特集 2018年10月30日

誰も知らない新名物「ラーほー」を食べに行く

誰も知らない名物を食べに行きました。

酷暑の夏が終わり、肌寒くなってきた今日この頃、温かい食べ物が食べたくなる季節である。

そんな中、ふと「ほうとう」が食べたいと思い、調べたところ「ラーほー」という食べ物を見つけた。

なんだそのゆるキャラみたいな食べ物は。現地へ食べに行ってみた。

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:ドキュメント、市場が豊洲にやってきた日


笛吹市に行ってみる

その食べ物があるのは、山梨県笛吹市である。新宿から頑張れば(うまく特急に乗れた場合)1時間半ぐらいで行ける。実家から会社までの通勤時間がだいたいそれぐらいなので近い。

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歓迎。家に貼っていつでも歓迎されたい。

緑が豊かで川も流れる自然豊かな町、石和温泉にやってきた。ここを中心にそのラーほー展開しているという。

まずは、観光案内所で聞いてみる。どんなものなのかは後でお伝えするとして、どこにあるのか観光マップをもらおう。

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マップだけど思っていたのと違った。

聞いたところ、まだパンフレットなどがないらしく、簡易的なマップしかないらしい。

案内所の人でも「私も最近知ったんですよ」と知らない人がいる。それもそのはず、ラーほーができたのが7月下旬で、まだ3ヶ月しか経っていない。赤ちゃんなら首がしっかりとしてきたぐらいだ。

そして、謎のグルメ「ラーほー」はどうやらほうとうを使ったものらしい。ほうとうで検索して出てきたから、ほうとうを使った何かじゃないと思っていたが正解だった。10ポイント。

ちなみに山梨県の人がどれくらいほうとうを食べるのか、歩いている人に聞いてみた。

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食べる人の多いらしい。夏は冷やしてつけめんのように食べることも多いとか。

聞いたところ、ほとんどの人が日常的に食べるそうだ。スーパーに行ってみるとほうとうが陳列されている。

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あばれほうとうという素敵な名前。暴れるのか。
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そして、タクシードライバーの方は「みそ汁にほうとうのめんを入れたら、それはほうとうだから」と大胆だった。

そして、「ラーほー」を知っているかを聞いてみた。

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現地じゃない人に聞いてしまって「知らない」と言われたけどグラフに入れた。

ラーほーの知名度が全然ない。犬と散歩している人に聞いたら、犬が急に吠えだしたがきっと知っているという返事だったと思う。今回、犬の意見は入れなかった。ごめん、ゴールデンレトリバーのカイくん。

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あと、このインタビューをしているとき、笛を吹いている像があったので、吹くのに気が散るぐらい近づいて撮影した。

ほとんどの人が知らないグルメ「ラーほー」。果たしてどのようなものか。まずは案内所で聞いたおすすめのお店に行ってみる。
 

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これがラーほーだ!

やってきたのは古今亭。ほうとうの他にも鳥のもつ煮などのおいしい逸品があるお店だ。

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駅から歩いて20分ぐらいで着く。

ラーほーを提供しているお店はまだ少ないらしく、現在提供しているお店は19店舗だそうだ。ほうとう屋だけではなく、居酒屋、スーパー銭湯など色々なお店で提供している。

そして、提供しているお店にはのぼりが立っておりアピールをしているので食べたいときに見つけやすい。

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新名物という言葉はいつ聞いてもわくわくする。

早速、店内に入り、注文してみよう。メニュー表を見てラーほーを探すがどこにもラーほーがない。あれか、きつねにつままれたパターンか。

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ほうとうはあるが、どこにも食べたいものがない。

店員さんに聞いてみると、メニューには書いてないらしく「ラーほーありますよ! 塩としょうゆがありますが?」と言われ、おすすめのしょうゆをいただくことにした。

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見てて飽きない店内の置物を見ながら待つ。
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そうして運ばれてきたのが鳥のもつ煮です。

B級グルメグランプリで優勝したことのある甲府の鳥のもつ煮。

メニュー表で最初に目に入ってしまい、「いや、ここはラーほーを食べるべきだろう。鳥のもつ煮を食べてお腹いっぱいにしている場合じゃないだろう」と心の葛藤があったが、もういいやと頼んだら、レバーやら砂肝が入っていて、絶品だった。甘辛い味でライスを頼みたくなる味だ。大ライスを食べたい。

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そしてこれがラーほーだ。シンプルなしょうゆラーメンっぽい。
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でも、めんがほうとう。

ラーほーとは、ラーメンのスープにほうとうを入れたものだった。ただ、ほうとうを入れただけでしょと思っている人たち、ちょっと正座して聞いてほしい。これがかなりおいしいのだ。

ほうとう特有の噛みごたえのある食感に、鶏ガラでとった出汁と煮干しの風味にしょうゆの味がバチッとはまり、最近食べたものの中で一番おいしかったと言っても過言ではない。

