主人公のハムテルが少年時代に文集に書いた詩なのだが、犬と暮らした経験のある人たちの大半は共感するのではないだろうか。
そう、犬の口にはゴムパッキンがついているのである。
触ると柔らかくてぷにぷにしている。かわいい。
肉球といい、鼻といい、犬の毛の生えていない部分は総じて愛しい。
犬の口にはゴムパッキンがついているならば。
話は変わるが、我が家には小さい柴犬がいる。名は与太郎。
彼との生活は大変楽しいものではあるが、それでもまだ叶えたい夢がある。
SNSを見るとありがたいことに、複数のわんことのハッピーライフをおすそ分けしてくれているアカウントがたくさんある。
2匹でじゃれあったり、一緒に寝たり、ほほえましい様子を見ていると、筆者もこんな生活を……と夢見てしまうのである。
しかし、この夢をかなえることは簡単ではない。だって命なんだもの。
そんなときに思い出したのが冒頭のゴムパッキンである。
犬の口にはゴムパッキンがついている。
つまり、ゴムパッキンがついていれば、もうそれは犬なのでないだろうか。
犬耳にゴムパッキンをつける
(白いゴムパッキンしかなかったので自力で塗りました)
この2つを両面テープでくっつけます。以上。
今この瞬間をもって、弊世帯の構成員は人間1人、犬2匹となった。
こんなに簡単に夢がかなってしまうなんて……!
はじめは喧嘩をしたり、先住犬がストレスで元気がなくなってしまったり、トラブルがついて回るものだ。
与太郎も突然現れたゴムパキオを気に入らず、食べ物を横取りしてしまったのだ。大目に見てあげよう。
こうして与太郎とゴムパキオとの3人暮らしは幕を閉じた。
ウルルン滞在記よりも短い、ほんのひとときだった。
それでも、パキオは筆者に大切な経験をさせてくれた。
フェルトの温かい触り心地を愛おしく思い、パッキンのゆがみに表情を見出して、母性をくすぐられる。
パキオはたしかに生活に潤いを与えてくれたのだ。
かなしんでいるものの、パキオが恋しくなったらすぐに会うことができる。耳を両面テープでくっつければいいので。
犬と暮らしたいと思っている方がいたら、ゴムパッキンで手軽にわんこを迎えてはいかがだろうか。
パキオは願いさえすればいつでも現れ、あなたの心に寄り添ってくれるだろう。