特集 2020年3月31日

ライスペーパーをむしゃむしゃ食べる春

春の川を見ながらライスペーパーをむしゃむしゃ食べました。

春に大事な決断をしてはいけない。

前にラジオでそんな話をしていて、なんとなくずっと覚えている言葉である。冬の寒さから解放されて気持ちが緩み、楽になると共に不安定になるのだそうだ。そんな気はする。そんな不安定な気持ちで大事な決断はしない方がいい。早くても夏まで待った方がいい。

じゃあ春は、大事な決断をせずに何をすればいいのか。ライスペーパーでもむしゃむしゃ食べていればいいのではないだろうか。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

前の記事:あったか飛行機、びこびこ、教養の潮干狩り 〜さっぱりなメモまとめ


とりあえずむしゃむしゃ食べてみる

つまり「春だから」という理由でライスペーパーをむしゃむしゃ食べることにした。色んなシチュエーションで食べてどれが良かったか調べてみたい。

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とりあえず普通に食べてみよう。スーパーでライスペーパーを買ってきた。
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副題みたいに「生春巻きの皮」と書いてある。スターウォーズだったら「スカイウォーカーの夜明け」と書いてあるところ。

生春巻きの皮。すごく限定的な食品だ。「カップラーメンのフタを閉じておくシール」とか「細いグラスを洗うための取っ手のついたスポンジ」とか、そういうものと同じ響きを感じる。「生春巻きの皮」。

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そしてこの、食べ物っぽくなさ。
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かざすとモザイクになる。

これを買ったことある人は全員やるんじゃないだろうか。モザイク。僕も例に漏れずやってしまった。この魅力に逆らえる人間はいないと思うのでしょうがない。

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モザイクで遊んだら、ぬるま湯につけてふやかす。
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こうなった。むしゃむしゃし甲斐がありそう。
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むしゃ…

生春巻きは食べたことあるのだけど、その皮だけむしゃむしゃ食べるのは初めてだった。最初感じたのは「意外と食べ応えがある!」という驚きだった。肉厚で、口の中で長いこともちゃもちゃ噛んでいられる。タピオカが含まれているからだと思う。

特に味はしないけど歯ごたえだけでなんだかおいしい。紙っぽいものをむしゃむしゃ食べる、という目的がきれいに果たされた。

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朝ごはんとしてむしゃむしゃ食べる

むしゃむしゃするにしても最高のシチュエーションというものがあるはずである。まずは一日始まり、朝ごはんとしてはどうだろうか。

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左から、ヨーグルト、ライスペーパー、牛乳。

白、透明、白、という朝ごはん。眩しい。朝、という感じがする。

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グビ…
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むしゃ…

霊魂を食べているみたいだ。やはり意外な食べ応えにびっくりする。しかし不思議と元気は出ない。朝ごはんって元気が出るものだろう。

味がほとんどしないからかもしれない。味覚が刺激されないのに腹だけはどんどん満たされていく。不思議だ。

朝ごはんとしてライスペーパーをむしゃむしゃ食べる
40点(100点中)
お腹いっぱいになるがなんとなく元気が出ない

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外でむしゃむしゃ食べる

シチュエーションを変えよう。外に出て、ピクニック気分で食べてみる。

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川沿いのテラスに来た。
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桜がきれいでしたのでご報告します。
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春だ。ライスペーパーをむしゃむしゃ食べるしかない季節。
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外で見るライスペーパーはますます食べ物っぽくない。
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ふやかした。なぜ今、川を見るんだ。
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むしゃ…
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むしゃ、むしゃ…

データのサイズを小さくするためにフレームを減らしたgifにしたら急いで紙食べてる人みたいになってすげえおっかない。

しかしこの見た目とは裏腹に、川を見ながらライスペーパーをむしゃむしゃするのはすごく穏やかな気分になってよかった。味がしないのも全然気にならない。心地よい場所でものを食べているな、という事実が大事なのだ。

