特集 2023年6月17日

さかなのヒレは人間でいう指の先っちょ~生物の研究の話を聞く

研究と記事は似てる

石川:デイリーはよく大人の自由研究って言われるんですけど、研究を本業としているありくいさんはどう思いますか?共通点があると思います?

ありくい:研究って、気になったからやってみて、結果こうでしたっていうのが基本的な流れなので、デイリーの記事もほとんど研究と同じなんじゃないかなって思ってます。

石川:仮説、実験、検証。そういうのありますよね。

ありくい:まさに仮説を検証するのが研究のところなので、それでいいと思います。

石川:仮説なしにボーッと研究したらダメなんですか?

ありくい:あんまりですね。「何やってるんだろう?」って途中でなるかもしれないので。

石川:ハッと目が覚めるときが来るんですね。

ありくい:その時にどっちに行けばいいのかっていう。

石川:まずゴールを決めてやるんだ。記事も一緒ですね。ゴールを決めずにやりだすと迷走しますからね。記事と研究が似てるかはともかく、なんであれ一つの結果をまとめるためにはそうしないといけないのかも。

ありくい:それから、原稿に書けるように構成を考えて行動するじゃないですか。研究も論文を考えて構成するので、そこもすごく似てます。

かなり研究っぽかった記事、はじけないポップコーンを撲滅したい

 

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「最後グリセリンに浸けとくか」

石川:アボカドの記事は標本の技術を使ってましたね。標本自体も作ったりもするんですか?

19.jpg
アボカド革の財布を作るより

ありくい:大学生時代はしてました。標本って言うほどでもないんですけど、最後グリセリンに浸けとくか、みたいな。

石川:「浸けとくか」って、そんなカジュアルなんだ

ありくい:形が保たれるので。

石川:腐らないということ?

ありくい:防腐処理はもっと前の段階でしておくんですけど、乾いてカピカピにならないためにグリセリンに漬けます。

石川:干からびないために。

ありくい:そうですそうです。いまの見た目のまま保存できる。ホルマリン漬けみたいにビンの中で保存することもあります。そっちのほうがメインかな。

石川:それはグリセリンじゃなくてホルマリン?

ありくい:グリセリンでも。

グリセリンに浸されたアボカドの皮

石川:魚もアボカドみたいにこんなふうにはできます?

ありくい:それが、いちど生のメザシをスーパーで買ってきて、標本にしようと思ってやってみたんですよ。ちょっとカピッとしましたね。

石川:あはは

ありくい:カッピカピにはならなかったけど、ちょっとポロッとしている感じはありましたね。

石川:グリセリンを染み込ませるんですか?

ありくい:水分をグリセリンに置き換えるイメージです。グリセリンは水みたいに乾かないので。

石川:それが魚だとうまくいかなかったと。試行錯誤のしどころじゃないですか。魚を完全にグリセリンで置き換えるの。

ありくい:やってみようかな。

石川:魚は結局できなかったとしても、他にもできるものがありそうですよね。

ありくい:何がいいかな。参考にした論文では。海藻とかしてたのかな。

石川:この記事、参考文献が論文なんですね。

ありくい:簡単めなやつですけど、参考にしました。

石川:工作記事の資料で論文調べたこと一回もなかったな…。そんな応用範囲あるんだ。

ありくい:意外と工作になりましたね。

石川:いろんな標本の手法がまだありますよね。きっとね。調べたらいろいろ作れるかもしれないな。

最後にもう1本、ありくいさんのヒット作「マンホールのふた柄の月餅を作る
 

生放送「記事の森」やってます

この対談は、先日放送したトーク配信『樹液でも飲みながらライターに専門分野の話をきく「記事の森」』から抜粋したものです。番組ではこの2倍くらいしゃべってますので、対談をお楽しみいただけた方はぜひアーカイブをどうぞ。


次回は、6月後半に配信予定です!ぜひチャンネル登録をお願いします!

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