ブルガリアのヨーグルトたち
ブルガリアまでマジでマジのマジなブルガリアヨーグルトを食べに行った。日本のブルガリアヨーグルトが美味しいとわかったし、フロストシュガーの偉大さも理解した。フロストシュガーでヨーグルトは間違いなく美味しくなるのだ。ヤギと水牛には負けたけど、それ以外はさらに美味しくしてくれた。フロストシュガー、万歳!
ヨーグルトというものがある。日本はもちろん世界中で食べられている、生乳などに乳酸菌や酵母を混ぜて発酵させた食べ物だ。その歴史は古く7000年前にすでにあったそうだ。日本でプレーンヨーグルトが発売されたのは1971年のこと。
そのヨーグルトこそ「ブルガリアヨーグルト」だ。我々日本人にとってヨーグルトとは、ブルガリアなのだ。ブルガリアと言われて浮かぶのは「ヨーグルト」。ということで、ブルガリアにブルガリアヨーグルトを食べに行こうと思う。
健康のためにヨーグルトを食べるという人も少なくないのではないだろうか。整腸作用などがあり確かにいいのだ。私もほぼ毎日ヨーグルトを食べている。子供の頃からそうで、朝食にヨーグルトが出てきた。私の体はヨーグルトでできている。
日本で最初に発売されたプレーンヨーグルトが「ブルガリアヨーグルト」だ。1970年に開催された大阪万博にブルガリア館があり、明治のスタッフがそこでブルガリアヨーグルトに出会い、いろいろあって1971年に「明治プレーンヨーグルト」が生まれた。
1973年にブルガリアから国名を使うことが許可され「明治ブルガリアヨーグルト」となる。ブルガリアが提供する乳酸菌を使い作られている。つまり明治ブルガリアヨーグルトはブルガリアのヨーグルトなのだ。
日本にいながら、ブルガリアのヨーグルトを食べることができるわけだけれど、せっかくなら本場のブルガリアヨーグルトと食べてみたい。ブルガリアのブルガリアヨーグルトを食べるのだ。ということで、ブルガリアに行くことにした。
ブルガリは東ヨーロッパにある、古くはソ連の第16番目の加盟共和国と言われた国だ。大阪万博当時は社会主義国だった。今は違う。あと写真3枚で到着しているけれど、日本からの直行便はないので、乗り換えなどで20時間ほどかかった。
ブルガリアの首都「ソフィア」という街に来ている。ヨーグルトの国なので、ヨーグルトがエレクトリカルパレードのように列をなして歩いていてもいいかな、と思っていたけれど、そんなことはない。普通の綺麗な街並みだ。
ヨーグルトのパッケージを持って歩いていると、「スーパーに行くとたくさん並んでいるよ」と教えてくれる人もいた。親日国のようだし、意外に日本語を話せる人もいた。ソフィアには4日いたのだけれど、2人に日本語で話しかけられた。
日本でもヨーグルトはかなり並んでいるけれど、その3倍ヨーグルトが並んでいた。ブルガリアの農業生産のうち畜産の割合は約35%。日本は約26%なので、畜産が盛んといえば盛んなのだ。
ブルガリアヨーグルトの歴史は先住民「トラキア人」まで遡る。トラキア人は紀元前の人。ブルガリアヨーグルトが古い歴史を持っていることがわかる。ブルガリアヨーグルトを食べるにあたり、もちろんトラキア人のお墓にも行った。
私はバックグラウンドを知りたいタイプだ。ここで眠る人はヨーグルトを食べていたのかと知った上でヨーグルトを食べたいのだ。このお墓は立派なので、自らがヨーグルトを作っていたとは思わないけれど、食べていたのは間違いない。それはなぜか、ブルガリアだからだ。
明治ブルガリアヨーグルトの乳脂肪分は3%。ブルガリアのスーパーで同じようなパーセンテージのヨーグルトを買った。古いブルガリアのガイドブックを読むと量り売りしていたそうだけれど、現在はそんなお店はなくスーパーで買うことにした。
わざわざ日本から空の明治ブルガリアヨーグルトのパッケージを持ってきたのだ。マジでマジのブルガリアヨーグルトを作るため。明治ブルガリアヨーグルトもマジでマジのブルガリアヨーグルトだけど、ブルガリアヨーグルトはブルガリアで作られているのでマジでマジのブルガリアヨーグルトなのだ。マジとブルガリアだらけで読みにくい。
