特集 2023年2月17日

職人中学生が旋盤で削りだしてる木軸のペンが超絶かっこいい

そもそもなんで削り始めたのかという話

場所を工房からDRAGONWOODくんのご自宅(徒歩で数分)に移して、改めてお話をうかがうことにした。

ついでに、さっき削りだしたばかりの軸をボールペンにまで仕上げてもらうのだ。

015.jpg
DRAGONWOODくんのご自宅にて。ずらっと並んでいるのは、これまでに作られたペンの一部。

きだて えーと、そもそもなんで木軸のペンを作ろうかと思い至った?というところから聞きたいんですけど。

DRA もともと小学校の頃から文房具は好きやったんです。で、かっこいいペンが欲しいなと思ったんやけど、どうせやったらクラスの誰もが持ってないようなんがいいなー、と思て。

016.jpg
話と平行しつつ、ペンの組み立て作業もスタート。手元にあるのは、軸に金属パーツを圧入するペンプレスという機械だ。

なるほど、自分だけのワンオフに憧れるのはすごい分かる。ただ、それをじゃあ自分で作っちゃえというのは、なかなかの飛躍ではないだろうか。

DRA いやでも、周りに木材はいっぱいあるし、これ削った木軸やったら自分でも作れるわ、って。

017.jpg
軸と金具をセットして、グイッとレバーを押し込む。
018.jpg
また一段ペンっぽさが増してきた。完成まではもうあと一息ってところ。

あー、そうだった。子どもの頃からあの工房で過ごしてたら、そういう発想に行き着くのははむしろ自然なのかも。欲しいものは自分で作れば良いのである。

しかも見回せば材料も機材もあって、分からないところはプロであるお父さんたちに聞ける。メイカーのスタートとしては最高の環境じゃん、それ。

019.jpg
あとは口金やクリップ、ノックパーツをつけていけば……
020.jpg
山桃の木軸シャープペンシル、完成だ!

きだて 最初は自分用として作ってたのは分かったけど、今は通販をしてるよね。自分の作った木軸が売れるぞと思ったのは、いつぐらいから?

DRA うーん、しばらくはただなんとなく何本も削ってたんですけど。母の日にお母さんにあげたりとか

DRA父 売れるレベルに仕上がってきたんは50本めぐらいからかな? 趣味で削るにしても、木材も金具もタダではないし。作りたいんやったら売ってお金にして、それでまた作りなさい…ということを説明したんですよ。

021.JPG
商品として販売するときは、お姉さんがデザインしてくれたDRAGONWOODステッカーが貼られた紙箱に入れて、かっこいい名刺もつく。

作り方だけでなく、物作りを続けて行くためのお金の部分(超重要)まで教えてもらえるとは。

さっき「メイカーのスタートとして最高の環境」と書いたけど、本当に、これ以上ないぐらいに最高の環境じゃないか。

お父さんからDRAGONWOODくんへ、職人としての歩き方を教えておられるんだな、というのが感じ取れる。

ただ、本人は後から「いや、家は継がないです。僕は筆記具メーカーに就職したいんで」と言ってたけど。

022.jpg
DRAGONWOODくんの作業を見守るお父さん。師匠と弟子的な厳しさはないけど、普通の親子という感じともちょっと違う。

そもそも中学生男子にとって父親なんてうっとうしいだけ、というのはどのご家庭でもさほど代わらないと思う。

だけど今回の取材中、お父さんが技術的な話をすると、DRAGONWOODくんがそれを一度自分の中で咀嚼するように「……うん」と真面目に頷くシーンが何度かあって。なんとなく、普通の反抗期とか思春期の親子関係とはちょっと違う不思議な関係性だなー、と感じていたのだ。

⏩ 次ページに続きます

<もどる ▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