特集 2024年2月15日

サラダ館って結局なんだったんだ?あのとき通り過ぎたサラダ館に今こそ入る

目が覚めるような鮮やかな赤色のトマトの看板に書かれた「サラダ館」の文字。

窓から覗いてみると、どうも飲食店でも八百屋でもなさそうだ。

サラダ館って、一体なんのお店なんだ?

まちを歩くのと建物が好きで不動産会社に入りました。
休日は山を登り川を渡り海で石を拾います。

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> 個人サイト note

あのとき通り過ぎたサラダ館はなんだったんだ

わたしとサラダ館の出会いは中学生の頃に遡る。

バスケットボール部に所属していたわたしは、練習試合があるたびに1時間に1本しかない電車に乗って、隣の、そのまた隣の町にある中学校へ通った。

紫色に蛍光オレンジのラインが入った、学校指定のジャージに身をつつみ、わらわらと駅から学校まで歩く道中にサラダ館があった。

どう考えても変な店だ。

賑やかな隊列の最後尾をだらだら歩いていたわたしだけが、大きなトマトの看板に気づいていたと思う。

サラダだけを売ってる店だとしても変だし、そもそも食べ物を売っているような店には見えない。だってショーウィンドウには「どれだけ歩いても疲れないスニーカー!」なんてポスターが貼ってある。

じゃあ、なんでトマトの看板に「サラダ」?

不思議に思いながらも、隊列からはぐれないよう通り過ぎるしかなかったあの日。

そのうち部活を引退して、遠征先とは反対へ向かう電車に乗って高校に通うようになり、すっかりトマトの看板のことなんか忘れておとなになって、そしてある時再会したのだった。

あ!!あの看板は!!!

地元の変な店だと思っていたサラダ館、どうやら全国にあるチェーン店らしい。仕事で旅行で、ちょっと遠くに行った先々で見かけるのだ。

いよいよサラダ館って何者なんだ。あのとき通り過ぎた疑問を20年越しに解決したい。今日こそ、今日こそサラダ館に入ろう。

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わたしの成長がサラダ館に追いついて、ギフトショップを理解する

そんなわけで、懐かしき思い出のサラダ館香取小見川店にやってきました。 

20年ぶりの再会が嬉しくてツーショットを撮る。そうそう、思ってたよりもでかいんだよな、このトマトの看板!

 そしてとうとう、意を決して入店。一歩踏み込んですぐに全てを理解した。

菓子折りに
ちょっといいコーヒーに
地元のちょっといいお酒…

これは……

職場のひとやご近所、ちょっと挨拶に行かなきゃいけないけど手ぶらでは行けないし、好みもあまり詳しくはわからないし、ああしかも選ぶ時間もそんな無くて、でもちゃんと喜ばれるものを贈りたい、そんなときにぴったりのものたちだ……!!!!!!

 20年の時を経て、わたしの成長がサラダ館に追いついた。

サラダ館とは大人の信頼と実績が集まる、贈り物専門店だったのだ。

ヴィレッジヴァンガードやディズニーストアで、友達に先輩に後輩に渡すプレゼントを熱心に吟味していた、あのときのわたしだったら全然ピンとこなかっただろう。この品揃えのありがたみが、今ならよくわかる。

ギフトショップって、そういうことね!ようやく腑に落ちた

お客さんがいなくなったタイミングを見計らい、店主の方にお話を伺った。

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個性豊かな各地のサラダ館

サラダ館小見川店が開店したのは30年ほど前、シャディ株式会社によって、サラダ館のフランチャイズシステムが始まった直後のこと。

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結婚式披露宴の引出物などでおなじみのカタログギフト!(画像はシャディWEBサイトのキャプチャです)

当時最先端のカタログ販売と店舗販売を組み合わせたサラダ館。酒屋や呉服屋といった本業を持つ人も多く、お店の一角をギフトコーナーとして展開していたそうだ。

後日おとずれた別のサラダ館の様子を織り交ぜて紹介していこう。

これはまた別のサラダ館(千葉県我孫子市にある湖北店)、
元は呉服店だったとのことで、婦人服や
学校指定の体操服が並ぶなか、
一角にギフトコーナーを据えている。日常の延長線上に贈り物があるのってなんかいいですね
一風変わったところで言えば東京都にある立石店
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シャディWEBサイト サラダ館店舗紹介ページよりキャプチャです

他のサラダ館が季節のお菓子や新商品のお知らせをしている中、立石店の推しはなぜか「万国旗」!

気になって訪問してみたら、なんと元々の本業はトロフィーメーカーだそう!
なぜトロフィーメーカーがギフトショップを?と思ったら、ゴルフコンペやスポーツ大会の景品としてギフトの需要があるという。あの万国旗もちゃんと売れたらしい。
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「うちの店では売れたことがない」とあちこちで言われた最高級カタログギフト(100,800円コース)も、立石店ではコンペの景品としてたまに売れていたそうだ。(シャディWEBサイト 商品紹介ページよりキャプチャ)

さて、話を戻して小見川店。こちらでは元々食器店を営んでいたという。

広い店内の半分ほどで食器類のセールが行われていた

バブルの頃は豪華な高級食器が贈り物としてかなり売れていたんです。

廃盤になっても特に処分しないでここまで来たんだけど、食器よりも紙製の箱がもう劣化してだめになっちゃって。いよいよ整理しようかということでセールをしてるんです。

ーこれが本当のデッドストックですね!

 店頭セールと、メルカリでもだいぶ売れました。ネットだと、輸入食器なんかはコレクターの方が喜んで買ってくれたんですよ。

―残り物がプレミアになったんだ。たしかに、これは掘り出し物の探し甲斐がありますね。

そこかしこにお宝が眠っているこの感じ、大好き!
100円コーナーも大好き…
なつかしきスキーウェアみたいなポップなかわいさ!グラスとカップアンドソーサーをゲットしました

⏩ ギフトの文化はパーソナルへ

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