特集 2023年7月10日

週一本しかない定期船で四国(香川・多度津)から本州(岡山・笠岡)へ

今度こそ週一本の船に乗る

あの痛恨のミスから一週間。この一週間は常に後悔がつきまとった。

同じ土曜日、同じ時刻。再び同じルートをたどり佐栁島に戻って来た。

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一週間前と全く同じ場所にあの船がいる。

新なぎさ2の前面の扉が開き始めるとあのとき乗り損ねた船がそこにいた。

同じ轍を踏まないよう、船の人に「笠岡に行きたいです」とすぐに意思表示して飛び乗る。乗船券は船の中で買うシステムだった。

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念願の船内はめちゃくちゃ綺麗。

まずは乗ることができて一安心。

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正面にはテレビもある。

一週間に一本しかないにもかかわらず他には誰も乗っていない。

消えていたテレビが僕が乗船してしばらくしてついた。テレビが消えていたということは普段からお客さんは多くないのかもしれない。

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ここまで乗ってきた新なぎさ2が先に佐栁島長崎港へ向かう。

少し遅れてこちらのつむぎも出港する。やはり乗り換えの時間はあまりない。

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海面を切り裂き、水しぶきが飛んでくる。

つむぎが動き出すと同じ船でもこんなに違うのかと驚くほど、先程の新なぎさ2とは違う。

船首の方がグッと持ち上がるようにしてどんどん加速していき、体が後ろに引っ張られる。

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真鍋島に到着

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実際には20分くらいだが体感的にはあっという間。

貴重な週一本の定期船に乗った感慨にふける間もなく真鍋島に到着。

先程の佐栁島は香川県で、真鍋島は岡山県なのでいつの間にか県境も越えていた。

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船が港に着岸すると向かいにも船が停泊している。
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←が乗って来たつむぎ、→はニューかさおか。よく似ている。

実は、ここから先からは二つの定期船が選べる。

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各港を経由する普通船と、主要な港のみの高速船だ。

ここまで乗ってきたつむぎは、この後も各島の港を経由して笠岡に向かう。

もう一つのニューかさおかは、港と島を一部スキップしながら笠岡港へ向かう。

電車の各停と特急みたいなものだ。ニューかさおかは運賃が少し高い。

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出港時刻まで少し真鍋島で待つ。
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高速船に乗る

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外観はほとんど同じだが内装は少しレトロなニューかさおか。

先程のつむぎには誰も乗っていなかったが、真鍋島に来ていた観光客を数人乗せて笠岡港へ向かう。

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ニューかさおかは少しレトロで、燃料の匂いがする。

このニューかさおかで笠岡港まで行けるので、もう乗り換えは必要なく、乗っているだけで良い。

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島がたくさん見える。

海上でもスマートフォンは基本的にずっとつながっていて、スマホの地図アプリで目に入る島の名前を調べる。これがすごく贅沢な時間に思える。

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北木島に近づくと、小学校跡がおでむかえ。

お笑い芸人千鳥の大吾の出身地として有名になった北木島は笠岡諸島で一番大きく、一見すると島には見えないほどだ。

北木島の港で地元の人と釣り人を乗せ出港。

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白石島は海水浴場があることで有名。

次に停泊した白石島でも釣り客と地元の人を乗せ本州を目指す。

今回はそれぞれの島をゆっくり見て回れてはいないが、それぞれの島をまわる旅も良さそうだ。

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白い船体が鮮やな北木島へ向かうフェリー。 
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本州が見えても結構かかる

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そうこうしているとまた新しい島が見えてくる。

島の名前を地図アプリで確認すると本州だった。海から見ると本州も島もあまり違わない。

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笠岡市立カブトガニ博物館。ドームの右に少し尻尾がありカブトガニの形をしている。

笠岡港は奥まったところにあるので、本州が見えたあとも神島水道と呼ばれる細い水路を奥へ奥へと進む。

見えてきたメタリックな銀色のドームは、世界で唯一のカブトガニだけをテーマにしたカブトガニ博物館だ。

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笠岡港に着いたニューかさおか。

船が笠岡港につくと乗客は慣れた様子で降りて散って行く。

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笠岡港旅客船ターミナル。

券売所や待合所がある笠岡港ターミナルに寄る。

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片隅に「給食用」と書かれたクーラーボックス。

フロアの片隅に学校給食と笠岡諸島の島の名前が書かれたクーラーボックスが置かれていた。

おそらく笠岡で作られた給食を各島の学校へ船で運ぶのだろう。船が生活の一部になっている感じが伝わってくる。

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ターミナルの外にある航路図。

この航路図には週に一往復の航路は載っていなかった。これ以外にもほとんどのケースで載っていないのだ。


 週に一本というレアさもさることながら、四国と本州の間を瀬戸内海の島を巡りながら渡れる裏技的な移動手段だが、存在が無視されている。

実にもったいない!

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笠岡駅からは電車で岡山へ戻った。
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