思ったよりちゃんとできた気がする
料理はシチュエーションだ。
嫌いな上司と行くフランス料理のフルコースより、好きな人と食べる残飯のほうが何倍も美味しく感じるはずだ。
そんな料理のシチュエーションの中でも最たるものが、料理漫画でみられる「フタから光があふれる」現象だ。
ピンと来ないかもしれないので図に描いて説明する。
料理漫画を読んだことがあるなら、一度は目にしたことがあるシーンではないだろうか。
念のため説明すると、料理漫画においては、すごい料理はフタを開けた瞬間、料理が当然のごとく発光し、光があふれだすのが日常なのだ。
では逆に考えるとフタを開けた瞬間に光があふれだせば、どんな料理でもすごい料理に見えるはずだ。
では今回は人為的に料理のフタから光をあふれさせてみようと思う。
そういえば僕はまだあのフタを現実にちゃんと見たことはないいし、名前も知らない。グーグルで「料理 フタ」検索すると「ドームカバー」あるいは「クロッシュ」と出てきた。こんなに少ない雑なヒントから答えを導き出せるグーグルはすごい。
しかし、最近「ほら、あれだよ、あれ」となる回数が増えた気がする。グーグルに頼り過ぎているからだと思う。
しかしながら、値段が1万円超えである。ちょっとネタとして買うにはビビってしまう金額だ。結局1万超えは厳しいという結論で僕の予算会議は終了した。
「売っている」事と「買える」という事に大きな隔たりがあるのだ。
そこで、ドームカバーはそれっぽいものを自作する事にした。
さてドームカバーの様なものを作るのだが、大体こういう時は、どうやって作ろうか…とか、何を使おうか…なんて悩んでしまうものだ。
しかし今回に限っては一瞬で作り方の想像がついた。ダイソーに行けば多分出来るぞ。
このボウルは250円する。250円ってダイソーの中では高い方だが、1万超えのドームカバーの後なのですごく安く感じる。
なお材質はステンレスだ。
ドームカバーはこの2つで出来ると思う。
薄いとは言え、頑丈なステンレスに穴をあけるのは実はなかなか大変だ。このポンチという尖った棒のような道具を、穴を開けたい位置にあててハンマーでポンを叩く。
あらかじめ凹ませておけばドリルの先が逃げなくなるので穴を開けやすい。
ステンレスは固いので全然ドリルが進んでいく気配がない。本当に穴が開くのかと心配になったころ、ようやく穴が開いた。
最初は細いドリルを使い、徐々に太いドリルに換えながら穴を広げて行く。
…しかしこの鍋つまみが思った以上に「鍋のフタ感」を醸し出してしまう。なんかこうすごく庶民的な感じだ。
ドームカバーはもっと高級感をださなければならない。なんと言っても本来は1万円超えなのだ。
プラスチックにスプレーで着色する時は、下地にプライマーを吹き付けると色が剥がれにくくなるぞ。
350円+税にしては、結構いいんじゃないだろうか。
このドームカバーの持ち手を持ってパカっと開く動作が結構楽しい。これだけで遊べてしまう。
次にあふれる光を作っていこう。
あの光は結構強烈だと思う。並の電球やLEDでは再現できない。
パワーLEDは普通のLEDより光が強い。
実は最初はフタを開いたのを近接センサー(近いか遠いか)で判定して開けた時だけ光る様にしたかったのだが難しくて諦めた。電池を接続すると外さない限り光り続ける。
あとパワーLEDは赤と青の2種類を使用している。
では早速、電池を接続してみよう。
青色と赤色のパワーLEDが合わさると思った以上に禍々しい色になってしまった。パーリィが始まりそうである。
そしてこのパワーLED、写真では分かりにくいが、さすがに凄い光だ。少しでも直視してしまうと目がやられる。太陽を見たときの様な目がくらんだ状態になり、その後も10分くらい視界に違和感がある。
さきほど述べた様に電源OFFは電池を外さないといけないのだが、電池を外そうと中を覗きこむとパワーLEDを直視する事になる。なんというか攻守共に隙が無い。
光の強さは申し分ないが、色は間違えたかな。
すでに結果が見えている気もするが、検証していく。凄い料理をこの目で見てみたいのだ。
少しの間、小芝居にお付き合いいただきたい。
周りに紫色の光があふれている感じが結構それっぽい。
顔に映る光がいい感じだ。なお本人はめちゃくちゃ眩しい。たぶん漫画の登場人物も良く見えてないと思う。
ワンテイクでそれっぽいものが撮れた気がする。
ただ、紫の光のせいでまったくおいしそうには見えない。肉の色もなんだか悪く見えるし、邪悪なオーラをまとったキムカル丼になってしまった。
ほかの料理も検証してみることにする。
僕の数少ない料理レパートリーの1つのカレーだ。
うーーーーん…なんか違うのだ。もっと凄い料理っぽく見えるようにしたい。
なんだかカレーも毒でも入っているかのよう。これ食べたら「状態異常:毒」が付くやつだ。
しかしちょっと分かってきた。そもそも赤色とか青色の光に包まれて不味く見える食べ物はこれには向かない。
元から赤や青の食べ物だったら多分いけると思う。
パッケージが赤と青だ。
よし。では改めまして。
偶然にも中心から一直線に光の線が走る。脳内効果音が「キュビーーーン!」と響く。
(なんだか凄くいいぞ。)
すごい神々しさだ…!!それに今回はちゃんと美味しそうだ。スーパーカップを超えたスーパーカップと言っても過言ではない。
写真では伝わるか不安だが、肉眼でみるとスーパーカップ自体が光っている様に見えるCGみたいだ。
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