製造開始のきっかけなどの詳細は不明
今回取材に対応してくださった方曰く、クールソフトの製造開始のきっかけや名前の由来などについては、社内に明確な資料が残っておらず不明なのだそうだ。
製造歴はざっくり40年ほど。雪印工場時代に製造していた乳酸菌飲料をヒントに改良された商品ではないかとの一説もあるが、これもやはり定かではない。
それゆえ、“佐世保のソウルドリンクはクールソフト”といったコンセプトの取材がここ数年で増えたことに対し、思うように対応ができなかったらしい。
「まさか、佐世保のソウルドリンクとして扱っていただけるとは思ってもいませんでした。私たちが一番驚いています」とぽつり。
日々、粛々と製造に励み、気がついたらソウルドリンクになっていた。
それは本当に、すごいことです。
――パッケージですが、インパクトがあって素敵ですよね。これはどのようにして決まったのでしょうか。
「社内公募で決まったと聞いています。今現在のデザインですね。実はその後、2回パッケージが変わったんです。最初は、この南国風CGをレトロなイラストに描き起こしたもの。次に、子どもの顔?がプリントされたデザインに。最終的には元に戻りましたが。」
――その変遷をぜひ見てみたかった! 資料、残っていないんですよね?……ですよね。ちなみに、このパッケージのモデルになった風景は実際にあるんでしょうか。
「いえ、あくまで、南国の爽やかなイメージを詰め込んだデザインだそうです。」
――似ている風景なら海外にありそうですね。
「CoolSoftの文字デザインや英語のフレーズ、1000mlパッケージ横のフレーズは、全てパッケージメーカーのデザイナーさんにお任せしたものです。プロに考えていただくのが一番ですから。」
――クールな潔さ。けれど「☆付けたんですね。いいですね。」ってやりとりがあったのかもと想像すると微笑ましいなぁ。
桃やマスカットフレーバーにもチャレンジ
――味の変遷はあったのでしょうか。
「健康志向が高まってからは、甘さを落としているようです。とはいえほんの少しですが。」
――佐世保豆乳のメーカーさんからも同じことをお聞きしました。甘いもの大国の長崎ですらうっすら糖度を下げる健康ブーム、強いですね。そういえば、クールソフトにはオレンジ果汁が入ってますね。あれは独自の?
「そうですね。いつから採用しているのかは不明ですが、味のアクセントに独自配合しています。素材は長崎県産のみかんなんですよ。」
――おぉ!みかんの産地でもある長崎の。これはじげもん(長崎の言葉で“地元のもの”という意味)たる理由ですね。
「そうなりますかね。素材はパッケージも含めてオール国産になります。」
――なんだか誇らしい気持ちになりますね。それで1000mlパックで100円台(わたしの最寄りのスーパーでは)をキープしているのって、凄いですね。
「さまざまな営業努力のたまものです。朝5時から製造をスタートして、2人の調合係と2人のパッキング担当の、1人でも欠けると大変な体制で作業をしています。毎朝、気温や湿度、季節に応じた細かい味のチェックも必ず行っています。製造量は1日あたり1200kg。1000mlパック1200本分に相当します。」
――たいへん。それでいて、昔ながらの味をずっと守ってる。
「実は、クールソフトは、別のフレーバーも出していました。ピーチ、マスカット、マンゴー。一瞬市場に出ましたが、やはり他の製品との製造の兼ね合いだったりでプレーン一本になりました。」
――粛々としつつ、そんな大胆なチャレンジがあったなんて。完全に見逃していました、ショック……。
「本当に、販売期間も短かったので。また、これは開発段階で止まってしまったのですが、あるテーマパークさんからのご提案でバラのフレーバーにも挑戦したことがあります。」
――わぁ、バラ好きとしては心踊るお話ですが、バラ自体が貴重なのと、配合の調整とかとても難しそう。200ml600円でも良いから飲んでみたい。うぅ。今後の復刻と新発売を期待します。
中の人おすすめの味わい方
――ところで、佐世保市内の飲食店でクールソフトを使ったオリジナルメニューもちらほら見受けられますが、中の人おすすめの味わい方はありますか。
「そうですね、以下のレシピをご紹介します。」
①クールソフトの焼酎割り
「自宅でカルピスで酎ハイを作って晩酌してる。たまたまカルピスが切れたのでクールソフトを入れたら美味しかった。クールソフト:焼酎(米がおすすめ)=7:3でぜひ。」
筆者感想:晩酌で乳酸菌を求める、牛乳屋さんの性を感じます。
カルピスよりもさらっと控えめ、それでいて上品な一杯になっていますね。呼称としては「クル酎」になるのでしょうか。
②クールソフト寒天みかん添え
「子どものおやつによく作ってます。簡単だし、さっぱりとしていてたくさん食べてもらっても罪悪感なし!」
筆者感想:夏の味がしました。クールソフトが十分甘いので大丈夫かなと思ってましたが、気持ちほんの少し、砂糖を入れても良かったかもです。
――大人も子どもも楽しめる、振り幅のデカいレシピを有難うございます。
「これからも、ご期待に添えるよう頑張りますね。宜しくお願いします!」
お土産に持って帰ってほしいけど、できればその場で飲んでほしい
佐世保のローカル乳酸菌飲料・クールソフト。
通販での販売はされていないため、手に入れるには地元スーパーやコンビニに行かなければいけない。
観光や出張で訪れた際にはぜひゲットしてほしい。しかし、持ち帰らずその場でグイっと飲んでほしいのだ。
乳酸菌飲料という性質のためでもあるけれど、やっぱり、その甘酸っぱさとともに佐世保の思い出を刻んでほしいのである。
同じ町の地面を踏みしめながら、その町の若者(元若者も含む)たちの青春をシェアしてみることもまた旅の醍醐味だと言っても良いだろう。
きっと少しばかり、気持ちが若返るに違いない。
【取材協力】
株式会社ミラクル乳業
長崎県佐世保市田原町16-20