悪夢の状況ついて
さて、鍵のかかったベルトを外すこと自体が我々の最終目標ではなかったことを覚えているだろうか。肝心なのは悪夢が解決したかどうかだ。
結論から言うと「ベルトに鍵がついてて外せない」 夢は見なくなった。夢でベルトに鍵がついた状態になったとしても、ちゃんと外すことができるのだ。現実で鍵を外す感覚が、ちゃんと身についているのだろう。落ち着いて0から始めれば、外せない鍵などないのだ。
今は「鍵を外しても外しても新しい鍵がついてて結局ベルトは外せない」という悪夢を見ている。
初めてみたものの、すごい単調作業だ。「ダイヤルを回す」→「引っ張って確認」の2つのステップを繰り返すだけ。番号が一列に揃っていないときちんと外れてくれない場合があるので、それなりに集中力は必要だ。でも単調なことに変わりはない。
「人生はダイヤル鍵を総当たりで開けるようなものだ」というフレーズを思いついた。深い意味はない。
途中で嫌になってベンチから立って飲み物を買いに行った。相手はベルトなので場所自体は問題ではない。悪夢はいつも自らについて回るのだ。
ベルトが外せない状況で飲み物を飲むのはリスキーな感じもしたが、のどが渇いていたので飲んだ。夢の中では「おしっこがしたいのにベルトが外せない」という状況になったことはないから、きっと大丈夫だと自分を鼓舞しながらの決断である。
1時間たってようやく500番くらいまで作業が終わった。仮に番号が999番だったとしても、あと1時間で終わる。
そう思って一息ついたころに雨が降ってきた。もう全部夢だと思ってしまえば何でも許せる。顔をあげるとボートコースと猫と変なきのこが見える。「夢っぽい場所」を探してここを選んだ自分の勘は鋭かった。
こうした景色の貧困さに加えて、番号が大きくなるにつれてだんだんと不安が大きくなってきた。脳裏によぎる言葉はこれだ。 「もう正解の番号を通り過ぎてしまったのではないか?」
一応丁寧に作業をやってきたつもりだが、誰かがチェックしてくれたわけでもなく、確証はない。
500番からが精神的に長かった。これはまずいかも…と本気で思い始めたころに、音もなく鍵はあいた。結構あっけなかった。
どれくらいあっけなかったかというと、上の頭を抱えた写真と下の喜んでいる写真の間のシーンが無いくらいだ。850番では開かない鍵が、851番だと開く。運というのは端的にそういうものなのかもしれない。
かくして「000からスタートする」という僕の読みは大外れしながらも、鍵は開いた。999から始めれば15分くらいで終わったに違いない。
気がつくと雨が止み、太陽の光が輝いていたのである。こうしてベルトの封印は解かれ、ベルトを外すという目的は達成されたのであった。万歳。
さて、鍵のかかったベルトを外すこと自体が我々の最終目標ではなかったことを覚えているだろうか。肝心なのは悪夢が解決したかどうかだ。
結論から言うと「ベルトに鍵がついてて外せない」 夢は見なくなった。夢でベルトに鍵がついた状態になったとしても、ちゃんと外すことができるのだ。現実で鍵を外す感覚が、ちゃんと身についているのだろう。落ち着いて0から始めれば、外せない鍵などないのだ。
今は「鍵を外しても外しても新しい鍵がついてて結局ベルトは外せない」という悪夢を見ている。
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