庭が酒くさい
覚醒の儀式を終えたあと、数時間は庭が酒くさかった。
誰もシーサーが飲んだことが原因だとは、夢にも思わないだろう。
儀式の詳細が記されている『沖縄 暮らしのしきたり読本』が届いた。よく読んで、実際に我が家のシーサーを覚醒させたい。
こちらの本によると、儀式の具体的な流れは下記の通りだ。
① シーサーに塩を振りかけ、清める。
② 水をジャブジャブかけて、すべてを洗い流す。
③ シーサーの口に酒を注ぐ。
④ 大きく息を吸い込み、勢いよくシーサーに息を吹きかける。
⑤ シーサーのそばで大きく柏手を打つ。
なるほど、塩や酒が必要なのか。
塩は家にもともとあったものを使えそうだが、酒を飲む人がいない我が家には酒が料理酒しかない。
料理酒では問題がありそうだったので、酒と聞いて一番に思い浮かんだワンカップ大関を買ってきた。
儀式を行う日まできれいに取っておこうとキッチンに置いておいたら、夫に「これ飲むの!?」と驚かれた。「いやいや、シーサーが飲むんだよ」と弁解したが、よく考えると内容がおかしい。
必要なものも揃い、儀式の準備は万端だ。
玄関、リビング、寝室、トイレ、庭など各所にあったシーサーを集合させた。数えたら全部で19セットもあり、自分で買い集めておいてその多さに動揺する。
緊張のファーストステップ、まずは塩を振りかける。
そして、水でジャブジャブ洗い流す!
次に、シーサーの口にワンカップ大関を注ぐ。
シーサーの口に酒を注いでいたら、近所に住む義母が様子を見に来た。「まだまだ暑いですね」などと世間話をしながら、シーサーの口に酒を次々と運ぶわたし。
この嫁は大丈夫かと思われたかもしれない。
全シーサーの口に酒を注いだら、いよいよクライマックス!
大きく息を吸い込み、勢いよくシーサーに息を吹きかける。
最後に、シーサーのそばで大きく拍手を打つ!
これで無事、覚醒の儀式が完了だ。
シーサーの数が多くて口に酒を注ぐ工程が少し大変だったが、なんとかやりきった。
誰かに見られないかドキドキしながら儀式を進めるのは、なかなか刺激的だった。
覚醒の儀式を受けたシーサーを部屋に戻し並べてみたら、皆すがすがしい顔をしていた。
親戚のMちゃんや與座さん、安藤さん、やんばるたろうさんに話を聞いた時はあまりの馴染みのなさに正直不安になったが、実際に儀式をやってみて、わたし自身もよりシーサーに愛着を持てた気がする。
ホコリをかぶっていたシーサーもきれいになり、一石二鳥。
これからは今まで以上にそのパワーを発揮し、わたしたちを守ってくれるに違いない。
覚醒の儀式を終えたあと、数時間は庭が酒くさかった。
誰もシーサーが飲んだことが原因だとは、夢にも思わないだろう。
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