あとがき
白い炭酸飲料が好きだ。正確には乳性炭酸飲料というらしい。牛乳やヨーグルト由来の成分が入っている、石灰を溶かしたような色の甘酸っぱいソーダ。有名どころだとカルピスソーダとスコール、アンバササワーホワイトがBIG3と言えるだろうか。
生活圏ではそれ以外ほとんど見かけないけれど、調べてみるといろいろあった。どんな味なのか。というか、そもそも違いはあるのか。
気になったので、できるだけ手に入れて飲み比べてみた。
もしかすると、当サイトで僕の記事を読んでくれている方の中には「おまえはコーラ好きじゃないのか」と思う方もいるかも知れない。過去に何度か記事に書いた(コーラにいちばん合うじゃがいも料理を探す 、コーラをぐっと濃厚にする)し、実際にいちばん好きな飲み物はコーラである。
しかし白い炭酸も好きなのだ。
どのくらい好きかと言うと、ずっと昔mixiのアクティブユーザーだったころに「乳性炭酸飲料愛好会」というコミュニティを立ち上げたくらい(。立ち上げただけでその後10年放置しているので説得力ないけど。
コーラは基本的に家でしか飲まず、外出先のコンビニや自販機ではあれば白い炭酸を買ってしまう。でも特に好きなブランドがあるわけではなく、カルピスソーダがあればカルピスソーダを、スコールがあればスコールを疑いなく買う。新製品を見つければとりあえず手を出してみる。
白い炭酸は好きだけど、それぞれの違いや特徴まで意識したことがなかった。それで本当に好きと胸を張って言えるのか。そこで手に入るものを並べて飲み比べ、TPOに合わせて白い炭酸を選べるようになりたい。
というわけで白い炭酸を集めることにしたのだけど、いざ探し始めると家の近所のスーパーで売られていたカルピスソーダ以外なかなか見つからなかった。スコールはいつかどこかのコンビニで見かけて買った記憶はあるけれど、どこだったか覚えていない。アンバササワーホワイトなんてここ10年くらい見ていない気がする。
というわけで、それぞれお客様相談センターに聞いてみると、家の近くのどのコンビニや自販機で売っている、というところまで調べてくれた(!)ものもあれば、生活圏では売っておらず、仕方ないのでネット通販でケースで買ったりして取り揃えた。家の中に僕以外飲まない白い炭酸のケースが積み上げられ、妻が激おこになったりした。
それでは今回飲み比べる白い炭酸をひとつひとつ紹介しよう。
続いて、それぞれの容器を眺めて気になったところをピックアップしてみよう。
というわけで、似ているところあり、違うところありでバラエティに富んだ9種類、ようやく飲み比べ開始である。
今回、ひとりで飲み比べても表現に限界がありそうなので、編集部の橋田さんと、ライターのトルーさんにも一緒に味わってもらうことになった。
というわけでイッツコム会議室に9種類の乳性炭酸飲料が並んだ。僕もここで初めて飲むものもあり、期待と興奮が高まる。
では順番に飲んでみよう。
カルピスソーダ
橋田「炭酸が細かい!」
トルー「カルピスの匂いがする」
カルピスソーダはもう子供のころから飲んできているだけあって、誰しもが脳にインプットされている味。しばらく飲んでいなくても「あーこれこれ」と納得するだろう。
今回飲み比べて改めて思ったのは、甘みと酸味、それから炭酸の強さ、そして爽やかさと濃厚さ(牛乳っぽさとヨーグルトっぽさ)のバランスが完璧!ということだ。いろいろ飲んだ後に飲むと、ここに集約されてる!という感じがするのだ。おそらく日本人全員のストライクゾーンには入っている。飲む飲まないはともかく、この中でこれがダメ、という人はいないと思う。ボサノバで言えばイパネマの娘みたいな。乳性炭酸のスタンダードだ。
いちおうレーダーチャートの見方を補足しておくと、「乳感」は生乳、牛乳の風味、対極の「発酵感」ははっ酵乳、ヨーグルトの風味を表している。それ以外はそのままだけど、重さは濃厚感というかこってり感を表していて、この値が少なければさっぱりしている、と思ってください。
アンバサホワイトソーダ
橋田「え、こんな味だったっけ。香りが甘い」
トルー「バニラみたいな香りがする」
アンバサは久しぶりに飲んだけど、カルピスソーダとはかなり違っていた。乳感より発酵感がやや勝り、思ったよりもったりしていて、最後にちょっとこってりした、クセのある甘さが残る。2人とも感じているけど、バニラ系の香りが強くてやや好き嫌い分かれそう。個人的な印象では、うまく説明できないけど冷やしても少し温度が高い感じがした。
スコール
橋田「これ香りがない!クセもぜんぜんない!」
