって、番号を見ないようにして持ってきた。頼れる家族だ。
夢から現実へ
夢のシチュエーションを再現する準備は整った。あとはベルトのバックル部分に鍵をつけるだけだ。少しだけ手こずったが、番号を見ないように気をつけながらベルトを封印する。
番号を見ないように気をつけすぎたせいで、鍵の表と裏を間違えて取りつけてしまったが、もう後戻りはできない。操作ミスをしたのに「元に戻す」の文字が灰色になっている。そんなカジュアルな絶望が僕を襲った。
カジュアルな絶望はもうどうでもいいとして、作業にとりかかあることにした。
3桁のダイヤルを総当たりしていくのだが、小さい数字(000)から始めるか大きい数字(999)から始めるか、悩むところだ。悩んでも合理的な結論を得ることはできないので自分の運を信じることにする。
小さい方からだ!