朗読劇とは
脚本家、演出家としても人気の西垣ディレクターと毎月動画を作っている。誰かができることは僕にもできるはずじゃないか、だって同じ人間なんだから、という迂闊な考えのもと、いろいろなことにチャレンジするシリーズである。
ある日、動画を撮影した帰りに西垣さんから、このシリーズもそろそろ一年くらいやっているので、なにかイベントとか展開できるとおもしろいですよね、というお話をいただいた。
確かに。みんながライブで何かに挑戦するイベントなんてどうだろう、という話をしたように思う。素人だけが集まったSASUKEみたいなやつをいつかやりたいと思っていたのだ。
この時の打合せでは、リアルなチャレンジを軸として、前後のストーリーは朗読劇仕立てにしてはどうか、という話になった。それはおもしろそう。西垣さんはもともと舞台演出のプロである。そのへんは任せておいて間違いはないだろう。
しかしいま当日の写真を見返すと、西垣さんがどこか不穏な動きをしていたことに気づく。
いま思えばこの時点で、脚本家西垣匡基の頭の中には僕の想像を越えたプランがあったのではないだろうか。
稽古とは
いったん持ち帰って脚本を練ってきますね、と言われてから数週間後。次に集まったのは初回の稽古(全員で)という名目だった。
稽古?朗読劇だから本の読み合わせとかじゃないの?あと、僕以外にも出演者がいるの?わからないことだらけだった。
西垣さんが集めてきたのは以前西垣さんの舞台に出てくれたことのある女優さんや、その知り合いなどから成るプロ集団だった。上の写真を見てほしい。僕はこれまでこんなに背筋が伸びたことはない。
西垣さんが書いてきた台本をさらっと読み合わせ(この時点で女優さんたちの声の出かたが半端なくてすでに自信を喪失している)、いちど休憩をとった。その後である。
西垣「じゃあ宮尾(会場スタッフ)さん、ステージの方お願いします」
後半は主にダンスの練習だった。
後半は、というか、この打合せから先、僕は今日までダンスの練習しかしていない。
朗読劇とは何か。なぜ僕は夜な夜な家族が寝静まったあとのキッチンでダンスを練習しているのか。考え始めるときりがないが、いまさら考えても仕方がないようにも思う。
そしてやっていくうちに楽しくなってきたのも確かである。最初の数日は疲労で肩が上がらなかったが、今ではちょっとした電車待ちの時間もステップを踏んでしまっているほどだ。僕は基本的にいただいた話は断らないことにしているのだが、そのポリシーがリアルな人生の岐路を招いた。
とはいえ舞台とかダンスという領域において、僕は完全なる素人である。プロのみなさんの中に入ると、それはもう実力差がいかんともしがたい。
もはややるしかない。
みんなそれぞれの活動が忙しいので、次に全体で合わせるのは本番の直前、3日前ということになった。プロらしい油断である。一人素人が混じっているのを忘れていないだろうか。とにかくそれまでにそこそこ踊れるようになっておかないとまずいということだ。
というわけで僕は今日も、ダンスの練習をしているのです。
朗読劇もあるよ
不安なダンスパートの話ばかり書いてしまったが、朗読劇のパートはさすが西垣さん、ちゃんとしています。安藤の目鼻口耳が独立してしゃべりだすという不条理劇。どういうことなのか、それがどうダンスにつながるのか。
本番は7月20日(木)の夜です。チケットは絶賛発売中なので、みなさんほんとに見に来てください。