特集 2025年1月7日

パートを細かく分ければ完成度の高いボイパができると思ったのに…

DPZライターの石井です。今年も様々なことに挑戦し、新たな知見や生きる上でのヒントを読者の皆様にお届けできるよう頑張ります。よろしくお願い致します。

さて、新年最初の記事で皆様にご提案させて頂こうと思ったのは「まったく新しい形のボイパ」だったのですが…。

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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「集団ボイパ」で世界を変える

ボイスパーカッション。通称ボイパ。皆さんもテレビなどで見かけて挑戦したことが一度はあるはずだ。

上の動画、別にオッサンがえずいているわけではない。ボイパが難しくて全然できていない様子だ。難しいポイントは主に2つある。

①音色の再現…そもそもスネアやハイハットなどの音にならない

②頭の混乱…異なる音色、異なるリズムを同時にやろうとすると頭が混乱する

そこで私は閃いた。閃いちゃった。1人だから難しいのであって、複数人でやればこの2つの壁も難なく越えられるのではないか?

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つまりこういうことです

例えばハイハットを担当する人は、ハイハットの音色の再現とハイハットのリズムキープだけに集中する。さらにバスドラムやスネアだけを担当する人も集めて「いっせーのせ!」で演奏すれば、難易度は格段に下がるはずだ。

いわば「集団ボイパ」。こりゃあ大変なことになった。呼ばなきゃ、みんなを。

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戸惑うライター陣

毎回こういう企画を撮影する時には、「私が林編集長に企画趣旨をメールで説明→林さんが人を集めてくれる→企画当日」という手順を踏んで行われる。つまり私と林さん以外、いや、なんなら林さんですら、私が具体的に何をやろうとしているのか分からないまま集まっているのだ。

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突然「集団ボイパやります!」と言われると、人はこういう表情になる

まずい。明らかにみんな、戸惑っている。でも「ばらばらだったチームが徐々にまとまって、最後はまさかの大逆転!」みたいな展開の映画が脳裏によぎる。私は発案者であると同時に、チームリーダーでもあるのだ。完成させてみせる、とんでもない集団ボイパを。

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パート分け

今回やってみたい四小節のリズムパターンをあらかじめ打ち込んできたので、まずはみんなに聞いてもらう。

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GarageBandで極めてシンプルなリズムパターンを打ち込んできた
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シンプルとはいえ、1人でやろうとすると特に赤枠の部分でつまずくことになる

パートは私の独断で「林編集長→バスドラム、唐沢さん→スネア、べつやくさん→ハイハット」に決定。

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こんな感じ

ところで「ボイスパーカッション(ボイパ)」ではなく、「ヒューマンビートボックス」という言い方も耳にしたことがあると思う。調べてみるとボイパはドラムセットを始めとした打楽器中心、それに加えてベースやスクラッチの音も口だけで再現するのがヒューマンビートボックス、ということのようだ。

「ドラムを鳴らしながらベースも奏でる」なんて素人には絶対無理だが、集団ボイパなら大丈夫。ドラムパートは3人に任せて、私はベースラインを担当することにした。

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指導に熱が入る

事前にプロの方々の動画を見漁り、私なりに要点をまとめて練習もしてきた。

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調べていくと「関東流」「関西流」なんて言葉が出てきて混乱したが、とりあえず基本的な部分だけ押さえてみた

その成果を各パート担当者に伝授していく。

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皆さん、真剣にお願いしますよ
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「林さんはバスドラムです。今回は生ドラムじゃなくて打ち込みっぽい音色なんで“ウンッ”という感じで」
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「ウンッ」
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「もっと喉の上に強く当てるように“ウンッ”」
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「ウンッ!」
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「唐沢さんはスネアですね。はい、“プスッ”」
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「プスッ…」
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「もっと強くシャープに!プスッ」
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「プスッ!」
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「べつやくさんはハイハットなんで、クローズとオープンを交互に鳴らします。“ツッ”」
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「チィ~」
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「ツッチィ~」
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「皆さん、なかなか良いじゃないですか」

私の熱が伝わったのか、みんな自然と練習に力が入ってきた。短時間で明らかに上達している。

それではそろそろ奏でてみよう。私たちの集団ボイパを。

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緊張の一瞬
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私の敵は私です

早速、収録した演奏を確認してみて驚いた。

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(あ、あれ?これ、俺のベースひどくない?)

人生にはまさかの坂がある。ドラムの各パートは研究してきた私であったが、ベースはこの日の思い付きで追加したのでまったく練習しないまま本番に挑んでしまった。

ドラムパートは初心者が短時間で挑んだ割には味のある演奏になったと思う。しかし、ベースはどうだろう?ただ地声で「♪ブンブン」と歌ってるだけで、まったくベースに聞こえない。

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みんなから「どうでしたか?」の声が飛んでくる。言えない…

いきないみんな集めて「集団ボイパやります!」とか言って、あんなに偉そうに指導してたのに。こんな結果、伝えられるわけない。

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林さんなんて理想のサウンドを求めて、自分の首絞めてまで練習してたんだぞ…
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何かが壊れた

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「あの~、ですね…」
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「俺のベースがひどいです!」

誤魔化すことができなくなり真実を伝えた瞬間、私の中で何かが決壊してしまった。

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「ハハッ」
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「なんだったんだ、この企画!」
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「ハハハハハッ」
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「え、なに?どうしたの急に。フフッ」
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「ダッハハハハ~!助けて​​​​~」​​
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「やだ、何?フフフフフッ」
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「ヒィ~!死んじゃう~」
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「ハハハハハッ」
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「やめて~!腹ちぎれそう~」
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「ガハハハハハッ~」「ヒィ~~」

笑ってごらん

このように、確かに企画は大失敗に終わりました。私たちの挑戦は無駄だったのでしょうか?

いや、私はそうは思わない。企画の成功より大事なものがあるとすれば、それは「笑顔」ではないでしょうか?その意味で言えば「今回の企画は大成功であった」というのもまた、真実なのです。

記事の冒頭にも書きましたが、2025年もこんな感じで頑張っていきますので何卒よろしくお願い致します。読者の皆様の毎日が、少しでも多くの笑いに包まれますように。

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