特集 2024年6月11日

山形県米沢市の“食堂系”ラーメンが好きで仕方ない

居酒屋の大将に聞く米沢のラーメン事情

店を出て19時。この時間にラーメンが食べられる食堂は近くにはもうなさそうだ。気持ちを切り替え、宿の近くにあった「弁慶」という居酒屋で飲んで行くことに。

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いい店構えだな

「弁慶」のことはイザワさんがご自身のブログに書いていて、それを見て来たのだが、何を食べても美味しい、いい店だった。壁に米沢出身のマンガ家・ラズウェル細木さんのサインがあったり、同じく米沢出身のイラストレーター・ますむらひろしさんの絵が飾ってあったりした。

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お茶割りをいただきつつのんびり
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米沢出身のマンガ家・ラズウェル細木さんのサインも

カウンターで飲んでいたらおしゃべり好きなお客さんが近くに座り、私ともお店の大将とも色々楽しくしゃべってサッと帰っていったので、後に残された私も大将となんとなく、ぽつりぽつりとお話しする感じになった。

お店は創業から42年になるという。「昔はこの辺さデパートが3軒あったりしたんだけどな」と、街の賑わいがかつての中心地から郊外へと移りつつあることなどを聞かせてくれた。そんな流れから「米沢のラーメンが食べたくて来たんです」と私の話になった。「米沢はよっぽどのことでないと当たり外れないよ」と大将は言う。

――ああ、どこも美味しいってことですよね。

うん。あっさり細麺のちぢれ麺。まあ太麺が良いっていう人もいっけど、そうでなかったら当たり外れないよ。俺は米沢のラーメンうまいと思うよ。蕎麦もうまいけど

――でも蕎麦屋さんのラーメンもそれはそれで美味しそうですもんね。

うん。出汁つかった蕎麦屋のラーメンなんて、たまにテレビに出てるよ

いったん広告です

――このあたりの食堂のラーメンが食べたいと思ったらどこがいいですかね。

「山口屋食堂」は昔ながらのあっさりラーメンで、昔からの味を守ってるっていうか、文句言うやつはいない。あそこはうまい。俺、毎日通ってる時あったもん

――毎日食べても飽きないということですね。

飽きない飽きない。俺はラーメン大好きだから。「ひらま」とかよ、山大前の「やまとや」とかよ。そこは炒め中華っていうのがうまいよ

――あと、「川西食堂」っていうお店も美味しいとか

川西食堂!あそこもうまい。なんだか、詳しいな?

――はは。友だちが色々教えてくれたんです。

まずは山口屋だな。あそこはなんでもうまい。冷やし中華でもなんでもうまいよ

と、これは良いことを聞いた。地酒を美味しくいただいたところで、この日は宿に戻り、しっかり寝て明日に臨むことに。

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いい店だったな「弁慶」

「山口屋食堂」の中華そば、うますぎる

翌朝、上杉神社の境内を散歩したり、近くの蔵元「東光」に立ち寄ったりして山口屋食堂の開店時間までを過ごした。

で、開店5分前に店に到着。

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楽しみで仕方ない
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午前11時半、のれんが出た!

一番乗りでお店に入り、「中華そば」を注文する。

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山口屋食堂もテーブル席&小上がりスタイルだ

しばらくして運ばれてきたのがこれだ。

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ああ、求めていたラーメンだ

(比較して申し訳ないが)昨日「松月」でいただいた中華そばのスープよりも色が薄く、味わってみると、なるほど、かなり穏やかな味わい。醬油はガツンとくる感じではなくあくまで風味を加えている感じで、出汁が味のベースを支えているように感じられる。「弁慶」の大将が毎日食べていたと言っていたのもうなづけるような、洗練されたあっさり感である。

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ちぢれ麺、柔らかくていい!

麺のちぢれ具合、そして柔らかさもこのスープにぴったりで、私は今までどちらかというと、プツッと歯ごたえを感じるような硬めの麺が好きだとばかり思ってきたのだが、この柔らかさは、クセになりそうだ。もにもに、というか。

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チャーシューも柔らかく、噛めば噛むほど味がしみ出す

食べながら思う。「明日もこれが食べたい」と。

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壁に貼ってあるこの絵の人の、美味し過ぎて手が異常に伸びてしまう気持ちがわかる

ちなみにお店のメニューには塩らーめん、味噌らーめん、冷やし中華もあれば、玉子とじうどん、カツカレーなどもあって、中華そばを一度食べただけで全貌は語れるはずがないのだ。奥深い世界。

ああ、美味しかった。

近くの温泉地・小野川温泉の食堂へも行く

「山口屋食堂」を出て、近くの停留所からバスに乗ることにした。その日のうちに東京へ戻らねばならなかったのだが、米沢の中心地からバスに乗って25分ほどの距離にある小野川温泉という温泉街になら時間的に立ち寄れそうだなと思った。その温泉地にもいい食堂があって、やはりラーメンが美味しいらしいのだ。

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小野小町が開いた温泉地という言い伝えがあるそうです

小野川温泉は山あいの静かな温泉地という雰囲気で、無人の売店に山菜が並んでいたり、豆腐をお供えすると子どもの夜泣きがおさまるという「豆腐地蔵」があったり、熱い源泉で温泉玉子が作られていたりした。

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山菜がどれも300円
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「豆腐地蔵」の近くには豆腐屋さんがあった
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温泉玉子、美味しそう

「尼湯」「滝の湯」という二つの公共浴場があったのでハシゴ風呂。いい湯に浸かって、外へ出る時、

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反転した「男」

が一瞬、「毘」の字に見えた私はだいぶ米沢ナイズされていたのかもしれない。そんなことはいいのだが、少しお腹もこなれてきたところで、目的の食堂「龍華」へやってきた。

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創業50年以上になるという小野川温泉の老舗「龍華」

ここもまた、テーブル席と広々とした小上がりのある店で、瓶ビールや日本酒も置かれていて、のんびり長居したくなってしまいそう。

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お酒も色々あっていい店だ

温泉の熱を利用して栽培された「豆もやし」が入った「豆もやしラーメン」が名物らしいのだが、それは冬季だけのもの。みそラーメン、タンメン、山菜そば、鍋焼きうどん、カレーライス、チャーハン、他にも選択肢はたくさんあるが、ここも「中華そば」でいく。

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これもまた最高!

「龍華」の中華そばは少し醤油が強めで、今回食べた中で一番パンチのある風味に思えた。これ一杯でしっかり満足して力が出そうな。

細くちぢれた麺は歯ごたえもしっかりある感じで、もちろんこれはこれで、スープによく合っている。うまいなー!

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ほんと、どこのラーメンも最高です

⏩ 米沢の食堂系ラーメンを色々教えてくれたイザワさんにその魅力を教わる

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