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おいしいすぎて鼻の下がのびた。

最初の観光案内の人に聞いたところ、ほうとうは野菜を入れたりなど具だくさんなのが売りだが、そうすると1000円以上で提供しないといけない。

しかし、もっと気軽に食べてもらいたいという願いから生まれたメニューらしい。

そして、店舗ごとによって違いがあるそうなので、2軒目に行ってみる。

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とんかつや天ぷらがおいしいとタクシーの人に言われたが、ラーほーを食べます。とんかつは今度食べに来たい。

ほさかというお店だ。ここでは塩味を食べようと思っていたが、11月からとのことでしょうゆをいだたく。

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しょうゆと塩では具材が少し違うが、どっちもおいしいと思う。
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このメニュー表を見ているだけで脳がおいしいと感じる。あと、トーフステーキがイラストなのもいい。

注文して、10分弱だろうか。やってきたのはまた違ったラーほーだった。

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高級料亭で出てくるお吸い物かと思ったが、レンゲがついてきたのでラーほーだ。

先ほどは見るからにラーメンの見た目だったが、ここではほうれん草に鳥肉、ネギとまた違った具材である。

違うのは見た目だけではない。味もそれぞれ工夫がなされているようで、隠し味のしょうがの風味でさっぱりといただける。2杯食べられるな。

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実家のお雑煮に似ていておいしかったです。

食べているとき、近所の人がお店にやってきた。話している会話がなんとなく聞こえてきたのだが、「いや、明日はぶっつけ本番ですよ」と話していたので、多分、ライブハウスとかでイベント会場で面白スライドとかやるんだと思う。

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そして、西郷どんの再放送を見ながらサービスのコーヒーもいただきました。正月の実家みたいな過ごし方をしている。
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全然関係ないが伝えたいことがある

ラーほーとは関係ないが伝えたいことがある。石和温泉はその名の通り、温泉が湧いてる場所で、駅前だけではなく、いたるところに足湯の施設がある。

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公園内にある足湯。
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ちゃんとした温泉でしかも無料だ。
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気持ちいいです!

スーパー銭湯みたいな場所でも温泉があったりとぜひともゆっくりしたいときに来てほしい町なのだが、個人的にいいなと思ったのが、

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土地に温泉がついてきていいなと思った。
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塩味のラーほーもある

先ほどのお店出てきた塩味を食べてみたい。ラーほーののぼりが立っている場所を見つけたので入ってみた。

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ちょっとおしゃれなファミリーレストランかなと思ったら、
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雰囲気に押しつぶされそうなほどおしゃれな席に案内されて、1品だけでは申し訳ないと思いハイボールを頼んだ。あと、からあげも頼んだ。

そして、ラーほーも頼む。おすすめはしょうゆ味だが塩味を頼んでみた。

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これが塩味のラーほー。

このラーほーは、ベトナム料理のフォーを参考にしており、アジアンテイストな味わいを楽しめる。シンプルな塩味がお酒のシメに合う。

店員さんに聞いた情報だが「どんな味かをお客さんに聞かれたとき、フォーみたいな味ですよと答えるのですが、フォーが伝わらないんです。フォーってまだ山梨じゃ知られていないんじゃないかなと不安です。」と言っていて、「またまたご冗談を!」と思っていたが、この後に乗ったタクシーの人に「ベトナムのフォーって知ってます?」と聞いたらはてなマーク全開だったので、もしかしたらがあるかもしれない。

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ライムを搾るとさらに本格的なフォーの味にある。
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温泉で食べるラーほー

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最後に訪れたのが健康ランド内にある食堂。

健康ランド内にあるので、ひとっ風呂浴びてから食べに行こうと思う。

浴室内で何かハプニングが起こるかと思ったが、サウナから出たおじさんが水風呂に入るなり「ふぁにー」と体の奥底から漏れ出した声を出していたぐらいだった。

水風呂も冷たくていいお風呂でした。

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食堂で向かうとラーほーがデカデカとアピールされていた。

ちなみにメニュー詳細は裏面に書いてあるがこの裏は白紙だった。罠だと思った。

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ここでも塩を食べてみるが、またこれもおいしい!

うまみがすごいのだ。味がしっかりとしている。薬味のレモンとラー油的なものを入れたら、山梨がベトナムに変わった。めちゃくちゃおいしい・・・。

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1個ずつ入れた方が味の変化を楽しめる。(最初に全部入れてしまったがおいしかったです。)
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あと、席に座る前に隣の人が餃子を頼んでいて、むしょうに食べたくなり頼んだ餃子もおいしかった。
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ラーほーも餃子も光が差してくるおいしさでした。

また食べたくなる味

笛吹市は果物が名産だが、1年中あるわけではなく、鳥のもつ煮は甲府市の名物で地元のメニューを作ってみようと思ったことをきっかけに作られたらしい。

行ったところ以外でも、ラーメン屋や居酒屋でも置いてあるらしく、どこでもこだわりのラーほーが食べられる。

盛り上がって色々な味ができてほしい。まだまだ、知られていないがおいしいので食べてみてください。
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武田信玄の銅像前で正座をしたら怒られている感じになった。

 

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