特集 2018年12月26日

『世田谷ボロ市』で好きなものを買ってまるごとハウマッチ〜東急沿線さんぽ

鬼への憧憬がありすぎやしないか

日本最大級のフリーマーケットといわれる『世田谷ボロ市(ボロ市)』が12月15日、16日に開催された。

ボロ市は、400年以上の歴史がある催し物で、毎年12月15、16日と、年が明けて1月15、16日に行われる。

ボロ市の名の通り、昔はわらじに編み込むためのボロ布を中心に、農具や日用雑貨を売る市だったものが、時代とともに変化し、日本最大級のフリーマーケットへと成長した。

※編集部より
この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリアの魅力を紹介するつもりで作りました。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

前の記事:麦茶のポテンシャルを限界まで試す(デジタルリマスター版)

> 個人サイト 新ニホンケミカル TwitterID:tokyo26

 

ボロ市で好きなものを買って、値段をあてる

世田谷ボロ市へは、東急世田谷線の世田谷駅か、上町駅が最寄りとなる。

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最寄り駅は、東急世田谷線世田谷駅か上町駅が近い

ボロ市は、東京都の無形民俗文化財に指定されている行事だが、皇居より東側に住んでいる東京都民にとってはあまり馴染みがないかもしれない。かくいうぼくも、ボロ市は行ったことがなかった。

デイリーポータルZ編集長の林さんが、ボロ市に行って好きなものを買って、値段を当てる「世界まるごとハウマッチ」みたいなゲームをするというので、行って参加することにした。

 

参加するのは、林さん、デイリーポータルZ編集部の古賀さん。そして私。

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よろしくおねがします

ルールはこうだ。

①各自、ボロ市で売っているものの中から、好きなものをふたつ購入
②あとで、値段を当て合う、ホールインワン2点、ニアピン1点で計算
③優勝した人を、みんなでほめる

以上である。

ひとまず、三人バラバラに別れて、ボロ市の商品を物色することになった。

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この人出……

現在は、ほぼ完全にフリーマーケットとなっており、実にさまざまな商品が取り扱われている。

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本気のひょうたん
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「煩悩」「愚」など、禅ワードのパンチラインが彫り込まれた木の置物

ひょうたんに、「煩悩」のペン立て(?)、IKEAや無印良品には絶対にないラインナップの品揃えでたのもしい。

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一円銀貨、500円

明治時代の一円銀貨が1個500円で売っていた。

 

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500円は安すぎるなー

一円銀貨は、本物であれば、数十万のプレミアが付くらしいが、偽物も多く、その場合は二束三文らしい。500円ということはそういうことだろう。 

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まな板として、板を販売する店

まな板。として板を売る店。まな板は、新木場の木材加工場の軒先でたまに売っているところを見かけるが、そういった店が、世田谷まで出張ってきて板を売っている。

 

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唐突に廃パレット

廃パレットにに至ってはもはや無料。フリーマーケットの概念がゆさぶられる。


祭りムードがすごい

ボロ市は、フリーマーケットという形態であるものの、はっきりいって、年末年始のお祭りである。そのため、随所にお祭りムードを感じさせるものが多い。

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「オリンピックまであと◯◯日」みたいなやり方で継承している年を表示する世田谷ボロ市

 

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「優郷」という聞き慣れない言葉でみずからをことほぐ学校

 

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中身が飛び出した状態のまま、野ざらしにされているくす玉、お祭りのため、神に捧げられた生贄のようだ

 

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巨大そろばん。売り物かどうかは不明だが、こういった非日常感が強い巨大オブジェがあると、祭りムードは否が応でも盛り上がる

上の写真4つは、全て古賀さんが撮影していたものだ。
なぜそれを撮影したのか? を聞きそびれてしまったので、ぼくが勝手に推測してキャプションを入れてみたが、どうだろう。

 

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代官屋敷も人であふれている

さて、それぞれが商品をふたつ購入し、待ち合わせ場所に集合。バスで収録場所まで移動する。

 

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お互い何を買ったのかはひみつだ

移動中に「買ったものを早くみんなに見せたい」という林さんと、「今、冷静なったら(いい買い物したかどうかが)自信無くなってきた」という古賀さん。

それぞれ一体なにを買ったのか。とにかく、このボロ市にはいろんなものがあり溢れているのだ。 

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「もし江戸幕府の工事現場があったら」みたいな雰囲気がすごい

 

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持ち寄ったアイテムは、はたしていくらなのか

まずは、ぼくのアイテムから見ていただきたい。

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くつべら
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すみません、くつべらです。本当に欲しかったやつを買いました。
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あ、売ってるの気づかなかった。超いいね〜。
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くつべら
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ぼくいままで、くつべらをバカにしてたんですよ。靴履くのにそんなもんいらねえだろうって。でも、使ってみるとめちゃめちゃ便利なことに気づいたんです。つい最近。
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くつべらの便利さに気づいたおれ

