世田谷ボロ市とは?
世田谷ボロ市とは、毎年1月と12月に世田谷区で行われる大規模な骨董市である。
安土桃山時代から続くイベントで、東京都の無形民俗文化財に指定されている由緒ある民俗行事……ではあるが、普通に規模のでかい骨董市である。
このボロ市で、心の琴線に触れたものを各々が購入し、その値段を当てつつ、買ったものをみんなに自慢する……そういう趣向である。
「ボロ市で買ったものでまるごとハウマッチ」ルールは以下の通り。
①各自、ボロ市で売っているものの中から、好きなものをいくつか購入
②あとで、値段を当て合う、ホールインワン2点、ニアピン1点で計算
③優勝した人を、みんなでほめる
まずは、ボロ市でものを買わなければいけない。東急世田谷線上町駅に集合したわれわれは、ひとまず、露店をざっとみてまわった。
先月、当サイトでとりあげた「爆熱靴下」もあいかわらず売っているようだ。
靴下だけでなく、工具やこけし、まな板、といったものも相変わらず売られているのだが、林さんの話によると、今年は「革スリッパ」をやたら売っているという。
ボロ市で売られているものにも流行り廃りがあるのだろうか。
この原稿を書いているいま、節約のため家の暖房を切っているので、足元が冷えて仕方ない。このスリッパと爆熱靴下を買っておけばよかったと少し後悔している。
骨董の概念が揺さぶられる
ボロ市は昨シーズンに続き二度目だが、相変わらず謎の品揃えが多い。
切れた電球を売っていた。全部で500円。高いのか安いのかの判断さえもつかない。
こんなに大量の電球、ふつうに廃棄するばあい、自治体によってはむしろお金をはらわなくてはいけないケースもあるのではないか。(調べずに書いています)
現在、電球はLEDに置き換わりつつあり、近い将来、切れた電球でさえ現物が手に入らなくなる可能性はあるので、貴重かもしれない。買わないけれど。
さらに、林さんが変なものを売っているのを見つけた。
石、1個200円、一箱1000円。コルク栓と王冠、5個100円、子供はタダ。つげ義春と野比のび太かここは。
この店、なんだかちょっとオルタナティブなものを売っていがちで、他にも人間国宝の箱だけというものも売っていた。
中身の茶碗だとか皿といった骨董部分がない外側だけは、骨董と言えるのだろうか? 骨董とはなんなのか。哲学的ゾンビってこういうことかな?
下駄箱の扉に至っては、廃業した居酒屋か銭湯から持ってきたのだろうか? もはや産業廃棄物に近いが、値段がつけば骨董である。
骨董とはなんなのか。
早く見せたい……
まず最初は林さんが買ったものをみてみたい。
もう、これはね、すごくいいもの買ったんです。早く見せたい!
いま、うっかりこれいくらしたんですかって聞きそうになっちゃったんだけど、それを当てるワケですね……これはぁ、さいっこーだな〜。
でも、これ入れ物だから、何にでも使えますよ、傘立てとか。
もう、勝手につけちゃおうかなって、学校もないところに、スクランブルスクエアとか。
勝手につけとくと、そのうち旗が増えるかもしれないですね。
というわけで、古賀、西村の価格予想はこちら。
昭和の資生堂パールとかの空き缶が1500円で売ってて、それ欲しかったんですけど、買わず……でも、これぐらいの値段でも買いますね。
3000円ぐらいだと、本当に欲しい! って思った人が買えるぐらいの、ちょうどよさあると思うんです、けっこう自信ありますよ。
一個だけ、あんまりにも嬉しくて500円の値札ノートに貼ってとってある。
これはもう、試合に負けて勝負に勝ったみたいな、林さんの勝ちみたいなもんですよ。
謎の帯
うちの家紋こんなソロバンの玉みたいなのじゃないです。
店の人に聞いたんですよ、なんで横浜市章の入った帯売ってんですかって、でも、古着だから、まったく出自がわからないと、おそらく、横浜市の盆踊り大会みたいなので大量に発注されて、使われて売られて、古着屋に流れ着いたんじゃないかなあ。(想像です)
これ見つけた時、市章マニアとしては、絶対買わなきゃと思って買ったんですけど、どう考えてもまったく使いみちがないですね……。
市町村章の入った着物があれば、それを合わせてもいいじゃないですか
帯に横浜、着物に千代田区、名乗る名前は……みたいなやつね。
というわけで、林、古賀の価格予想はこちら。
帯の値段がまったく想像つかないですね、高いのか安いのか……。
帯にしては、なんか化繊みたいで安っぽいんですよ。なのでこの値段です。
あー、安い。いつも安めに書いて間違うから、ちょっと高めに答えたんだけど、失敗したなー。
ヤバいブツが出た
(笑)ヤバくないですか? 栓抜き……ゲラゲラゲラ。
栓抜きはわかりますけど、この珍妙な形状……ゲラゲラゲラ……今文字起こししたら絶対ゲラゲラゲラって笑い声になりますよここ。
これ、おじさんに骨ですかってきいたら、いや骨じゃないって、じゃあなんなんですかってきいたら、わかんないって。
でも(笑)フランス製だから、いいもんだって、アハハハ
これ開けやすいですよ、大きいからテコの原理で……でも、無駄にデカイな(笑)
これ、同じような栓抜きがもう一つあって、2個一緒に買うなら、ちょっと値引きするって言われたんです。でも、2個もいらないから、1個を言い値で買いました。はい、値段を当ててください!
