指だけでもいいかもしれない
箱に匂いをつけているうちに指にバニラエッセンスの匂いが移っていた。指をかぐだけでケーキみたいな匂いが味わえて便利である。
甘い匂いが紙の匂いと混ざっているのも魅力的だが、こちらのほうがよりユビキタスと言える(ちょっとだじゃれ)。
好きな匂いと言ったらケーキの箱だ。
すっきりした紙の匂いに混じるかすかな甘い匂い。ケーキよりも好きかもしれない。
むかし見たSMAP×SMAPのコントでもキムタクがケーキを喜んだあと「あとで箱の匂い嗅ごうな」と言っていた。あの匂いが好きなのは僕だけではないようだ(もしかしたら僕とキムタクのふたりだけかもしれないが、それはそれで光栄だ)。
あの匂いを手軽に、そしてどこでも満喫できるよう工夫しました。
※2010年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
ケーキの箱の匂いははかない。
いい匂いを放つのはケーキを出した直後のわずかな間である。ケーキを出してしばらくすると箱は紙の匂いに戻ってしまうし、箱を冷蔵庫に入れると冷蔵庫の匂いが移ってあの凛とした匂いではなくなってしまう。
あの匂いが永遠に続けばいいのに。
僕の30年来の希望である。それが本稿の主旨だ。
やろうとしたことが4コマで説明できてしまった。
箱にケーキの匂いだけをつけようとしたのだ。
しかし好事魔多し、その箱は求めていたケーキの箱の匂いではないのだ。しいて言えばバニラエッセンスをかけた箱の匂いである(そのままだ)。
バニラエッセンスだけでケーキの匂いを再現できるなんて考えたことがおこがましかった。別の匂いも追加することにした。
ストロベリーエッセンスである。
生クリーム+いちごでケーキの匂いを再現である。
バニラエッセンスだけよりもかなりケーキに近づいた。
しかしこのストロベリーエッセンスがいちごの匂いではなく、いちご味のガムの匂いなのだ。森進一のモノマネのように本物よりもわかりやすい。
箱からちょっと離れてかぐとケーキの箱の匂いに近くなることがわかった。
近いと「はい、ケーキでございますよ~」という狙っている感が出てしまうのだ。簡単に言うといいにおいの消しゴムの匂いである。
この「ケーキの匂いだけ箱」があればどこでもケーキの箱の匂いが楽しめる。
しかもケーキが入ってないので箱が斜めになってないかなど気にする必要もないのだ。ストレスフリー。
匂いはするけど箱だけなので函館に行くのはどうだろうと思っていた。だじゃれである。いい匂い!でも箱だけ。そしてここは函館!と展開して引きの写真がいきなり函館なのだ。
でも7年前に函館に行ったときの写真があったのでそれで代用することにした。
………。
行かなくてよかった。
時間とお金を掛けてこれぐらいの落差だったら函館から帰ってこられなくなるところだった。
箱を振り回して歩いているうちに日が暮れたので家に帰った。ケーキの箱の匂いを嗅いだだけなのにケーキを食べたような気になっているのが発見だった。
箱に匂いをつけているうちに指にバニラエッセンスの匂いが移っていた。指をかぐだけでケーキみたいな匂いが味わえて便利である。
甘い匂いが紙の匂いと混ざっているのも魅力的だが、こちらのほうがよりユビキタスと言える(ちょっとだじゃれ)。
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