 

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今まで、百均のやつ使ってたんです。でも割れるんです。で、新しいのほしかったところにこれです。
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割れる割れる、うちも2本ダメにした。え、でもそのくつべら、名木じゃないですか、お高いんじゃないですか?
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それを当てるんですよね。
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そうだ。

というわけで、ふたりの価格の予想はこちら。

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くつべらにしてはかなり気負った予想をしてきた古賀さん

 

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くつべら、たぶんその半分ぐらいの長さで500円ぐらいなんじゃないかな。
倍で1000円。
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500円ぐらいの長さの倍なので1000円という考え方

 

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長さ×値段で考えてきた。世界まるごとハウマッチでいうところの鶴太郎方式(個数×値段の考え方)みたいな考え方だ。
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あの、言っちゃっていいですか……今日買い物してて思ったのが、2000円台の物なくなかったですか。1000円以下か、3000円以上のイメージがあったんです。
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あー、なるほど……おれ、この企画やるとなんでも安く書いちゃうんだよな……ケチなのがバレちゃう。
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じゃあ、正解いいますね、正解は……1500円です。
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1500円!

 

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あちゃー
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あちゃー。ちょっといいすぎた。私は、くつべらの欲しさ、あこがれが出すぎた! 林さんニアピン賞ですね。
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マットな質感の木なのに、意外と安いですね。
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安いですよね、小舟も漕げそうだし。
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小舟は漕げないです。
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これはもう、これからずっと死ぬまで使うんですよね。
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死ぬまで使いますね。
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あ、売ってるの気づかなかった。超いいね〜。
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太郎(西村家の子供)が、おとなになって「そういえば、家に長いくつべらあったなー、あれ、親父が買ってきたやつだなぁ」って思い出すやつですよ。
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生活に寄り添う感じのリアルな想像しないでください。

味わい深すぎる『ももたろう』

続いて私がかったものはこちら。 

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正体不明の絵本
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『ももたろう』の古い絵本です。昭和40年代の物かな。とにかく、躍動感がすごくて明るい作風なんですが、すごいのがおばあさんがももを軽々と持ち上げてて、めちゃめちゃいい笑顔なんですよ。
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めちゃめちゃいい笑顔

 

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たぶん、食べる気満々だったんですよ。でも、家で割ったら男の子が出てきた。で、この躍動感。
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躍動感がすごい

 

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うわー、躍り出てるなー。
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種の質感すごいなあ、ももたろう、どこに入ってたんだ。
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エロさを感じる種

 

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とまあ、そんな感じですが、金額の予想をどうぞ。
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ふたりとも妥当な金額を予想

 

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古本の値段はわかんないんですが……西村さん複数古本買ってますから、そんなに高くない金額ですね。
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するどい……。じゃあ正解いいますね、正解は200円です。
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200円です!

 

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やっす。
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200円なら……買うかもなぁ……。

正体不明のクリップ

代わって、古賀さんのターン。

 

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わたしはこれです。
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謎のかわいさ

 

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めちゃめちゃかわいい! こういう乙女系のデッドストック屋があって、そこで買ったんですよ
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チャーミングララ。これはいい雰囲気ですね……ふせんですか?
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クリップですね。
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「i met a charming rara」って書いてありますね。
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「私は魅力的なララに会った」と、唐突に言う意味のわからなさ。
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古賀さんこれ、袋から出して使います?
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使います。保存する気はさらさらないですから。
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これ、いっちゃわるいですけど、ゴミだから、いくらでもいいんだよなー。
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心意気ですから。
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100円単位の争いになってきた

 

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正解は、300円
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300円、林さんホールインワン!

 

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林さんホールインワン! しかし、わけの分からなさがすごいなあ、人間っていろんな物作ってますね……。

  

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般若のステンドグラス

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じゃあ次行きますね、つぎはこちらです。
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これです

 

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どうしたんですかこれ。
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般若のステンドグラスです。
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すごいなー、「魂」って書いてありますよ。
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これ、やべぇーと思って買ったんですよ。
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「やべぇー」と思って、買うという選択肢が出てくるところがやべぇー感じしますけど、大丈夫ですか。
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(般若は)ステンドグラスにしないですよ、普通。
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めちゃめちゃいい笑顔なのでもう1カット載せます

 

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さっきのチャーミングララよりもさらに正体不明ですね、なんですか?有名な作家の作品?
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いや、これ売ってた店に、10枚とかあったんですよ。で、店のひとになんなんですか?って聞いたんですけど、わかんないって。
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ステンドグラスがいくつか

 