味は美味しかった。どっちが美味しいとか、そういう細かいことはわからないのだけれど、どっちも美味しい。酸味がいい感じだ。ただご紹介しましょう。より美味しくブルガリアヨーグルトを食べる方法を。
昔はヨーグルトを買うと「フロストシュガー」がついてきた。粒の大きい砂糖だ。最近はこれを見ない。私はこれをヨーグルトに入れるのが好きだったのだ。だからもう自分で買っている。これを入れるとすべてのヨーグルトが美味しくなる。ブルガリア人にも教えてあげたい。
ブルガリアのスーパーでヨーグルトを見ていると乳脂肪分を選べるようになっていた。日本の最近のトレンドは乳脂肪分を減らして、どれだけ美味しくできるか、だと思うけれど、ブルガリアでは選べるようになっている。
同じメーカーのいろんな乳脂肪分のヨーグルトを買った。0.1%から4.5%まで。4.5%だと普通の明治ブルガリアヨーグルトより乳脂肪分は高い。さて味はどうなのだろうか。
これはわかりやすかった。乳脂肪分が多いほど、味が濃くて美味しい。0.1%より、2%が美味しいし、2%より2.9%の方が美味。そんな感じでパーセンテージが高いほど美味しいのだ。ただそこにあるものを入れると、どれも似たような美味しさになることに気がついた。
フロストシュガーを入れたら、乳脂肪分なんて関係なく美味しくなった。どれも美味しいのだ。パーセンテージが高い方が美味しい気はするのだけれど、フロストシュガーをたくさんいれると味が均一化する。フロストシュガーでヨーグルトはより美味しくなるのだ。
4.5%で乳脂肪分が高い! と思っていたら、20%というものを見つけた。日本でも10%に近いものは見るけれど、20%は見たことがなかった。やはりブルガリアはヨーグルトの国。0.1%もあれば、20%もあるのだ。
ドロドロ具合がすごかった。一晩寝かしたカレーを温める前みたいなドロドロ具合なのだ。もし健康診断で血液がこのドロドロ具合なら大変なことになるだろう。しかし、ヨーグルトならいいのだ。私はドロドロヨーグルトが好きなのだ。
味も濃厚だった。わかりやすく美味しい。今までのヨーグルトとは違う濃さなのだ。私は濃い味こそ正義と思っている。まさにそれだ。そして、これをさらに美味しくする魔法の粉がある。それを加えるとさらに美味しくなることを覚えておいて欲しい。
20%は味が濃くて美味しいと書いたけれど、フロストシュガーを入れると、なんと低いパーセンテージのヨーグルトと変わらない美味しさになった。そう書くと味が落ちたと思われるけれど、そうではない。フロストシュガーで味が均一化し、その均一化した味はヨーグルト最大の美味しさとなるのだ。パーセンテージ関係なく。
日本ではヨーグルトといえば牛の乳。スーパーに行っても並んでいるのは牛の乳のヨーグルトばかりだ。しかし、ヨーグルトの国ブルガリアではいろんな動物の乳を利用したヨーグルトが売られている。
食べてみる。羊は味が薄く酸味もない。遠くに乳の味を感じる。ヤギはとにかく臭かった。獣臭だ。ヨーグルトを食べているのか、ヤギを食べているのか、動物園を食べているのかわからなかった。牛はいつも通り美味しい安心の味。水牛は酸味も強く、もはやチーズを食べている感じだった。
牛の乳のヨーグルトが日本のスーパーに並んでいる理由がよく分かる。他の乳は難易度が高い。臭い等が好きな人がいるのは分かるけれど、万人受けしない感じ。しかし、我々には魔法の粉がある。そう、一緒に叫ぼうではないか。
フロストシュガーを私は信じていた。何よりも信用していた。今までのヨーグルトはすべてフロストシュガーで均一化できていた。しかし、である。負けた。フロストシュガーが負けた。ヤギの臭さは残ったし、水牛はチーズだった。羊はフロストシュガーがより感じられてあり。そんなブルガリアヨーグルトの旅だった。
ブルガリアまでマジでマジのマジなブルガリアヨーグルトを食べに行った。日本のブルガリアヨーグルトが美味しいとわかったし、フロストシュガーの偉大さも理解した。フロストシュガーでヨーグルトは間違いなく美味しくなるのだ。ヤギと水牛には負けたけど、それ以外はさらに美味しくしてくれた。フロストシュガー、万歳!
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