大量のラブレターをねつ造する
靴箱をラブレターで満たしていき、何通からどわーっとあふれるのかを知りたい。
あのマンガのキャラクターたちは一体どんだけ手紙をもらっていたのか。大量のラブレターをねつ造して靴箱に突っ込み、何通であふれるか調べよう。
文房具屋さんでレターセットを物色してきた。レターセットというもの自体に触れるのが久しぶりだったのだが、全体的に過剰ともいえる柄のデザインに驚いた。超かわいい。
それにやたらに量も多い。1パックに封筒24枚、便箋48枚とシールがセットされてる。「ボリュームセット」とある。そんなに手紙って出すものなのか。
ぜんぶで252通ぶん買いました
数を稼ぐためにかわいい系のレターセットの他に普通の便箋と封筒も大量に購入。よしラブをレターにするぞ。
奇をてらって買ったエアメール用封筒は、よくよく考えたら思春期の私がやりそうだなと思って後ですごく恥ずかしくなった。
……。
さて、買物するだけですでに色々と物語が始まってしまったレターセットたち。なんとなくこれくらい! と買ってきて数えてみたところ、全部であわせて252通あった。これで靴箱はあふれるだろうか。
252通なんてったら40人ひとクラスが6クラスあったとして、男女問わずその全員とさらに先輩・後輩からもちょっともらえるという数。今は子どもの数も少ないようだから、30人ひとクラス×2クラスなんて人数だと3学年の全員と教職員入れても足りない。えらいこっちゃだ。
ではラブレター、書いてみましょう
買物するだけで準備は終わらない。便箋に思いのたけを書いて封筒に入れなければ。さすがに252通ものラブレターを書くのは難しいが、1通ぐらい書かなくては格好がつかないだろう。
だめだ!
そういえばラブレターなんて書いたことない。ないよね、ないだろう普通。いや、あるのか? わからないけど、ニセモノのラブレターを書くってかなり難しい。これを読んでいる方、どうかちょっとそこらの紙に
「あなたのことがずっと好きでした」
とか、愛を告白する文を手で書いてみて欲しい。キーボードで打ち込むのとはちょっと訳が違う手に汗感。あぶーっとなりませんか。ね、あぶーでしょう。
結局、ラブレターを書くのはあきらめた。あきらめて、何も書いていない便箋を2枚、封筒に入れた。
なんだろう歌詞みたいな一文になってますね。
封筒に便箋を詰める作業
とにかくあとはただただ作業だ。252通にぜんぶ白紙の便箋を折っては入れる。
何も入っていない封筒だけを靴箱に入れてもいいのいかもしれないが、厚みなどで靴箱に入る量も変わってくるだろう。
封筒も便箋ももったいないので再利用できるように封はしないことにした。
最初は何も書いていない便箋を封筒に入れることに妙な違和感があったのだが、50通を超えたところで完全に内職スイッチがオン。こうなると早い。
さあ、準備が整いましたよ
人海戦術でどーんと252通の内容のないラブレターが完成した。
そういえば、子供のころ手紙が大好きだった私だ。自分宛に手紙が来るのが楽しみで郵便受けのチェックは日課だった。配達のバイクが家の前に停まるたびに郵便屋さんか新聞屋さんか確認したほどだったからよっぽどだ。
ニセモノとはいえ、便箋が収まった封筒が252通分もあるとさすがにわくわくの動悸がする。やっぱり手紙はいいなあ。
ではいよいよ靴箱に入れていこうじゃないですか。学校にあてがないので、会社の更衣室にあるロッカーを使うことに。このロッカーがちょうど靴箱サイズなのだ。
10通ずつ入れてみます
測ってみたら、ロッカーはだいたい縦33.5cm×横32cm×高さ27cmあった。28,944立法cmと計算したところでどうなのかは全くわからない。
ただ、なんとなくものすごくいっぱい入りそうな気がする。
そういえば学校の下駄箱は2段に分かれていて、上の段に上履きを、下の段に靴を入れていた。ロッカーに段がついていないのが少し心残りだが仕方あるまい。
会社で使っている室内履きを入れて、さあ検証です。
252通、全部入り切ってしまった…が
まずはどうなったか、アニメーションGIFにしました。どうぞ!
