はっきりいって住みたいです
ということで今回は展望台の話題しか取り上げなかったのですが、もちろん竹富島はそれ以外にも見所満載の素敵な島です。とにかく人も牛も、島全体がのんびりしていてはじめは戸惑うのですが、慣れてくるとそういえばこっちの方が普通なのかもしれないな、と思い出します。命の洗濯ってやつですね。お勧めです。
竹富島という島へ行ってきた。海がきれいな島で、水牛が人を乗せた車を引っ張って町を歩いたりしている。僕が沖縄に住み始める前に抱いていた沖縄のイメージそのままの島だった(実際に住んでみたら車がぶんぶん走っていたわけだけど)。
しかしそんな竹富島で一番印象に残ったものは海でも水牛でもなく、実は展望台だった。なぜかって、それはもう怖かったから。
※2007年5月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
がまんできないので2枚目の写真からいきなり出してしまうが、これが問題の展望台だ。その名もなごみの塔。
写真で見るとスケールがよくわからないが、階段、展望台部ともに人一人入るのがやっとの狭さだ。なごめない。
残念なことに今になって写真を見返してみてもいまいちその怖さが伝わってこない。僕の写真の撮り方が悪いのかもしれないが、やはりあの怖さは上ってみなくてはわからないのだ。実際僕も順番待ちをしていて、一つ前の人が怖くて上れずに立ち往生しているのが理解できなかった。直下から見ていてもそれほど怖そうには見えないのだ。
しかし階段に一歩足を乗せると次の段が空に向かってそそり立っているのがわかる。
これ、何かに似ていると思っていたのだがようやくわかった。
ピラミッドだ。以前エジプトで夜中にピラミッドに上ったことがある。いや本当は上ってはいけないので「上ろうとしたことがある」と書いておこう。そう、上ろうとしたのだが、ピラミッドって上ってみないとあの怖さはわからないのだ。あれよりスケールはずいぶん小さいが、落ちたら死ねる感は互角だ。
しかも階段はかなり老朽化していて、ところどころにヒビが入っていた。それを補修したためか、階段のステップの間にセメントが盛られていて足場がさらに狭くなっている。ちゃんと観光ガイドとかにも紹介されているスポットにもかかわらず人を拒んでいるとしか思えない。
震える足で上ってみるとなるほど絶景だ。ガイドブックにあるような赤瓦の風景が一望できる。竹富島は古くからの沖縄の町並みが保存されており、石垣に囲まれた低い赤瓦の屋根が白い珊瑚砂の道に映えて美しい。
しかしひとたび目線を足元に移すとコンクリが割れていたりして非常に不安。耐震強度とかジェットコースター事故とか、あの波はここまでは伝わってきていないのだ。
耐えられなくなり下山しようと振り返るとそこには何もない。恐る恐る下を見るとほぼ垂直に下る階段がある。怖いから降りたくないが降りないとよけいに怖い。
こうやってまとめたものを見直してみても、残念ながらあの「やばい」感じは伝えきれていないように思う。これはもうぜひ竹富島へ足を運び、展望台に上ってみてもらいたいです(落ちても責任は取れませんが)。
あ、そういえばもうひとつ、こちらもちょっと変わった展望台があったので紹介しておきます。
やばいといえば竹富島にはもうひとつ「ちょっと普通じゃない」展望台があった。名前を「ンブフル」という。なんでも牛が「ンブフル!」と鳴きながら一晩で作ったという伝説の丘だ。モーじゃないのか。
しかしンブフルの展望台はほとんどひとんちの屋根だった。
ひとんちらしき建物の隣に階段があり、ふもとに料金所と書かれた張り紙と空き缶が置かれていた。どうしたものかと家の中に声をかけてみたが返事がない。一応指示通りお金を入れて上ってみることにしたが、どうしても勝手に上っちゃいけないような雰囲気がある。
上ってみてもやっぱりそこに観光地らしき空気はなく、まあ要するに屋上だった。おばちゃんが洗濯物とか干してたらどうしようかと思うくらい普通の屋上だ。
そしてこのンブフル展望台から見える景色は、まるでひとんちの屋根に上がったときのような眺めだった。特に絶景というわけではないが、普段上がらない家の屋上に上ったぞ、というような身近な達成感がある。下を歩いている友達につばとか落としたくなる。
※ンブフル展望台はかつては双眼鏡とかも装備された立派な展望台だったらしいのですが、台風で飛んでしまったとのことです。
ということで今回は展望台の話題しか取り上げなかったのですが、もちろん竹富島はそれ以外にも見所満載の素敵な島です。とにかく人も牛も、島全体がのんびりしていてはじめは戸惑うのですが、慣れてくるとそういえばこっちの方が普通なのかもしれないな、と思い出します。命の洗濯ってやつですね。お勧めです。
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