パラパラめくるだけでも楽しい
以上、東京堂出版の『隠語辞典』を紹介した。
パラパラとめくって、つれづれと読むだけでも、かなりおもしろい辞書であることは、保証したい。
昭和時代の本だが、現在は古本で2000円〜3000円ほどで手に入る。ぜひ購入して読んでみてほしい。
よろしくどーぞ!
いや、まってほしい。もうちょっとおもしろいやつもある。こちらを見てほしい。昭和時代の学生の隠語として載っているものだ。
ルートの隠語、いくつかあるんだけど、まずはルート8の方を考えてみてほしい。
「√8」は「いつもニヤニヤしている人」らしい。なぜか。
√8は、2.28284なので、にやにやし……で、ニヤニヤしてるやつを「あいつは√8だな」みたいなことを言っていたらしい。
これ、どこでどれほど使われていた隠語かわからないけれど、少なくとも、この本にはそう書いてあり、記録として残っている。
では次、√2である。√2は、ひとよひとよにひとみごろで、1.41421356……だった気がするけれど、意味はなんなのか?
意味は「〆」「封」(封筒や手紙の封緘(ふうかん)のこと)だ。
さあ、みなさん、考えてみてほしい。
√2、つまり1.41421356がどういう理屈で「〆」「封」といった意味になるのか。
そのこころは……「貴下(幾何)でなければ開けない」ときた。
うわー、すご。パターンをずらしてきた。答えを言ったあとの、昭和時代の学生(キテレツ大百科の勉三さんのイメージ)のドヤ顔まで目に浮かぶ。
学生の隠語は、盗賊などの隠語と違って、インテリなものが多い。
「嫌い」と、直接言うのははばかられるから、あえて「Never好き」と言う。これは、今でも普段使いしたい気もする。といっても、嫌いと言っているのには変わりないのだけど。
事実ありのままを天下に公表する白書にかけて、露出したがる性癖を持っている人のことを「白書趣味」と呼んだ……ということがこの辞書に書いてありました。言葉の高尚さとそれが示すことの下品さの落差がすごい。
「焼き飯」のことを「焼かれ飯」というみたいな、隠語なのか、言葉遊びなのかわからない隠語もたくさん採録されている。
焼かれ飯は、いかにも、昭和の学生が考えそうな屁理屈ではあるけれど、茶わん蒸され、照り焼かれといった派生形もあるのが面白い。ただ「さしまれ」がよくわからない。刺し身のことだろうか? 「さされみ」にならず「さしまれ」になるのがよくわからない。
以上、東京堂出版の『隠語辞典』を紹介した。
パラパラとめくって、つれづれと読むだけでも、かなりおもしろい辞書であることは、保証したい。
昭和時代の本だが、現在は古本で2000円〜3000円ほどで手に入る。ぜひ購入して読んでみてほしい。
よろしくどーぞ!
※このリンクからお買い物していただくとアフィリエイト収益が運営費の支えになります!
<もどる | ▽デイリーポータルZトップへ | |
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |