1対1でランドセルのフタをねらってみよう
次は、1対1でランドセルのふたを開ける練習だ。対戦表を組み、それぞれペアでふたあけスキルを磨いてもらう。
古賀さんと橋田さんには、「学校の帰り道に、話しながらこっそり友達のランドセルのふたを開ける」というシチュエーションで戦ってもらう。
ランドセルふたあけの中ではもっともスタンダードな開け方でもあり、これができればランドセルふたあけ界ではまずまずの評価を得ることができる。




大人が真剣にふたを開けようとしているところは初めて見たが、突然橋田さんと古賀さんが小学生に見えてきてすごかった。
特にランドセルのふたをお互い開け始めたときは「こういう小学生いるいる!」という感動があった。本当に、学校の帰りにふたりで歩いてそうである。
2戦目は石川さんと安藤さん。シチュエーションは「正面から開ける」という真っ向対決である。




あっさりと石川さんのふたが開けられて終了した。この対戦方法の場合、「一度でも後ろを取られたら負ける」という鉄則がある。
万が一後ろを取られたら、すぐに旋回して相手と向き合うことが求められる。そう、ランドセルふたあけとは、戦闘機のドッグファイトと同じ仕組みなのである。
※ドッグファイトはこういうの。昔の空中戦である。
ランドセルのフタを開けながらだと起立・礼・着席がちゃんとできない
基礎練習をこなしたら、いよいよ実戦に入っていく。
最初の1戦は、「起立・礼・着席のときにこっそり前の人のふたを開ける」というシチュエーションだ。


縦に並んで座ると、それだけで学校っぽさが出た。
大人になってからランドセルを背負って縦に座ることもないので新鮮だ。





やってみると、圧倒的に「真ん中の人が不利」ということがわかった。
開けられるのを防ぎながら、人のを開けるのが難しすぎるのだ。「尾行している人は尾行されていることに気がつかない」と同じ原理である。

礼は、自分のランドセルの弱点を、後ろの相手にわざわざ見せつける動きである。
このときの開けやすさが尋常ではなく、どれだけ警戒していても「礼」になった瞬間に次々と開けられてしまうという「礼の悲劇」が生まれてしまった。


「ランドセルのふたを開けることに集中すると、まったく礼ができない」ということがよくわかった。
いらんことをしていると、大人でも言われたことができないらしい。人のランドセルのふたは、授業中にあけてはいけないものなのだ。