それ自体がゲームみたいな風景
街では、たまにドラマチックな無機物を目にすることがある。
ゲームっぽい風景とはちょっと違う気がするので紹介しなかったが、サウンドノベルゲームの一コマとして見ると、あるいはゲームっぽさがあるかもしれない。
それにしても、なんでペットボトルがこんなことになっているのだろう。本文の写真についても、あえて「そうなっている原因」は追及しなかったのだけれど、つくづく世の中には不思議な風景が多いことよ。
長年ゲームをやっていると、いろんなゲームに共通して登場する「あるある」なシチュエーションを目にすることが多い。たとえばRPGの場合だと、「すぐそこに見えてるけど、ストーリーが進んだり、アイテムを手に入れたりしないと入れない場所」などだ。
それらはあくまでゲームの中の話であって、現実にはそんな状況は発生しない……と思っていた。でも街をよくよく観察すると、「これ、ゲームで見たやつだ!」という風景が結構あったのだ。
これはそんな「ゲームっぽい風景」を眺めながら、「お、たしかにゲームっぽい!」と思うだけの記事である。
テレビゲームの世界では、現実にはない光景が繰り広げられることが多い。それなのに、どこかで見たことのあるシチュエーションもしばしば登場する。ゲームの中でしか見られないのに、みんな知っている、いわばゲーム内の共通言語みたいなものだ。
たとえばこのシーン。具体的に何のゲームに出てきたか? と言われるとよく思い出せないのだけど、ゲームをやる人なら「真ん中に立ったら謎の光が出てくるな」と何となく想像できるだろう。
現実には起こりえないのに、なんとなく起こるような気がしてしまう。リアルとバーチャルが脳内で融合することにより、ただの何気ない風景が急に色づいて見える。これは脳内VRと言えるんじゃないだろうか。
主人公の行く手をさえぎる、お邪魔オブジェクト。それはトゲ状のものであったり、デカいキャラクターが道を塞いでいるパターンもある。行き先が見えているのに、現時点では先に進めない。RPGでは頻繁に登場するシチュエーションである。
それが現実世界に姿をあらわすとどうなるか。こうなるのだ。「なんだ、ただパイロンで通行止めにしてるだけじゃないか」という見方もあろう。でも物事を楽しむには、視点の変換が必要なのだ。どうせ同じ風景を見るんだったら、面白い見方をした方が楽しめるじゃないですか。
ポールが「ズズズ……」っと音をたてながら奥に動いた光景が目に浮かんでくる。こういう風景を見ると、「あ、これゲームで見たやつだ!」と、思わず進研ゼミみたいな台詞を口にしてしまう。気にして見てみると、日常には意外とそういう瞬間がある。
さて、このような風景こそが「ゲームっぽい風景」と呼んでいるものの正体だ。まだまだあるので、どんどん紹介していきたい。
ゲームには、仕掛けがたくさん登場する。もちろん街には本当に動く仕掛けなんてないけれど、動作する様子を脳内で想像しながら見ると楽しい。楽しいとうれしい。良いことだ。
協力プレイが必要な仕掛けもある。休日に友だちの家に集まって、クーラーの効いた部屋で麦茶を飲みながらワイワイ楽しみたいシチュエーションである。
爆弾が使えるのもゲームの醍醐味だ。よく考えて欲しい、現実に爆弾なんて使ったら大変なことになる。ボンバーマンはかわいい顔をした超危険人物である。
プレイヤーは爆弾で破壊を続けるが、画面に映らないところでそれを直している人もいる、ということを覚えておいて欲しい。
「目」っぽいものを見ると、矢を射りたくなるのも定番の行動である。文字で書くと、かなり酷い行動に思えてしまうが。
ゲームにはたくさんのキャラクターが登場する。そして日常には、ゲームのキャラクターっぽい風景がその辺で待ち構えている。偶然エンカウントしたキャラクターたちを紹介したい。
ゲームの舞台はさまざまだ。現実の都市をそのまま再現したゲームもあるけれど、ここで注目したいのは、もちろんそれ以外のもの。USJに行かなくても、その辺を探すとゲーム内の風景っぽい日常風景を見ることができる。肝心なのは少しの想像力と、信じる心、あとは気の持ちようである。
ここからはラストスパートである。
街を歩いていてゲームっぽい風景を発見したときに何を思うか。「まるで自分がゲームの主人公になったみたい!」なんてことは全然なくて、「お、ゲームっぽいな」と思うだけである。
ただそれと同時に発見の喜びというか、世界に散らばる風景の欠片を見つけることができた満足感みたいなものが得られる。そういう意味では、こういった写真を撮る行為そのものがゲーム的なのかもしれない。
街では、たまにドラマチックな無機物を目にすることがある。
ゲームっぽい風景とはちょっと違う気がするので紹介しなかったが、サウンドノベルゲームの一コマとして見ると、あるいはゲームっぽさがあるかもしれない。
それにしても、なんでペットボトルがこんなことになっているのだろう。本文の写真についても、あえて「そうなっている原因」は追及しなかったのだけれど、つくづく世の中には不思議な風景が多いことよ。
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