なんと、252通は余裕で靴箱のなかにおさまってしまった。なんと……!
ただ、上のアニメには入っていないが実は210通を入れたところで一度バラバラっと手紙が滑り落ちるというシーンがあった。
とはいえ、ぐっと奥まで詰めればまだまだ余裕で手紙が入る。さらに残りを入れ続けたところ、今度はぎゅうぎゅうに詰まって密度が増し、逆に出てこなくなってしまった。
「手紙があふれ出る」のに必要なのは、どうやら手紙の数ではなく、入れ方のようだ。
きっちり詰めれば手紙は落ちてこない。ガサガサとアンバランスに詰めれば少量でもバラバラと落ちてくる。
数を入れればいいという話ではなかったのだ。
そこで、今回のミッション「靴箱のラブレターは何通であふれ出すのか」については
手紙の入れ方のバランスや靴箱のサイズにもよるが、だいたい200通を目安に落ちてくる
という結果を一旦つけたいと思う。200人からの求愛。そんなに人気なら、もう学校は辞めてスナックでもやったほうがいいんじゃないか。
ぶわっと落ちるまで頑張ろう
一応のケリはついたものの、やはりこれだけでは満足がいかない。
引き続き入れ方に工夫しつつ「ぶわっ」とマンガのようにラブレターがなだれてくる様子をなんとか撮影したいと思う。
文房具やさんへ走って追加のラブレター用の便箋と封筒100通分を用意した。財布にお金がなかったから貯金おろしましたよ! ウラー! ウーララー!
最初は便箋や封筒にもこだわって用意したが、こうなってくるともういろいろ構ってはいられない。追加分は安い茶封筒と同じく安売りをしていたエアメール用封筒を買ってきた。
全校生徒と教職員の全員からラブレターをもらった挙句海外に転校した転校生(エアメール)からと近所の会社に勤める事務員さん(茶封筒)までからもラブレターが届く、そんな感じか。
学校を辞めて出したスナックを拡張してもいい頃合になってきた。支店を出そう。
325通を効率的に噴出させたい
やはりというか、追加分も簡単に靴箱は飲み込んだ。ぴっちり並べたらまだまだいけそうだ。600通ぐらいは入るんじゃないか。こうなったら町内全員からラブレターもらえばいい。
だが、ぶわーっと噴出させるには今入っているぐらいの量がおそらくベストだろうと思う。これ以上詰め込むとこぼれにくくなるだけだ。
順調に黒字をたたき出すスナック。支店はよくばらず1店舗だけにしてしっかりと経営していきたい。
手をつっこみ、ごそごそと手紙同士を複雑に組んでできるだけ不安定な状態にして扉を閉めるというのを繰り返す。
なかなかうまくはなだれ出てこず、ぽろっと1通とか地味に落ちてきたりするのが悲しい時間がすぎた。
そして……。
コツがありました
靴箱から手紙を流れ出させるにはコツがあることが分かった。
・最初に奥に手紙を積み、坂を作る
・坂の上に滑り出すようにさらに横に手紙を積む
・扉の手前には扉を開けると倒れてくるように手紙をたくさん縦に置く
これでたとえ少ない数でも効率的に手紙を落とすことができると思う。
靴箱からたくさんのラブレターがあふれている人は、ものすごい数のラブレターをもらっている上に、偶然うまく外になだれてくるように手紙が靴箱のなかでうまく積まれている人だ、ということがわかりました。
久しぶりに便箋と封筒に触れてすごく手紙が書きたくなりました。おばあちゃんにでも書くかなあ。
あと、なぜかちょっとした飲み屋を出したくなってきたんですがなんでだろう。