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店の人に「最高ですねー」っていったらすごい嬉しそうで、これ売れたーって思ったんでしょうね。「EXPO‘85」って書いてあるステンドグラスと一緒に売ってましたから、つくば博関係かな……。
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これ、透けてんのか!
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ステンドグラスですからね。
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出自が一切わからない上に、使いみちがないものを買う度胸がすごい。この女すげえ。という思いしかないです。
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これ、電気グルーヴみたいだもんな。
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「カフェ・ド・鬼」だ!
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1000円以上はしそうですよね

 

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おれはこれ、高い値段つけたいですね。
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買える範囲だからなー。
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正解は……1000円です!
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1000円かーというきもち

 

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1000円なら買おうかなーっていう気持ちわかります。
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1000円って聞いて「絶対買お」ってなりましたもん。
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でも3000円でも買う、おれ。今日、もう一回行って買いたいわこれ。
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あげますよ。
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あ、いや、いいです。いまちょっと冷静なったらいいかもって思った。
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そういえば古賀さん、さっき移動のバスのなかで「今、冷静なったら(いい買い物したかどうかが)自信無くなってきた」って言ってましたけど、それ、これだ。
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そう、これです。でも、飾りますよ、家に、大事に。
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外から見えたら「般若の家」って言われますよ。
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子供が友達に「おまえんち般若あるな」って言われますよ。
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いじめの原因になりかねない。会社に飾ろうかな。

 

見たことない形のお面

続いて、林さんのターン。 

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これ多分、古賀さんのクリップ買った店のすぐ近くで売ってたやつですよ。
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これです

 

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カウンタックのお面。
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めっちゃいい。
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やべぇなー。
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お祭り行くと、ピカチュウとかアンパンマンはありますけど、カウンタック、しかもドア開いてるバージョンはなかなか見ないですよ。ちょっといいですか。
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よくあったなこれ

 

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いっぱい売ってたんですか?
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残り1個。なんか中古車屋のオーナーがすごいいっぱい買ってっちゃって、残り1個だったんです。
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みんなで回し掛け

 

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これ、メガネしたままでも掛けられていいですね。
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ボロ市帰りの主婦

 

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ボロ市帰りの般若とカウンタックの主婦。ディズニーランドのカチューシャですね。
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どちらもそこそこ高い値段をつけた

 

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お祭りで売ってるお面って、けっこう高いんですよね……だから1200円で。
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デッドストックなんですよねえ……珍しいし、1000円ぐらいかなあ。
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じゃあ、正解です。500円
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500円!

 

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やっす!
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これいくらですか? ってきいて500円っていわれて、安い! 買います! って前のめりになりましたもん。
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これ500円なら買うかー。買うなー。
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このお面売ってた店、めちゃめちゃいいものいっぱい売ってて、こんなのも売ってたんです。
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ーパーカーカルタ。「カルタ」の文字のスピード感すごい

 

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これは最高なやつだ。読み札も最高ですね。
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へんなあけかたドアのみりょく

 

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へんな開け方だとは思ってたんだな。
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世界を走りがち

 

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「世界を走る」多いですねこれ。でもいいなあ。この店行きたかった。

てんぷらの紙 

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次はこれです。
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??

 

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めっちゃいい……けど、なにこれ?
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これ、瓶詰めとか缶詰のラベルですね。
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てんぷらの缶詰とか瓶詰めって見たことないですけど。あるのかな。(あったらごめんなさい)
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てんぷらって、沖縄のてんぷらじゃないですか?
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雰囲気としてはたしかに、沖縄のてんぷらっぽい。
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店の人にきいたら「天ぷら粉じゃないかなー」って言ってたけど、じゃあてんぷら粉って書くよなーって。
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絵も、レタリングの字もめっちゃいいけど、てんぷらってのが謎ですね。
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百均で、額を買ってきて、飾るとおしゃれだって言われました。
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おしゃれの感覚!
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値踏みの差が金額に大きく出た

 

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では、正解は、300円
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300円!

 

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うぉ、来た! ホールインワン。
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あー、安い! 古本屋の「紙もの」ってそこそこいい値段のものが多いから、でも、1000円はやりすぎた。
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カウンタックのお面と、このてんぷらのラベル、同じ店なんですよ。で、店舗があったら買い物に行きたいって言ったら、まだ店舗ないって、そのうち町田に開くからって。
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まだ修行中なんだ!

優勝は……この二人に!

以上、すべての品物を出し終わった。

ホールインワンを2ポイント、ニアピンを1ポイントとして計算すると……。

林……3ポイント

西村……3ポイント

古賀……2ポイント  

優勝は、林、西村。

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優勝おめでとう!

 優勝、ありがとうございます!

また、来月もボロ市に来たいと思います。


ボロ市、1月にもやるぞ!

というわけで世田谷ボロ市の「日本最大級のフリーマーケット」という諢名は伊達じゃないことがわかった。

掘り出し物グッズがどっさりある『世田谷ボロ市』。冒頭にも述べたように、2019年1月15日、16日にも開催される。

詳しくは公式サイトを御覧いただきたい。

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