特集 2020年10月21日

フォトボマートモトシ

渋谷のハチ公前で待ち合わせをしていたある日。

「ここにいればいろんな人の写真に写り込むな~」と思い、軽い気持ちでインスタで#hachikoと検索してみた。 するといきなり自分が写り込んでいる写真を発見してしまうことに!

これに味を占めた僕は、ワンシーズンをかけて写り込みにいってみることにした。

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本記事は、デイリーポータルZ新人賞2020の「記事部門 優秀賞」受賞作品です。オリジナルはこちらです↓
フォトボマートモトシ」(受賞者:トモトシさん)

忠犬ハチ公は、仕事先で急死した飼い主を数年待ち続けた。
真っすぐな忠誠心が共感を呼び、90年前に銅像が建てられた(現在の像は二代目)。
たぶん日本で一番有名な犬だと思う。

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それどころか2008年のハリウッド映画「Hachi」の公開以来、日本だけでなく世界規模でファンを拡大したようだ。

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渋谷のハチ公像の前では、この犬を一目見るために世界中からやってきた人たちの列がなかなか途切れない。

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2019年の光景

ハチ公像と写真を撮って、SNSに投稿している人も多いようだ。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

With Hachiko date back when I was in Japan #mi4dintokyo

A post shared by Mr.MVL (@thisismvl) on

 

ある日、僕はハチ公の後ろで人を待っていた。
ここにいれば「いろんな人の写真に写り込むな~」と思いながら、撮影する人たちを眺めていた。
そして何の気なしにインスタで#hachikoと検索してみると、なんと僕が写り込んだ写真が投稿されていた!!

以下が記念すべき写り込み第1号。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

The famous Hachiko statue @Shibuya, Tokyo #hachiko #shibuya #statue #japan

A post shared by Stephanie Widjaya (@steph_widjaya) on

左に見切れているのが僕。
目立つ赤い服を着ていたのでギリギリ確認できる。

以来、僕は超人気犬にあやかる気持ちで、彼のそばで待つことにした──ハチ公ファンたちのインスタの投稿に写り込むのを。

何の目的もなく(いや、「写り込む」という目的はあるのだが、、、)待つのは2時間が限界ということがわかった。
とにかく心を無にして週5日、3ヵ月待ってみることにした。

帰宅後、インスタのハッシュタグ(#hachiko、#hachikostatue、#ハチ公 など)や位置情報から検索する。
投稿の有無に一喜一憂する日々が始まった。



以下はデモ映像。
赤い服を着ているのが僕、トモトシである。
説明用に若干大げさにやっているが、だいたいこんな感じで待っていた。 

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あくまで結果的に写り込むことにこだわりたかった。
なので変に目立ったり誰かの邪魔はしないというルールでたたずむことにした。
かといってずっと同じ格好で映り込むのも面白くないので、移動と動きを加えながら待った。

結果から言うと、この方法でなかなかの成果を得られた。
インスタグラムで発見できた写り込み写真の頻度は、だいたい1時間半待って1つという計算だった。

以下は投稿をまとめたもの。

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なかでもお気に入りの投稿を紹介したい。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Хатико #hachiko

A post shared by Nata (@nataly.gk) on

気の抜けきった顔でバッグの中身を物色している。
バッグと(本当の)被写体の方の服の色が合っているのもポイント。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Reissun tärkein nähtävyys

A post shared by Jan Lillberg (@janhuchtain) on

ちょっと違った位置で映り込んでいた投稿。
合成感があって、これはこれで好きだ。

何か壮大な物語でもありそうな一枚。
なぜ僕が頭を抱えていたのか、今となっては自分にもわからない。

毎日通っていると常連仲間ができる。
これはその中の一人のおじいさんにもらった新聞を読んでいるところ。
米朝問題についての記事を読んだ記憶がうっすらある。

とても好きな一枚。構図的に美しく、服の色が合っている。
誰にカメラを向けられていたかはもちろん不明。

すべての写り込み投稿をリポストしたアカウントがこちら
113個の映り込みは2ヵ月間に計180時間待った成果だ。

もちろんだけど、これらの写真の被写体は僕以外の誰かということになる。
見ず知らずのおっさんが写り込んでしまって申し訳ない気もするが、逆に言えば僕が勝手に写されたという言い方もできる(すみません)。

写り込みのことは英語でフォトボム/photobombと言うらしい。
赤い服を着て写り込みに行く自分のことを、フォトボマートモトシと呼んでみることにした。
危険な響きがあっていい感じだ。

いつ撮られたのかわからないから、僕はたいてい腑抜けた顔をしている。
撮影後のエフェクトも、投稿者好みのものだ。

でもまとまった数を見てみると、自分がコントロールできない状態で撮られた写真も魅力的だと思う。


最後に。

このふざけた企画が再開できるように、またハチ公前が観光客でいっぱいになる日を願っている。

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