次は何を決めようか
今回の企画、1年と少し前に書いた「みんなで決めよう”最強のまち”」の第2弾とも言える企画だった。
https://dailyportalz.jp/kiji/170922200732
また忘れた頃に何かをみんなで決めよう。集合知はすばらしいものだ。
あと、ぼくへやの記入用紙が以下よりダウンロードできるのでよかったらご利用ください。#ぼくの最強の部屋DPZ でTwitterにツイートしていただけたら喜んで筆者が見に行きます。
みんなどんな部屋に住んでいますか。
普段の会話のなかでふと住みたい物件の話になったとき、意外と重要視している条件がひとによって異なるものだと感じる。駅近がいい、バストイレは別がいい、とにかく防音が気になる、などなど。
今回は”自分の思う最強の部屋”をみんなで考え、これが一番最強だ!という部屋を決めようと思う。
さて、まずはこんな用紙を用意した。
ルールを無制限にすると「100LDKの部屋にします」「駅近だけど家賃は300円です」など際限のない暴れん坊たちの集いになるので、限られたポイントを割り振ることで部屋の築年数や広さ、家賃などを決めていく。
あてられたポイントは星10こ分。例えば築年数を気にするのであれば★を2つ使って「築5年」の部屋にする、といった具合だ。
あと、2つまで勝手に自分で要素を追加していいこととした(結果としてこのあたりが勝敗を大きく左右させた)。
住むうえで大切な条件はなんなのか、改めて向き合いながら自分の思う最強の部屋を再現しよう。名づけて「ぼくの最強の部屋」、通称「ぼく部屋」である。
記入を終えたらひとりずつ発表し、一番最強だと思った部屋に投票をする。優勝者には”へやキング”の座が与えられるのだ。
林さんが左上で楕円になっているのはこの写真のカメラマンだったからです。このあとちゃんと本物が出てきます。
余談だが今回のメンバーでいま一人暮らしをしているのは筆者だけだった。どんどんみんな結婚していく。
ざっくりルールを説明したら部屋づくり開始!
各々のエピソードから部屋に対する思いが垣間見える。
いまいずみ「ロフト付きがいいな」
オカモト「ロフト暑いですよー、灼熱の暑さ」
べつやく「クーラーつけたら?」
オカモト「エアコンの噴出口に近かったので、身体のこっち側だけ暑い、とかあって」
いまいずみ「憧れはあるんですけどね…やめようかな…」
結局ロフト付き物件を悩んだ末あきらめていた。憧れる気持ちもわかる、住みたいかどうかは別として、なんか、ロマンだ。
べつやく「収納多いほうがいいな。前住んでた部屋、クローゼットは一応あるんだけど上の方がクーラーの配管で埋まってて。全然入らなかった」
爲房「クローゼットはちょっと薄いんですよね。押入れだと布団を入れる必要があるから奥行きがある」
べつやく「普通の洋室に和室の押入れがあればいいんだけど、ないんだよね」
たぶん、一般的にはウォークインクローゼットという名前で浸透してるやつだ。
林さんが間取りを書きながら「あれ…?この家、なんか変だな…」とつぶやいていた。名探偵が密室殺人でひらめく直前のセリフ。
やいのやいの言いながら回答が出揃った。 さぁどんな最強の部屋が出来上がったのか、発表の時間だ!
