新たな宣伝手法の発見…なのか?
今思い返してみると、変な話です。人を笑わせる能力と食べ物の良し悪しを見分ける能力は、本来まったく関係ないはずなので。「商店街の惣菜屋や旅先で通りがかった店がテレビに取り上げられてると知ると、つい気になってしまう」なんて、いい加減な感性ですよ。
いい加減な感性ではあるけれども。プラセボ的な味の向上や集客向上といった効果が実際に生まれてしまう、というのも事実だと思うのです。メディアでは毎日のように、芸能人やスポーツ選手などが薦める逸品が紹介されているじゃないですか。
「テレビで紹介された際の写真」に色んな効果があるのなら、もうテレビで紹介されてなくてもそれっぽいのを自分で作っちゃえば良いんじゃないでしょうか?
今回、良いのが出来たので作成手順をお教えします。
新宿の路上で「概念」を食らう
まずはDPZ林編集長、西村さん、トルーさん、べつやくさんの面々を動画撮影しました。
最初はコロッケや肉まんを食べてもらおうかと思いましたが、それだと特定のお店にしか対応できません。今回は汎用性を持たせる為に、紙を丸めた「美味さの概念」を用意し食レポをしてもらいました。
今までも散々無理な企画に協力をお願いしてきましたが、今回はそれらとは比較にならないほど、私の目指しているゴール地点が皆に伝わってません。それでもなんとか、必死に食レポをしてくれてます。
さて、撮影が終わったら動画にテロップやワイプの映像を追加し、テレビで放送されていそうな番組に仕立て上げます。
なんかもう、これでやり遂げた感じになりましたが、ゴールはまだもう少し先です。
むしろここからが腕の見せ所
この動画から画像を切り出してプリントアウトすれば良いと思われるかもしれませんが、それでは駄目なのです。
店に貼ってある写真っぽさを出すためにはテレビに動画を映し、その画面を写真に撮らなければならないのです。
これをプリントアウトしてようやく完成です。
(余談ですけど、先ほどの写真の石井密度の濃さにはクラクラ来てしまいますね)
効果のほどは如何に
試しに家の壁に貼った写真を見ながら、雪見だいふくを食べてみます。その効果や如何に。
DPZ読者の皆様には正直な気持ちをお伝えしたいので、本当のことを書きます。知覚過敏が酷すぎて、味どころではありませんでした。
ちょうど地元の町会行事で炊き出しをやるので、そこで写真の効果を試すことにします。
私がDPZに書きたいことって、「真実」しかないので本当に起きたことを書きます。近所の皆様に「これ何?」と聞かれて、何度も苦笑いしてやり過ごしてるうちになんか辛くなってきてしまいまして。20分くらいでそっとどかしてしまったので、効果のほどは証明できませんでした。
ですから、この写真の効果はむしろ皆様に検証して頂きたい。フリー素材として置いておきますので是非お使いください。
小学生の時の生徒会長選挙。「僕が生徒会長になったら、一年間半袖短パンで通します!」と叫んで爆笑を誘い、圧倒的な票数で当選した子がいた。私は内心(生徒会の運営と何の関係もないだろ)と呆れていた。初めて経験するポピュリズムだった。
それから30年。私は「テレビで芸能人が褒めてたら美味しく感じるはず!」という記事を書いている。これではあの日、半袖短パンに投票した皆と一緒ではないか…。でも違う。私は鈍感な大人になってしまったのではない。今の私は人間のいい加減さに嘆息するのではなく、「いい加減な判断基準が人を動かす」という事実をより掘り下げて考えてみたいのだ。