クタクタになって宿に帰ると、ちょうど晩御飯が用意されていた。お刺身、照り焼き、南蛮漬け、海藻の味噌汁。島の民宿らしいメニューに疲れが吹き飛んだ。
地鉈温泉は海沿い、とかではなく海と直接繋がっていた。
さきほどの足付温泉は満潮時に水没してしまうので、干潮時を選ぶ必要があった。しかしこちらの地鉈温泉は源泉が非常に高温なため、潮が満ちて海水が入ってこないと熱くて入れないのだ。入湯に適した時間が指定されている理由が、ちょうど逆であった。
海水の流入具合で適温のタイドプールを選んで入湯するそうだが、この時間帯はどこに入ってもちょうど良い湯加減。というか温泉としてのレベルがかなり高い。
潮に乗って海水がどんどん入ってくる先端まで行ってみると、とても不思議な気持ちになる。
こんな体験ができるなら、苦労して階段を下りてきた甲斐もあったというもの。
しかしここに辿り着くための急な階段は、明治時代に工事のため来島していた石工三人が仕事の合間に島民たちと協力して作ったものだ、と後から知った。
「嫌だな…」「急な階段」なんて書いた自分を反省した。100年以上前の誰かの努力によって、私なんかでもこの温泉を楽しめるようになったのだ。皆さんも今後地鉈温泉に行く機会があったら、心の中で石工三人に感謝して欲しい。
クタクタになって宿に帰ると、ちょうど晩御飯が用意されていた。お刺身、照り焼き、南蛮漬け、海藻の味噌汁。島の民宿らしいメニューに疲れが吹き飛んだ。
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