特集 2024年12月18日

リトアニア産の「そばの実フレーク」がひき肉っぽくて楽しい

業務スーパーで見つけた「そばの実フレーク」なる商品が、なぜかひき肉っぽくて楽しいんです。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:スーパーで売ってる「合鴨スモーク」の料理用食材としての汎用性


珍しい食品に出会い

いろいろと楽しいものに出会えるので定期的に行っている「業務スーパー」で、気になる輸入食品を見つけ、反射的に買いものかごにほうりこんでしまいました。

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こちら

パッケージには「Grikių DRIBSNIAI BUCKWHEAT FLAKES」と書かれています。なにがなんだかわかりませんが、裏面の表示を見ると、どうやら「そばの実フレーク」という商品だそう。あとから調べてみたところ、前半はリトアニア語、後半は英語で、それぞれ「そばフレーク」という意味の言葉が書かれているようでした。

リトアニア原産の、そばの実のフレーク。そんなの、今まで一度も食べたことない。おそばは大好物ですし、そりゃあ気になりますよね。

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裏面の表示

原材料は潔く「そばの実」オンリー。

フレークといえばおなじみなのは、コーンフレーク。あれ、スナック菓子のようにも見えますが、とうもろこしが原料のコーングリッツを蒸煮してから乾燥させたものなんですよね。このそばの実フレークも、きっと同じような製法で作られているのでしょう。つまり、塩気も油分もない、純粋にそばだけが原料の食品。

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こんな感じ

説明書きによると、熱湯か温めた牛乳を注いで約5分待って食べるようにと書いてあります。試しにそのまま少しだけかじってみましたが、コーンフレークのようなサクサク感というよりは、けっこうハードなバリバリ感で、やはり言われたとおりにして食べるのが良さそう。僕は牛乳があまり得意ではないので、熱湯をかけてみることにします。

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すると

がぜん食べやすく、甘みも塩気もないけれど、もくもくと噛んでいると強めのそばの香りが鼻に抜け、うん、好きな味。ちょろりとだし醤油をかけてみたら、それだけで酒のつまみになりますよ。“変則そばがき”という感じでもあるのかな。

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いいじゃない
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どう食べる?

健康にも良さそうなことは間違いないし、良いものを知ったなと。

ただ、思ったんです。これを毎回お湯で戻して、しょうゆをかけて食べるだけというのも、なんだか味気なくないですか? さすがにちょっとこう、もうひと展開あってもいいんじゃないの? と。

そこでですね、単なる思いつきで、このフレークに焼肉のたれと唐辛子を加え、油炒めにしてみたんです。

理由? 強いていえば「見た目がなんとなくひき肉に似てたから」。

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油とともにフライパンに入れ
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強い味で炒めちゃう

すると、想像の12倍はひき肉っぽい仕上がりの“なにか”が出現してしまいました。

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どう見ても、肉そぼろ?

ほら、見た目、すっごいひき肉っぽさじゃないですか?

で、なにが正解かわからず、これをごはんにのせて食べてみることにします。

すると、当然肉っぽい風味はまったくない。けれども、がっつり焼肉のたれ味の肉そぼろっぽい見た目の食べものであり、さらに、適度に柔らかく、サクッと感も残っている。味わい深い穀物風味と、そばの香りもする。おこげっぽい香ばしさもある。まずくないどころかちゃんと美味しい、脳がバグりかけるなんらかの新しい食べものが、そこに出現していたというわけなんです

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なんだかわかんないけど、うまい!

以上、そばの実フレーク、ひき肉っぽく味つけてみると謎にうまい、という検証結果でした。

さて、ここからはおまけ。

別に僕は、ヴィーガン的な代替肉を求めてこの商品を買ったわけではありません。そこで興味本位で、お湯で戻したそばの実と、豚ひき肉を半々くらいの割合で混ぜて炒めてみちゃいましょうか。

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こういうこと
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境界線は瞬く間に曖昧になり
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終的には完全にひき肉炒めに

今回はこれを、シンプルにだし醤油だけで味つけしてみたんですが、大前提として、うまい。つなぎっぽさはもちろん感じるけれど、そばの香りが嫌いでない人には違和感ないはず。あと逆に、豚の味の強さが少し薄まり、どこか鶏そぼろっぽい優しい味わいになっています。

かさ増し要員としても優秀な気がするし、家計やダイエットの味方にもなってくれそう。

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幅広くひき肉の代用に

ここまでの時点で、ひき肉を加えたり加えなかったりしつつ、たとえば麻婆豆腐、キーマカレー、坦々麺など、よくひき肉が使われる料理にあれこれ使ってみても楽しそうだな、というのが、僕のそばの実フレークに対する印象。

そこで、集大成的にもう1品、あれを作ってみましょうか。ひき肉料理の王者「ハンバーグ」を。

作りかたは、普段僕がなんとなくでよく作っているハンバーグの、ひき肉を、ふやかしたそばの実フレークに置き換えるだけ。

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玉子をひとつ
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パン粉、マヨネーズ、だし醤油などを目分量(刻み玉ねぎ入れ忘れ)
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よく混ぜて
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こねる

この時点で、肌に伝わってくるあまりのひき肉っぽさにまたまた脳がバグりそうになりますが、この手のなかにあるの、ほぼそば粉なんだよな。

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そしたら
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両面焼く

はい完成!

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そばの実フレークのハンバーグ
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断面図

すると! これまたおもしろい。

和風が合うかなと、めんつゆを少しだけかけて食べてみたのですが、外側はさくっと、内側は若干もそっと、味の方向性として近いのは、強いて言えばそば粉のガレットなのかもしれない。けれども食材の構成要素としては、ほぼほぼ月見そばでもある。でも、見た目は完全にハンバーグ。なんなんだこの料理は。

個人的には、その香ばしさと素朴な食感、そばの香りがまったく嫌いではなく、砂糖醤油でもう少しこってりと味つけ、群馬名物の「焼きまんじゅう」のように食べると、さらに美味しいに違いない気がします。

というか、どこかの地方でそれを「そばフレークまんじゅう」とか名前つけて名物にしたら、ワンチャン流行るんじゃないかな? そういうおもしろい情報をめざとく見つけるのが得意なインターネットサイトに「〇〇地方の名物『そばフレークまんじゅう』が完全にハンバーグ」とか、記事として取り上げられたりして。たとえばデイリーポータルZとか。
 


楽しい食材でした

本来の食べかたとはだいぶ違うアレンジをしまくってしまいましたが、健康にも良く、幅広い楽しみかたができるそばの実フレーク。

おすすめです!

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