特集 2018年11月20日

押入れの中にある引出し……の中にある押入れ

押入れと引出しの関係に思いを馳せていたら、引出しの中に押入れが生まれた

「押入れ」と「引出し」について考えている。押して入れる「押入れ」に対し、引いて出す「引出し」である。言ってみれば対極の関係にあるそれらだが、ふと自宅の押入れに目をやると、押入れの中に引出しが入っているではないか。何だかややこしくなってきたぞ。

押入れとは。引出しとは。そして、引出しの中の押入れとは……?

1983年徳島県生まれ。大阪在住。エアコン配管観察家、特殊コレクタ。日常的すぎて誰も気にしないようなコトについて考えたり、誰も目を向けないようなモノを集めたりします。(動画インタビュー)

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押入れと引出しの関係

どうでもいいことなのに、ずっと心に引っかかっている言葉がある。それは「押入れ」と「引出し」である。

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押入れと引出しは、単語として見ればキレイに真逆の関係になっている

「押して入れる」押入れと、「引いて出す」引出し。モノとしては全く別物なのに、期せずして生き別れの兄弟みたいな関係になっている。

そもそも、押して入れるから「押入れ」という命名からして面白い。油で揚げるから「油揚げ」、ゆでるから「ゆで太郎」に通じるものがある。動作がそのまま名称になっているタイプである。

もっというと押入れの別称は「押込み」であり、さらなるストレートさが我々を襲う。「とりあえず押込みに押込んどけ!」っていうのは日本語としては正しいのだけれど、口に出してみると絶妙なおかしさが付きまとう。こういった言葉は、思いを巡らせば巡らせるほど、スルメみたいに味がしみ出してくるものだ。

さらにいうと、押入れと引出しのスゴさはこれだけにとどまらない。もっとややこしい関係性をも持っている。

押入れの中にある引出し

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こちらは、何の変哲もない我が家の押入れである。ふすまを開けてみると、
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わりと一般的な光景かと思うが、中には引出しが置かれている。そう、押入れの中に引出しが……!

収納のしやすさから、押入れの中に衣装ケースを積んでいる。つまるところ、「押入れ」の中には「引出し」が入っているのだ。これこそが、私が長年気になっている(でも別段どうということもない)ものの正体である。

せっかく押して入れたのに、その中身を引いて出すのだ。なんという言葉遊び! そんな面白いものが、みんなの部屋の中にも存在しているのだ。ありふれた些細なものでも、捉え方次第ではユカイに変わるという良い例である。

なんというか、今回言いたかったのはこれで全てである。押入れと引出しの関係、そして現実には押入れの中に引出しが存在しうるということ。だから何だと言われればそれまでであるが、一度気になってしまうと、押入れを開けるたびにここまでの話が頭をスーっとよぎるのである。私たちはこういう、ちょっとした「おかしみ」のある日常に暮らしている。

押入れの中にある引出しの中に、押入れを作る

押入れの中にある引出しは、言葉遊びの延長にある日常の違和感である。

そんな話を長年にわたりツラツラと考えていると、いつしか「引出しの中にも押入れがあっていいんじゃないか」と思い至った。思い至ってしまった。

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押入れの中の
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引出しの中の
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押入れ……!

以降は、感性のおもむくままに、引出しの中に押入れを作った記録である。

引出しに入る押入れの制作

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まずは引出しの寸法を測り、それに入るサイズで押入れを設計する。引出しに合わせてふすまを横長にすると見栄えが悪いので、自宅の押入れを参考に縦横比を決定した。エクセルって便利
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この適当な設計図をもとに、木を切って貼ってする。木の厚みさえちゃんと考慮していれば、だいたい思い描いた通りに組み上がる
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まず出来あがったのは、ふすまの骨組みである。できるだけ元のふすまに似せたかったので、
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ちゃんと骨組みに和紙を貼り付けるところから始める
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そのあと茶色に着色した木枠部分を
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四隅に貼り付ける。こうすることで、グッとふすまっぽくなった
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取っ手部分は、ワッシャーを着色し、
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貼り付けると、はい、ふすまの完成

ふすまの作り方をなぞると、なんとなくふすまっぽいモノができ上がった。ミニチュア工作は初めてだったのだが、上手く仕上がったときの達成感たるや。ふすまを作っただけでこれなんだから、今ならドールハウスを作る方の気持ちがよく分かる。

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続いて、押入れの本体部分である。ふすまを開閉できるようにするため、本物と同じくレールを設ける
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そこにふすまを差し込み、押入れの外枠を組み上げていくと、
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ででーん。我が家にミニ押入れが降臨した。自分で作っておいてなんだが、ネットの工作記事にはあるまじき地味さである

押入れを引出しに……入れる!

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押入れなので、中は二段になっている
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これはもう、誰がなんと言おうと押入れだ
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ふすまも問題なく開け閉めすることができた
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ずっと見ていられる
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そんな押入れを、いざ引出しの中へ投入するとしよう
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こうして、押入れの中の
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引出しの中の
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押入れが誕生した

押入れに押し入れられた引出し。それを引いて出した中にある押入れ。その押入れの中に、押し入れられるものは果たして何だろう? 我々はどこに向かおうというのか。

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ひとつの結論として、押入れの中に布団を敷いてみた
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押入れの中にある引出しの中にある押入れの中で眠る

深い。いや、別に深くはない。よく分からなくなってきた。終わろう。


さらなる入れ子構造

押入れの中にある引出しの中にある押入れの中に、引出しを置いてみた。
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押入れと引出しを使って、マトリョーシカを作るべきなのかもしれない
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