トルー「主張がないのがいいですね」
意外なことに、スコールはこの中でいちばんさっぱりしていた。トルーさんも言うように主張がないのでグビグビ飲めてしまう。喉ごしも柔らかくて後味もさっぱり。飲み比べる前はもっと濃い印象だったけど、ビールで言えばバドワイザーか、というくらいの軽さだった。ビール飲まないの表現に自信ないけど。橋田さんは初めて飲んで、これがいちばん好みだそう。
さわやかソーダ
橋田「けっこうヨーグルトのクセがある。ニガテな人はニガテかも?」
トルー「さわやかと言ってるけど味はけっこう濃いですね」
さすがチチヤス、という感じでヨーグルトの風味が前面に押し出されていた。酸味というより、酸っぱさを少し感じるくらいのバランス。炭酸もけっこう強くて、辛口スーパードライな印象。酒飲み、みたいな意味で「ヨーグルト飲み」の飲み物と言えそうだ。
ビックルソーダ
橋田「違う人来たね」
トルー「ふつうのビックルより酸味を感じる」
橋田「炭酸ない方が好きかも…(それはビックルでは)」
ビックルソーダはこれまでと雰囲気がまったく違った。とにかく炭酸と発酵感が強く、キャラ立ちがしっかりしている感じ。ふつうのビックルはけっこう甘い印象だけど、炭酸の酸味を感じるほどで甘味はそれほど強くなかった。カルピスソーダを全方位的にパワーアップさせた感じ、と感じたのだけど、それは「原液」がある者同士、ということなのだろうか。
ミルージュソーダ
橋田「あまり特徴がない?」
トルー「鼻つまむと全部同じ味になりますよ」
ヤクルトのミルージュソーダはとても優しい味だった。甘味と酸味が、カルピスソーダ以上に弱くバランスしている。炭酸も開けたばかりとは思えないほどの微炭酸で、小さいお子さんにも安心して飲ませられます、という感じ。匂いもかすかにさわやかで、ひとことで言うと地味かわいい。
ただ、後味に何か化学的なものが残ったのが少し気になった。
ヨーグルッペライトソーダ
橋田「ヤクルトに炭酸入れました、みたいな感じ」
トルー「ビックルソーダよりビックルのソーダっぽい」
スコールと同じ会社が作っているヨーグルッペライトソーダ。今回これがもっともクセが強かった。2人ともヤクルトやビックルのような風味を強く感じているように、これぞ乳酸菌飲料、という主張がぐわっと迫ってくる。炭酸も強く、あの飲みやすいスコールと同じ会社の製品とは思えないほど、両極端に振り切れている。なんとトルーさんは今回これがいちばん気に入ったらしい。僕もこれは発見だと思った。
ヨーグルンソーダ
橋田「酸味と甘みが両方尖ってる」
トルー「尖ってる。サンガリアっぽい」
たぶんカルピスソーダやスコールと同じ路線を目指していると思うんだけど、大人しくない。最初に甘みがピリッと来て、そのすぐあとに酸味がピリリと来る。甘みも酸味も乳感も、それぞれ我先にと主張してきてまとまってはいないかも知れない。だけどそれが個性的でいい。カルピスソーダ、アンバサホワイトソーダ、スコールときてローテーション4人目くらいに入っていてほしい感じ。
リアルゴールドサワーホワイトミックス
橋田「これどういう人が買うんだろう」
トルー「牛乳飲んで洗い忘れたコップでリアルゴールド飲んじゃったみたい」
残念ながら味だけ似せてあるリアルゴールドサワーホワイトミックスだけど、でも一瞬ちゃんと乳性の味がするのだ。そのあと瞬時にリアルゴールドに戻るけど。乳性炭酸飲料好きを惑わす魔性のエナジードリンクだ。
というわけで9種類の乳性炭酸飲料を飲み比べてみた。それぞれ個性があって好き嫌いもあって、思ったより違いを発見できたと思う。
しかし、この飲み比べ会の数日後、この記事の締め切り間際になって、とある自販機で見つけてしまったのだ。不覚にもノーマークだった乳性炭酸飲料を。ここまで来たら見逃すわけにもいかず、ひとりで延長戦を開始。
POPホワイトソーダ
ひと口飲んだ感想としては、カルピスを入れずにカルピスソーダを目指してかなりいいところまで迫ったのでは!?という印象。でも直接飲み比べてみたらバランスはやっぱりカルピスソーダの方が整っていた。こちらは甘さとこってり感がマシマシな印象。でも似て非なる、という感じはなく十分満足できる味。予想以上に飲みやすくて美味しい。
というわけで、乳性炭酸飲料を10種類飲み比べてみた。もっと見分けがつかない感じかと思っていたけど、こうしてみるとそれぞれちゃんと個性があった。
でも今のところまだ「全部好き」でそれ以上の好みはないなあ。
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