右上、風呂の隣に書いて消した文字は「眺めのいい風呂」と書こうとして消したやつである。「あっ、★も使わずに勝手に要素足したらだめじゃん」と消したけど、このあとの参加者は好き勝手書いていた。暴れん坊たちだ。
北向「あまり重要視していないのは駅からの近さです」
この発言に参加者から反対の声があがる。駅からの距離は近ければ近いほど良い、というのだ。個人的には駅から多少遠いほうが家賃のわりにいい部屋が見つかるから好きなのだ。いまも駅から15分くらいある部屋に住んでいる。
北向「自由枠はふたつ、寒いのがとにかく苦手なので床暖房をいれます、あと風呂場が寒いのも嫌なので洗面所(脱衣所)を追加しました」
改めて自分の部屋を見つめ直しけど、寒さが本当にイヤなんだな。一人暮らしの部屋って寒いからな。
北向「間取りは今住んでる部屋に近いんですけど、ベッドを窓際に置いたら完全に窓を塞いでしまって…またがないと洗濯物を干しにいけなくて」
爲房「玄関が変わった位置にありますね」
北向「あー、帰宅してすぐキッチンにもリビングにも行けるんです。玄関開けてすぐ壁があるのでキッチンのごちゃごちゃも見えづらい」
べつやく「人を呼べる家だ…!」
本当は日当たりもよくしたかったし家賃だって安くしたい。それでも限られたポイントをやりくりしていくことで自分がこだわりたい条件が見えてくる。
話しながらこの部屋がないことが悲しくなってきた、早く住みたい。
林「浴室、事故現場?」
爲房「違います、僕です!」
爲房「浴室の大きさに制限がなかったので、僕が入っても余るくらいの大きさにしようと思って」
べつやく「確かに広い、事故現場にしてもまだ入れる」
爲房「そうですね、あと2人くらいは現場にできる」
"現場にできる"なんて日本語はない。
爲房「作業机があって、ここに工具をかけられるんです」
オカモト「あー、いい!」
北向「格好いい」
爲房「あと夢だった"床からベッドがせり上がる"仕掛けを」
林「床とベッドの境目にモノを置いといたらワーッて落ちるやつだ」
北向「…ここだけ床がフカフカってことですか?」
爲房「アッ!」
林「そのうち毎日せり上げたままになるだろうなー」
爲房「気分が盛り上がったときにせり上げる感じで…」
そういう仕掛けってはじめだけ盛り上がってやがて忘れ去られるのが常だ。でも友人の部屋にこれがあったら間違いなくはしゃぐだろうな。工作が得意な爲房さんらしいギミック満載の部屋だ。
林「1Rだ!」
いまいずみ「一人暮らししてたときに部屋の半分くらいしか使わなくて、充分かなって…」
1Rを選んだのはいまいずみさんだけだった。人によって部屋の好みがまったく変わるのが改めて興味深い。
いまいずみ「家賃が8.5万円と高いんですけど、自販機を置くので」
べつやく「収入がある!」
いまいずみ「相場観わからないんですけど、月1万円くらい入れば…」
同じ★ひとつ使うなら家賃を7.5万にしたら良かったのでは、と無粋なことを思ったけど、いまいずみさんが楽しそうに話していたからそれで良いのだ。
「屋上が自由に使えるといいなって。前住んでたところが屋上使えて」という話に場が湧く。屋上良いですよね、"良さ"が詰まったやつですよねあれは…
北向「あー良いですね。…あれ、でも「角部屋」を選んでないので隣にも部屋がある…?」
いまいずみ「アッ」
トルー「L字の分だけ凹んだ隣の部屋があるんですかね」
べ「隣の部屋のバルコニーがここにはまるんじゃ?」
架空の部屋づくりは矛盾がつきものだ。
林「駐車場がある!」
トルー「車があるので、この"駅徒歩20分"が気になりません。木造でも、軽井沢なのでステキな感じになるんです」
軽井沢のブランド力がすごい。足枷だったはずの木造という条件を避暑地のログハウスに仕立て上げてしまった。とんち力の勝利だ。
トルー「軽井沢なので小鳥やリスが来ます。軽井沢だからヒノキの風呂で、軽井沢だから優しい隣人がいます」
べつやく「軽井沢だから環境がいい…」
矢継ぎ早に繰り出される軽井沢砲。みんな興味津々だ。
軽井沢でガレージ付き、家賃7.5万円の部屋がここに誕生した。部屋とか間取りとかそういう話じゃなくなっていませんか。
まぁ良しとしよう、トルー部屋、間違いなく今回の台風の目である。
結構穴があると思う、と話し始めたべつやくさん。収納たっぷりの、多分一番住み良い部屋だ。
べつやく「ここの上が全部ロフト。で、バルコニーが広い。ここにはテントも出せるし、スプレーとかも使えてちょっとした段ボールの工作もできる」
7人の中で一番広い部屋だ!