これ、出した瞬間に全員がゲラゲラ笑って、形で笑えるぐらいだから、これぐらいの価値はあると思って、たぶん2個あわせて1000円とかじゃないかな。
これ、もう一個あった栓抜きが600円だったんですよ、で、この800円の栓抜きと合わせて1200円に値引きするって言われたんです。
お菓子のルービックキューブ?
これ、ヒントは倍の値段で売っていたけど、売れないから半額で売ってくれました、買うやついねえよな〜って店の人が言って
あ、古賀さんと一緒だ。半額というのを考えてこの値段にしました。
これ、最初千円で売っていて、店のひとが「千円で買うやつなんかいねえよなー」っていって、500円。あ、じゃあ買いますわってなって買ったんです
え、誰?
知らないって! 誰ですか、赤レンガくんって、かわいいけど
赤レンガくんは、千葉刑務所のキャラクターです、これは刑務所の受刑者が作ったぬり絵ですね。
あぁ、代官屋敷の近くで刑務所の作業製品売ってるところだ。
これ、めっちゃめちゃいい、表紙は自分のぬり絵を自分でぬってる……メタフィクションだ。
赤レンガくんは刑務官側です! 制帽かぶってるでしょ!
千葉刑務所って、けっこうガチの受刑者が入ってるところじゃなかったかな。見沢知廉の本で読んだことがある……西村さん、赤レンガくんは知ってたんですか?
いや、知らなかったんですよ、でも、みなさまご存知のって感じで置いてあるので、誰だよ! と思ってつい買ったんです
受刑者が作ったものだから、あんまり安く買うのも気が引けるのでこの値段でどうですか?
謎のペーパーウェイト
なんでこれなんですか(笑) ウケ狙いすぎじゃないですか?
違います! めちゃめちゃよくないですか? ペーパーウェイトです。
世の中にあるもの、大半がペーパーウェイトになりますけどね。
ファラオ? エジプト土産かな……事務所とかで使ってそう。大掃除のときに捨てられずしぶとく生き残ってる感じのやつ。
絶対エジプト土産だと思います。これ、おばさんが接客してて、買うってお金渡したら『いいの?』って意志を確認されました。
ボロ市のものの値段って、重さで値段決まってません?
石にファラオ像ネジで止めてるだけなので、これぐらいじゃないですかねえ
優勝・西村!
というわけで、最終的にポイントを集計すると……。
林……0ポイント
古賀……2ポイント
西村……3ポイント
ということで……優勝は西村に決定!
ということで、ボロ市でハウマッチ2020。優勝は西村でした。以上、よろしくおねがいいたします。
謎が多い骨董市
様々なものがあふれかえるボロ市。いったいなぜ、そこにそんなものがあるのか? がわからないものがけっこうある。行くにつれ、謎が深まっていく。
紹介しきれなかったものを、この場を借りて紹介したい。
下の画像は、林さんが購入したロボダッチの冊子。これで1000円というなかなかのものだが、ロボダッチのイラストコーナーに、習字を送ってきてるやつがいた。
好きがあふれすぎててすごくよい。