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川はいいですね
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カモメが人に慣れていて近くで見られてよかった。

外でライスペーパーをむしゃむしゃ食べる
80点(100点中)
楽しいし穏やかな気持ちになる

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外で食べる、の応用編で「1枚いる?」ってされるのはどうか。ガムみたいに。

 歯ごたえというか、食べ心地が主な食べ物なので、用途としてはガムにかなり近いかもしれない。でも渡されるものがびしょびしょなのはちょっと嫌だろうな。

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(少し脱線)ミルクティーでふやかすとタピオカミルクティー

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ふと思いついて、自販機でミルクティーを買ってみる。
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お湯ではなく、ミルクティーでライスペーパーをふやかす。
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タピオカミルクティーだ!

もともとタピオカっぽい歯応えと味がするので、ミルクティーを含ませたらタピオカミルクティーになった。全員知っていると思うが、すごくおいしい。むしゃむしゃできるタピオカミルクティー、むしゃオカミルクティーができた。

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お酒とむしゃむしゃ食べる

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ビールがきれいに注げた。
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グビ…
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むしゃ…

悪くない。もともと味の薄いものでお酒を飲むのが平気な方なので全然違和感がない。味の薄いポップコーンでお酒を飲める人はライスペーパーでも全然大丈夫だ。しかもライスペーパーは、ポップコーンと違ってむしゃむしゃできる。

むしゃむしゃすることをこんなにプレーンに感じられる食べ物って他にないんじゃないか。あらためてそう思った。

お酒と一緒にライスペーパーをむしゃむしゃ食べる
90点(100点中)
全然違和感ない。このための食べ物かと思った

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こんな感じで、映画でも見ながらむしゃむしゃするのもいいかもしれない。
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夜食としてむしゃむしゃ食べる

夜中、なんだか小腹が空いてしまって少し何か食べたいという時、ライスペーパーをむしゃむしゃするのはどうだろうか。

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どうなんだろうか。
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むしゃ…

薄暗い部屋で透明でペラペラしたものをむしゃむしゃ食べていると、普段と違う世界にいるような気持ちになってくる。すごくポジティブな感情が生まれるわけではないのだけど、浮遊感がすごくてなんだかドキドキする。体験に現実味がないのだ。

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このあと妻にも食べてもらった。

「不思議な記事だよね…!」と目の前の体験をすっ飛ばして俯瞰した目線の感想をくれた。

夜食としてライスペーパーをむしゃむしゃ食べる
70点(100点中)
腹は満たされるし、なんか現実味がなくておもしろい

(脱線その2)フォーみたいにもなる

外で、ライスペーパーをミルクティーに浸したらタピオカミルクティーになった。ここに可能性を感じて、今度はコンソメスープに浸けてみる。

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タマネギのコンソメスープ。
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今度はライスペーパーを縦に細かく割ってみた。

むしゃむしゃした食感とは違ってしまうが、麺みたいになったらおもしろい。

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浸す。
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麺みたいになった!
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うまい!

「フォーってこんな感じだったよね…!」という味になった。すごいぞ、ライスペーパーは麺みたいにもなる。

この不安な春に

以上がライスペーパーでむしゃむしゃした、全シチュエーションである。一番良かったのはお酒と一緒にむしゃむしゃ食べたやつだった。意外。

こんな感じでむしゃむしゃしていればこの不安な春もそのうちに過ぎていくかもしれない、という気持ちになってくる。噛む力が脳に良い、みたいな話だろうか。味の薄いものが健康に良い、という話だろうか。違うだろう。損得ではなく、何を求めるでもなく、ただむしゃむしゃするのが良いのだ。


ビールおいしかった

ビールを飲んだのが撮影の序盤だったのですが、1缶でフラフラになってしまったので、漫画を読んで酔いを覚ました。そういうのがすごく楽しかった。

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おいしかったビール。
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