いいお店ができました
渋谷駅の近く、渋谷川のほとりにあるスペースに、期間限定でちょっとめずらしい日本酒が飲めるお店ができたと聞いてやってきた。
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昼にライター江ノ島さんと秋晴れの中で撮影した帰りなのでへとへとである。なんか食べて帰ろうか、と誘いたい気もするけれど、正直お店に寄るのすら面倒くさい。夜になって風が気持ちいいし、もうここで寝たい。
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そんな昼間頑張ったあなたにちょうどいいお店がここ「Bar農! Farming & Brewing 2022」である。スタンドで日本酒を買ってそのへんで飲むだけなので、予約もいらなければゲタ箱で交換した木札を失くす心配もない。
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ここはお店であって試飲会ではないので、日本酒は1杯500円~1000円くらいでの販売となるのだけれど、そのおかげで「え!試飲なの!なら飲むわ!」みたいな前のめりも焦りもない。
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注いでもらった日本酒を手に川沿いに出された椅子に座ると(なーんかおれたち大人になったなー)という実感が急にわいてきた。もう20年以上前に大人になったはずなんだけど。
とはいえ二人とも日本酒に関しては完全なる素人である。
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と、このくらいの感想しか出てこないレベルである。ごめん。
僕は学生の頃に石川県に住んでいた。言わずもがな日本酒の美味い県である。飲み会のたびに「この酒が美味い」と聞いては勧められるがままに飲み過ぎて倒れていた。本当によく倒れていた。あの頃の記憶が今も僕を日本酒から遠ざけている。
ライター江ノ島さんは酒でもジュースでも、とにかく炭酸が入った飲み物が好きだという。なぜなら美味しいから。
こんな頼りない二人で来てしまって本当に申し訳ないと思っているが、代わりに今回のこの企画のコンセプトについて、頼もしい二人に話を聞くことができた。
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土田さんと鈴木さんは今回の期間限定イベント「Bar農!」の仕掛け人。二人ともむちゃくちゃ日本酒に詳しいし話がおもしろいので現場で見かけたらぜひ話しかけてみてもらいたい。
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土田:いまよくサステナブルとか言われてますけど、日本酒の酒蔵って創業から数百年なんていう会社も多いんです。
安藤:そういう目で見たことなかったですが、日本酒自体がものすごいサステナブルな飲み物ということですか。
土田:そうなんです。米の生産と酒蔵というのは古くは密接につながっていたんですが、近年になってそのつながりが希薄になってきたんです。「農!と言える酒蔵の会」は、酒蔵が直接農業に携わることで、稲作の後継者不足なんかも改善していきたいと考えています。
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「農!と言える酒蔵の会」というのは自社でお米作りから行っている日本酒の酒蔵さんが集まっている会で、農業と醸造と消費者とをつなぐ活動をしているのだとか。土田さんと鈴木さんは事務局を務めている。
鈴木:今日は酒蔵さんが作っている酒米で握ったおにぎりもありますのでひとつどうですか?
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日本酒を作るには、酒米と呼ばれるお酒作りに適した品種を使うことが多いが、中には僕らが朝ごはんに食べるお米で作っている酒蔵もあるのだとか。
酒米と呼ばれる品種は粒が大きくてタンパク質と糖質が少ないのだという。「Bar農!」で販売されている酒米のおにぎりは、数量限定ながら破格の50円だった。
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すさんだ世の中をサバイブしてきた我々としては、こういう商品はおそらく「うん、おにぎりですね」「おにぎりなのはわかるけど、なんというか」「やっぱり酒米は酒になるのが正解ってことだけはわかりましたね」みたいな流れを想像するだろう。
だがしかしなのである。
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酒米で握ったおにぎりは笑っちゃうくらい美味しかった。
酒米は糖質が少ないと聞いて、ならば普通に食べたら美味しくなかろうと思っていたのだけれど、お米の粒がひとつひとつしっかりしていて、ちょっと酔ってるのを差し引いてもまったくもって美味しかった。
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いまおれ楽しい。
考えてみるとコロナが流行り始めてから、こうやって人と話をしながら酒を飲んだのって久しぶりかもしれない。しかも風に吹かれて美味しいおにぎり食べながら。
もう一杯だけいきましょうか。
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ここで飲んで気に入ったお酒は通販で購入することもできる。
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最近だと通販で買って自宅で飲む、みたいな流れに慣れ切ってしまっていたのだけれど、こうやって友だちとふらっと寄ってかるーく飲んでどうでもいい話をして、気に入ったお酒があったらその場で買って、1時間くらいでめいめいに帰っていくのって、なんだかすごく理想的だなと思った。
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「Bar農!」ずっとやっていてほしいけど期間限定らしいです。お店の情報は公式サイトまたはSNS公式アカウントにて。
Bar農!Farming & Brewing 2022 (10月25日~11月13日)
■公式サイト https://bar-nou.com/
■Facebook https://www.facebook.com/agrisakebrewery
■Instagram https://www.instagram.com/agrisakebrewery/
■Twitter https://twitter.com/agrisakebrewery
■期間限定「農!と言える酒蔵の会」ネットショップ https://shop-nou.com (11月30日まで)