愛媛県宇和島市、遊子水荷浦の段畑へ
さて、同じ四国でも今度は沿岸部。愛媛県宇和島市の三浦半島にある遊子(ゆす)地域では、上勝町とはまた違った棚田の光景を目にすることができる。いや、こちらは正確には棚田ではなく、段畑なのであるが。
段畑(だんばた)とは、棚田と同じように斜面に拓かれた階段状の畑の事。それは海を臨むリアス式海岸の急斜面に作られており、遊子地域の中でも特に水荷浦と呼ばれる集落には、より大規模の段畑が残されているという。
山深い土地に存在している樫原の棚田とは違い、こちらは海に面した段畑。それは一体どのようなものなのか、どのような違いがあるものなのか。これはもう、行くしかない。
水荷浦の段畑も、アクセスはやはりバスとなる。しかしこちらは、段畑のある水荷浦集落に直接バスが乗り付ける。すなわち、歩く必要が無いのだ。これは非常にありがたい。
意気揚々とバスに乗る。バスは陽気に海岸線を行く。いやぁ、山も良いけど、やっぱり海も良いものですなぁ。
宇和島駅を出発して一時間弱経った頃、バスの右手に水荷浦の集落がが見えてきた。
海に突き出た、ゴツゴツした険しい地形の半島の、そのわずかな平地に形成された水荷浦集落。家々の背後に見える山には木々が少なく、その代わりに何本もの縞々が入り……って、まさか、この縞々が全部、段畑?
程なくしてバスは水荷浦の集落に到着。
バスから飛び出した私の目に飛び込んで来たのは、天空に向かって聳え立つ、石垣、石垣、そして石垣――。