バルコニーが相当広い。いまいずみさん同様"角部屋"にチェックを入れていなかったが、「いいよ、隣にも同じ構造の部屋がある」と開き直っていた。
隣部屋の壁を使ってテニスの壁打ちができる!と盛り上がったが、ダメだ。
べつやく「トイレが手前で、奥が洗濯機」
林「どうやって洗濯機のところにいくの?」
べつやく「ここの…隙間から…あぁそっか、完全に収まっちゃう」
爲房「洗濯機入れるときも洗面台より高く上げて入れるしかないですね」
お風呂は追い焚き、ライオンの口からお湯が出るとのこと。設備面を充実させ駅近など条件にこだわった生活力の高い部屋だ。
書きながらずっと「法の網をくぐって…」とつぶやいていたオカモトさん。今回唯一東京を離れた岡山在住の参加者だが果たして?
オカモト「持ち家です」
「大家!?」
オカモト「だから家賃も高くして良い…価値を高めるために築浅、駅近」
べつやく「家賃収入だ」
大家であることを逆手にとって本来デメリットである家賃の高さをメリットに変えた。この部屋に8.5万円出せるかは微妙なラインだが…駅徒歩5分かー、最寄り次第だなー。
オカモト「建物は北向きなんですが、バルコニーをガンッと伸ばすことで日当たりを確保します」
林「この物件、2階だ」
「2階でバルコニー!?」
トルー「大家だけバルコニーがある物件」
べつやく「ブーイングがすごそう」
よく見ると1Kにチェックしてるけど1Rの間取りだし、2口コンロにチェックしていないのに勝手に取り付けている。この辺りの大らかさもオカモトさんらしい。
最後は「おれが今どういう家に住みたいか完全にわかった」と強い手応えを感じていた林さん。
林「隠居みたいな家に住みたくて」
質素ながら、参加者で唯一RC(鉄筋コンクリート)造を選択。遮音性や耐震性はばっちりだ。
林「庭と縁側があって、テーブルがあって、ここに小さい冷蔵庫」
爲房「庭付きの1Kなんですね」
林「静かな府中とかに住みたい、日がな庭を眺めて…庭で塗装もできる」
べつやくさんと同じく塗装スペースを設けた物件。とにかくみんな色を塗りたい集団なのだ。
爲房「この冷蔵庫、庭ってことは外にありますよ」
林「あれっ!?そうか、野ざらしの冷蔵庫…」
静かな暮らしと野ざらしの冷蔵庫。侘び寂びだ。
いくつかのほころびも見られながら、そんなこんなですべての部屋が出揃った。果たしてへやキングの座は誰の手に!
それぞれの部屋を思いながら各人投票していく。その結果は…
へやキングは7票中5票を集めたトルーさんに決定!
間取りがどうとかではなく軽井沢の一点張りで突破したような気もするけど、確かに魅力的な物件ではあった。完全勝利である。
2位は爲房さん。いずれも工具がかけられた壁が魅力的という選定理由だった。
部屋を作ることでそのひとが普段なにを大切に暮らしているか、という点が垣間みえて楽しかった。大いに盛り上がった「ぼくの最強の部屋」。よかったらぜひ周りの人たちと一度遊んでみてほしい。
今回の企画、1年と少し前に書いた「みんなで決めよう”最強のまち”」の第2弾とも言える企画だった。
https://dailyportalz.jp/kiji/170922200732
また忘れた頃に何かをみんなで決めよう。集合知はすばらしいものだ。
あと、ぼくへやの記入用紙が以下よりダウンロードできるのでよかったらご利用ください。#ぼくの最強の部屋DPZ でTwitterにツイートしていただけたら喜んで筆者が見に行きます。
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