特集 2024年3月19日

今こそみんなで語り合おう。就業中の眠気問題

自営業者である私は、結婚するまで会社員として働いていた妻から聞く話に驚くことも多い。その中でも一番衝撃を覚えたのは、「仕事中にどうしても眠くなると、トイレの個室で寝る人もいる」という話。えっ!トイレで寝る?

あまりに驚いたのでDPZライター陣や私の知人に、「就業中に眠くなったらどうしますか?仕事中の眠気に関してエピソードありますか?」という質問を投げかけてみた。大っぴらに話すのは憚れるこの問題。興味深い話が数多く集まったので、今回はそれらを紹介していきたい。

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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我々は日々、眠気と戦っている

今回、あらためて感じたのは、眠気の問題を抱えている人は多いということだ。

10年弱の間、IT系の企業で会社勤めをしていました。毎日とにかく猛烈に眠かった記憶があります。入社初日、会社の業務の説明を受けている時も寝ていましたし、マンツーマンの打ち合わせで寝ていたこともあります(40代 ライター)
片手で両目を覆うように隠して考えるふりをしながら寝ることがあります。もしくは片目だけ閉じたりして、片方の脳だけ寝かせようとかします(30代 情報セキュリティ担当者)

片方の脳だけ寝かせる。私はとてつもない世界を覗き込もうとしているのか?

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トイレというオアシス

そして「トイレでの睡眠」問題。これはもう、会社員にとっては当たり前の話のようである。

自席で堂々と眠れる環境ではなかったので、昼食を食べた後は頻繁にトイレの個室で寝てました。便座に座って眠るのですが、寝ぼけて用を足してしまうのが怖くて、念のためズボンを下ろして寝ていました。二日酔いで出勤した日はさらに眠くて、一日の大半をトイレ内で過ごした日もあります(40代 ライター)
眠くてどうしようもなくなりビル内をくまなく探した結果、「どこよりも確実にこっそり眠れる場所はトイレ」という結論にたどり着きました。勤務中に5分だけ寝るつもりが、気がついたら1時間以上眠り呆けていたことも(40代 編集)

時には長時間睡眠も発生してしまうようだ。

昔いた会社はトイレの個室から携帯のボタンを連打している音(ガラケー時代の話)と寝息がそれぞれ聞こえてきて、5つの個室が仮眠派とゲーム派の陣取り争いになっていました(40代 元SE)
大きめの会社に勤めている時は、私もトイレで寝てました。昼休み明けは仮眠したい人達が大勢いるので、並んで個室を獲得する感じです。なかなか出てこない人達に怒りを覚えていました(40代 事務職)

個室の順番待ち、という事態も発生するようである。

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移動中の睡魔という問題

睡魔が襲ってくるのは会社内だけとは限らない。

僕は車の助手席に乗ると反射的に寝てしまう性質みたいです。会社に入ってすぐの頃、色んなところに連れて行ってもらう間だいたい寝ていました。怒られたことはなかったのですが、僕が帰ったあと「あいつ寝た?」「部長いるのに寝てたよ…」みたいな話をみんなでしていたらしいです(30代 元営業職)
10代の頃、建築設計事務所に勤めていました。上司が運転する車で現場に出る際「絶対寝るな」という上司と「目的地まで寝てて良い」という上司がいて、後者に当たると嬉しかったです。絶対寝るな上司は、私が運転すると秒で寝てました(30代イラストレーター)

私も助手席に座ると瞬時に眠気が襲ってくるタイプの人間だ。それが就業中となると、相当大変だろう。

電車移動のときも20分あれば寝ます(30代 情報セキュリティ担当者)
以前、保険の営業をしていました。営業だったので寝やすかったです。一番よくやったのは、電車でも行ける場所にわざとバスを使い車内で寝るやつです。山手線で寝るのもいいんですが、寝過ぎてしまうのであまり使いませんでした(50代イラストレーター)

確かに仕事中に山手線を何周もしてしまう危険性は避けたい。

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予想外の睡眠事件簿

会社員だからこそのディティールに満ちた回答も。

昔勤めていた会社はパーテーションがあり、お互いの顔が見えないので眠くてもウトウトできたのですが、マウスを飛ばしてしまうのです。マウスを飛ばすとパーテーションに当たって凄い音がします。同じような人が他にもいてガツン!と音がすると「誰か寝てるな…」と思ってました。寝入るとマウスを飛ばす、これ分かる人いますかね?(30代イラストレーター)

「常にマウスを持って作業している状態→寝入る→体が前に倒れる→力が抜けてマウスが手から離れる」ということらしい。マウスが当たる音、聞いたことがある人いますか?

