特集 2020年3月25日

奥深き海外旅行読書の世界

はらぺこあおむしも海外旅行本

海外旅行に行きたくても行けない、そんな人もいるだろう。一方でいつでもどこの国でも海外旅行に行ける達人がいる。

 その人は海外旅行の本を多数所有する、妄想系というか想像系海外旅行を得意とする人だ。

そんな人の家にお邪魔した。海外旅行本を集めているときいて、あらゆる海外旅行のガイドブックを多数置いているのかと思っていた。しかし実際はそれはそこそこに、思わぬ伏兵が多数本棚に散りばめられていた。

変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

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でも旅行ガイド本はあまり持ってない

海外旅行の本をため込んでいるというパインさん宅にお邪魔した。仕事柄顔は出せないので匿名でパインさんなんだが、ライオンである。

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パインさんだがライオンさんである。お面は自作なんだそうな。

2DKの家のダイニングと1部屋に本棚が並べられ、図書室のようになっている。やはり趣味人には部屋のひとつやふたつ、趣味専用に与えないと本領は発揮できない。

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本を探し始めるととまらないパインさん。

家にお邪魔して置かれた本を見る。海外旅行本といっても改めてみるといくつもの小ジャンルに分けられるものだ。

旅行ガイド本もあれば語学本もあり、旅行エッセイも真面目なノンフィクションもある。地図帳も鉄道の時刻表もある。

旅行本と一口で言っても、改めて見ると沢山の本があることを見せられる。

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旅行人。伝説の個人旅行系旅雑誌だ。
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旅エッセイと旅行ガイド本。英語のガイドブックといえばロンリープラネットが定番。
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言語系の本が並べられている。

パインさんの海外旅行ガイド系の蔵書は多くはない。数冊しかないので、むしろ人並みではないだろうか。

「行きたいんですけど時間がなくて想像とか妄想ですねえ」とパインさん。ガイドブックよりもかきたてられる本が好きで、とりわけ旅行系エッセイが好きなのだ。

旅行系エッセイでも、ロンドンでパブでの過ごし方とか、パリの喫茶店巡りとかはなく、あるのは「アフリカ日和」とか「さいはての中国」とか「重慶マニア」とか、泥臭そうな感じの本がある。

パインさん自身はどこに行くかというと、フィリピンで、それも南のミンダナオ島に行くことがよくあるそうだ。

本の影響も多大にありそうだ。

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なにせパインさんイチオシの言語本がこれである。マニアックだ。

持ってる地図帳は変わり種

パインさんは、持っている海外旅行に関係する本を次々に出していく。次に出してきたのが地図系の本だった。

地図帳なので国とか都市とか書かれているのかと思ったが、違うのだ。

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地図系の本を持ってきたけど変化球
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パインさん「ぺらっと開いてこの国にこんな動物とか植物とかモノとかあると…想像しませんか?」
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パインさん「空港の本いいですよ。ロストバゲージ(なくした荷物)一覧があるんですよ。空港で確認したくなりませんか!?」

航空図鑑のロストバゲージの分別で興奮しはじめるパインさん。僕がパインさんを紹介したいのは例えばこうした発想が僕にはなかったからだ。

航空図鑑が好きだから、近所の空港に行きずっと飛行機を見てられる人である。しかしロストバゲージで興奮する発想はなかった。大きな学びがある。

パインさんの熱のこもった本の紹介は続く。今度は絵本。はらぺこあおむしもある。

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はらぺこあおむしは世界の何処に?

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絵本を持ってきた。
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パインさん「太陽が大きいんですよ!南国じゃないですか?南国の太陽見たくないですか?」
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パインさん「こんな蝶になるんですよ。南国にいるんですよ!見てみたくないですかっ!?」

たしかにそうだ。

太陽が大きく表現されてたり、カラフルでトロピカルな蝶が描かれているのは、南国で作者が見て描いたからだろうし、北国ではきっと生まれないし、作者がみた景色が世界の暖かなどこかにあるのだ。

僕は考えたことはなかった。フィリピンに行きたくなった。

パインさんの絵本で読む海外旅行講座は続く。次はマジックラビットという絵本だ。

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パインさん「作者はこういうところに住んでいたんだろうなあいきたいなあ」
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パインさん「作者の家はこんな感じなのかなとか、こんな家具が海の向こうであるんだろうなあとか思うんですよ」
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絵本「アレクサンダとぜんまいねずみ」に、「これは北国の特徴ある景色ですよ、見たい!」とパインさん。
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パインさん「北国のどこかで売ってるこれを買いたくなるんです!」
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「アンデルセンのぶどう酒びんのふしぎな旅」
この瓶も服も画家がどこかで見たもので、旅先で見て触って買いたいのだ。

聖地巡礼

パインさんの、本で読む海外旅行のきっかけをきいてみた。

「一番最初は、ミステリーがきっかけです。シャーロックホームズとアガサクリスティの英語の原書は読んでて」

――イギリス行きたいなーみたいな?

「旅するなら近場でインドとかオリエントとか楽しそうだな、とか考えてるところに下川裕治さんや蔵前仁一さんの本読んで、田中真知さんや高野秀行さんにハマって、今はなき旅行雑誌の旅行人とかGダイアリーを読むようになりました」

――欧州は遠いからインドやアジア。そこでインド本にたどり着き、アジアの泥臭い旅エッセイにたどり着いたんですね(笑)

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続いて、アガサクリスティのファンクラブの本を掘り出して見せてくれた。
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アガサ・クリスティの検証ツアーの本を見て海外旅行に思いを馳せる。

「ファンクラブの会誌では、実際にアガサクリスティの舞台を巡るんですよ」

――なるほど聖地巡礼ですね。

「聖地巡礼なんです。いろんな本を見て、きっとこういうものが現地にあるんだろうなあとか、いろいろ下調べして想像を膨らませるんです。いろいろ見てから現地行ったほうが楽しいじゃないですか!」

――はらぺこあおむしもまた南国の聖地巡礼のための下調べなんですね!

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世界記録をつくる紙飛行機大会を追った本を見せてくれた。これもまた現地で大会を見たくなるので海外旅行したくなる本だ。

お勧め本を聞いてみた

めちゃめちゃいろんな本がある中で一冊海外旅行本のお勧めを聞いてみた。

「それぞれよくておすすめしたいです!でも敢えていえば…」

出したのが旅の達人である下川裕治氏の「マレー鉄道途中下車の旅」

見せてもらうとなるほど納得。

世界を歩く個人旅行マニュアルを出していた下川裕治氏が、バックパッカーブームで陸路国境越え自分探しブームがあるときに、敢えて比較的簡単に乗車ができるマレー鉄道の写真と説明を日記風に書いた本だ。

マレー半島なのでところどころ建物に異文化が混ざった素敵な景色の街も点在。鉄道旅行もその時代の暮らしもエッセイも入った海外旅行の妄想がはかどる本だった。

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「マレー鉄道途中下車の旅」
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