シャッターの絵と植物
ともあれ、大正区に上陸したわけだ。着々とソーキそばに近づいている。事前に目星をつけて置いた店を目指して歩こう!
船着き場を出て、店を目指す。暑いからできるだけ早く目当ての店まで行きたいのだけれど、いろいろなものが気になってついつい寄り道してしまう。なにせ日帰り旅行のつもりなのだ。
ここで「沖縄の品々を扱うお店でにぎわっていて、まるで那覇の公設市場のようだ!」と書ければいいのだが、残念ながらそこまで元気のある状態ではないようだった。シャッターを下ろしている店も多い。
いわゆる沖縄ブームの頃はもう少し繁盛していたのだろうか?連続ドラマ『ちゅらさん』を見て、ランドセルにゴーヤーマンをぶら下げて登校していた世代としては少し寂しい気もする。
そして、商店街の閑散とした雰囲気と対称的に元気なのが、道端に置かれた植物たちだ。
ようやくソーキそばを食べる!
やってきたのは大正区南部の沖縄料理店「うるま御殿」。奇しくも店の前の地面が、船着き場と同じ水色に塗られていた。
あれこれ見たり写真を撮ったりしているうちに1時間近く歩き回っていたので、この時点で体は汗だく。しかも昼間の一番暑い時間帯だ。逃げ込むように店内に入った。
沖縄民謡の公演が定期的に開催されるらしい。夜に来てもよかったな。
ステージの上には三線が何本も用意されている。それだけ、弾ける人が大勢いるということなのだろう。
出汁に浸かった麺の上に甘辛く似た豚肉が乗っているという構成は同じだが、肉にスペアリブを使ったのがソーキそば、豚バラなのが沖縄そば。し、知らなかった......。
ずっと前に友達と沖縄に一週間くらい滞在した時、気に入った店のソーキそばを毎日のように食べていた。ただ、その店のそばにのった肉には骨がついていなかったから、今思えばあれは沖縄そばだったのかもしれない。
「これこれ、これだよ!」と思わず声が出る。
旨味と塩をしっかりと含ませつつ、濁りのないスープと、甘辛く味付けされたソーキのコントラストが効いた取り合わせがたまらない。
モズクの天ぷらを食べるのは初めてだ。予想に反して中身のしっかりと詰まったもちっとした食感で食べ応えがある。
ちょうど食べ終わったくらいの頃だった。
ご飯とおかずを手にもった店員さんが座敷にやってきて
「ほら、食べるよ」
と、一番すみに置かれたテーブルに向けて声をかけると、その後ろから、子供がむくっと起き上がった。目をこすっている。それまでちっとも気が付かなかったのだが、ずっとそこに寝転がっていたらしい。
ランチタイムが終わって、そのまま彼らの食事時間になるらしかった。牧歌的だ。私もその場でしばらく寝転がりたかった(我慢した)。
大阪では時としてインド料理屋にすら飾ってある今宮戎神社の商売繁盛祈願の福笹だが、やっぱりここにもあった!沖縄の音楽が流れる店内で見る福笹はなんとも不思議なもの。文化と文化が混ざり合う境界を歩いている気がした。