競合の提案に上司と行った際の話です。提案の最中、決定権を持っているクライアントの社長の瞼が少しずつ下がり始めました。上司はなんとか眠らないように声量を上げたのですが、最終的に社長は夢の中へ。完全に寝ている人に対して提案する上司がとても格好良く見えました。ちなみに競合は負けました(30代 広告業)

相手方が寝てしまう、というパターンもあった!

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・眠気対策

やはり眠くなるのは昼食後が多いようで、昼休みに対策をしている人も多かった。

お昼休みは自分の机で座りながらのうつぶせ姿勢で腕がしびれるぐらい寝てます(30代 情報セキュリティ担当者)
昼休みは早く食事を済ませ、机に突っ伏して寝てました。椅子で腕組みして寝ている人を見るとハラハラします。私なら、本気で寝たら椅子から落ちてしまうからです。突っ伏して寝ない人は凄いです(40代 事務職)

皆さん、睡眠時間の為に昼食の時間を削る、などの努力もしているのだろうか?よく食べ、よく眠れる社会になって欲しい。

勤務中はこっそりでしたが、昼休みは堂々と眠れる会社でした。休憩室が畳だったのが大きいと思っています。思い切り寝たい日は、他の人と休憩時間を大幅にずらして、畳を占領できるようにスケジュールを工夫していました(40代 編集)

このお話を聞いて、映画『勝手にふるえてろ』を思い出した。主人公が勤める会社の休憩室も畳敷きで、昼食後に女子社員が皆で一斉に眠るシーンがあった。畳敷きの休憩室で眠る、というのもよくある話なのだろうか?

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中には「堂々と寝る」派も

会社内の空気として、あるいは個人の意思として積極的に睡眠を選択する回答もあった。

うちの場合は、寝てる人がいてもそのままです。眠い時には寝るべき、眠いまま作業して事故ってもしょうがない、という暗黙の理解があるからだと思います。会議室で寝る人もいます。いびきが大きいとかで迷惑がかかりそうなら注意します(40代 プログラマー)
小規模の会社の事務だったので、営業の人が出払ってると普通に寝てました。部屋を真っ暗にして椅子で寝てたら、帰ってきた営業の人に「死んでるかと思った」と驚かれたことがあります(30代 ライター)
アパートの1室で従業員6名の規模の会社で勤務していた頃は、5名の社員が好きな時に寝ていました。入社して数日は、とんでもない会社に来てしまった…と焦りましたが慣れました(40代 事務職)

勿論、積極的に睡眠を推奨しているわけではないだろうが、「眠い状態で仕事をしてパフォーマンスが落ちては困る」、というのはもっともな気がする。また会社の規模や職種によっても、睡眠事情は変わるらしい。

何人か現れた猛者も紹介したい。

新卒で入った会社にいた頃、営業で回るエリアと自宅が近かったので時々家に帰って寝ていました(20代 元営業職)
入社した会社の上司が大学の先輩だったこともあり、仕事中に眠たくなったら寝ていました。そのことで先輩から注意されたことはなかったと思います(40代 映像制作業)

眠たきゃ寝る。生物としては当然なのだが、社員としては相当に強い心が必要となりそうだ。

眠気というのは生理現象の中でもコントロールが難しい部類に入るものだと思うので、正直次のご意見が皆さんの本音だと思う。

僕自身は眠気を自覚する前に意識を失ってしまうことが多いタイプなのでノーガードです…(40代 元SE)

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皆さんの眠気話も是非お聞かせください

ふと気になって始めたアンケートだったが、うっかり日本社会の深い部分にタッチしてしまった。厚生労働省の資料などを読んでみたら、日本人は恒常的に睡眠が足りてないし、世界でも短い国に入るらしい。

はっきりさせよう。私達はいつも、眠い。まずはこの事実と向き合うことから始めたい。今回は「会社員と眠気」の話が多かったが、他にも様々な職種における眠気話、リモートワークが定着して以降の“寝ることができてしまう環境”の話、聞きたいことは山ほどある。

そこで、DPZ読者の皆様の「就業中の眠気話」もお聞きしたく、フォームを用意しました。勿論、個人が特定できるような形では公開しませんので、是非ご参加ください。

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