これが元ネタです
そのプレートとはこのようなものである。
かっこいい。
特徴としてはプラスチックの板に文字を彫ってインクを流し込んであること。そしてフォントが独特であることだ。
あれは機械彫刻用標準書体と呼ぶ書体で、手動の彫刻機のために細部を工夫してあるそうだ。これをフォント化して無償配布している人がいた。ありがとう!機械彫刻用標準書体フォント
(全部はまだフォント化されていないので、ない文字は似た丸ゴシックで代用しました)
レーザー加工機であの書体を彫ってインクを流し込めば自作できる。墨入れの方法もインターネットに書いてあった。(レーザー加工したアクリルに墨入れしてネームプレートを作成)
これを2回ぐらい繰り返す。
(実際にやる人へ:レーザー加工機で彫刻した文字のまわりは板がザラザラしているので、墨入れする前にアクリル用の研磨剤で磨いておくと墨入れのインクがきれいに落ちます。拭き取るときはアルコールを使うときれいに取れますが、アルコールはアクリル板の表面を荒らすので超薄めておきます。
めんどくさいので油性マジックのペン先を突っ込んで塗ろうとしたらだめでした)
「非常用いか保管庫」
なんで自分でもこれを作ったのか忘れたが、とりあえずで打った文字がこれだったのだ。無意識で書いた適当な文字列すら説得力がある。
無意識にいかが出てきたのはフロイト的というか、丸呑みしたいかが胃袋から出てくるクジラのようでもある。
彫ってあるのが今回の肝なわけだが、写真だと伝わりづらい。
アクリル板にUVプリントしても同じに見えるが、やっぱりそこはスーツの裏地におしゃれしていたおじいちゃんの心意気でこだわりたい。
彫っちゃったのでそういうことにする。
プレートの景色を変える力がすごい
このレトロなプレートの説得力は想像以上だ。
うるう秒の取材に行った研究所(情報通信研究機構)の時計のようだ。窓際に置かないと電波を拾ってくれないかわいい電波時計だが、うるう秒にも対応しているようにしか見えない。
我が家のコールドスリープ用電源はメロディがなったり「おいだきをします」「2時間、保温します」などと饒舌である。
博物館でこういうのを見た気がする。
ごついボタンを押すと、「中央処理装置はトランジスタ数万個の性能を持ち…」とNHKラジオのアナウンサーのような声で解説が流れてくるやつだ。
戯れに入れた木彫りの熊も大事なもののように見える。
つながった帳票がすごい勢いで出てくるプリンタだ。30年前はあの紙の裏をメモ用紙として使っていた。個人情報という言葉がない時代である。
あこがれの社史編纂室である。「網走支社に左遷」ぐらいのサラリーマンダークファンタジーのひとつだ。
記憶も変えてしまう説得力
新卒ではじめて入った会社は水産会社のビルに間借りしていた。
エレベーター内には水産会社の部署名とフロアが書いてあり、そこにすりみ事業部があった。
すりみ事業部…すりみ事業部長がいて、「身を粉にして邁進する次第です!」みたいな事業部の定番ギャグがあるのだろうか。
などと想像したら忘れられなくなってしまったのでついに作った。
こうやって家に貼ってあると事業部がなくなったときにもらって帰ってきたOBのようでもある。
『すりみ事業部、無理もしたけどみんな若かったから楽しかったな…』
みたいなことを見て思うのだろうか。
………だんだん本当にすりみ事業部だった気がしてきた。